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税金の目的

あんたも所得税減税と低所得者向けの給付金の検討が始まりそうだってニュース眺めているかい?

まずは2023年12月に公表される税制大綱にどのくらい踏み込んだ表現が盛り込まれるかってのが注目ポイントってところなんだろうな。

なんとなくの印象なんだけれど、例えば1年間限定の所得税減税ってどんなインパクトがあるんだろう?

例えば月当たり2万円の減税があったとするじゃん。
そうすると年額で24万円なんだよな。

例の流行り病での給付は子どもも含めて一人10万円だったから、共働きで学生一人みたいな家族構成だと、あの給付金と同じくらいのインパクトってことになるんかな?

ただ、定額給付の時にも話題になったけれども、単年度で「えい!」ってお金を渡しても経済の回復って果実には届かないと思うんだよな。

ところが、記事ではこんなことも書いてあった。

減税する期間に関し、自民党の宮沢洋一税調会長は首相と会談後、「1年が常識的だろう」と記者団に語った。

出典:上記記事

「常識」と来たかね。

もぉ、これだけでムズムズいろんなことを言いたくなるやつだよな。

今回は税金について考えてみる回だ。

ちっと、今更な感じもするけれど、考えておこうぜ。


お上の言う税金の目的

まずもって税金って何のためにあるの?ってことを子どもに聞かれたとして、あんたならなんて答える?

ちなみに国税庁はこんな感じで言っている。

このような「公共サービス」や「公共施設」を提供するためには、多くの費用が必要になります。その費用をみんなで出し合って負担しているのが「税金」です。

出典:国税庁

改めて見るとゲンナリしちまう事が書いてあるな。
あくまで税金は公共サービスの原資と言い切っているわけだ。

財務省はどう言ってるんだっけか?

この記事によれば3つの役割があるってことだ。

(1)財源調達機能
(2)所得再分配機能
(3)経済安定化機能

(1)については国税庁とおんなじことを言っているわけだね。
(2)についてはカッチー横文字を使うとビルトインスタビライザーってやつだだな。
格差を是正する機能ってわけだ。
で(3)の経済安定化だけれども、気になる表現がしれっと書かれている。

税は、好況期には税収増を通じて総需要を抑制する方向に作用し、不況期には逆に税収減を通じて総需要を刺激する方向に作用することで、自動的に景気変動を小さくし経済を安定化する

出典:財務省

これ、地味に変なこと書いてない?
税収減を通じて「総需要」を刺激するって書いてあるぞ?

なにが変なんだって?

だってさ、岸田さんの指示に従って期限付きの所得税減税が行われたとするじゃん。
で、俺たちはその浮いたお金をどう使う?

生活がのっぴきならないヒトはその生活費の補填に使うだろうけれど、なんとか生活が成立しているヒトはどうするのか。

普通に貯蓄やら投機(ここでは株式投資は現実的にはキャピタルゲインを目指すのがメインになっているから投機扱い)に回すわな。

つまり消費には一部しか回らんのだから、「総需要を刺激」するってのは風が吹けば桶屋が儲かる的な思惑の塊のように読める表現だと思うんだよね。

俺たちの実感としての税金の目的

ところがだよ。

現実の毎年の予算案を眺めてみると、ちと違和感が出てくるわけだ。

2023年度予算で行けば、税収のざっくりとした内訳はこんな感じ。

・所得税:21兆480億円
・法人税:14兆6020億円
・消費税:23兆3840億円

合計:59兆340億円

対して支出は諸々とあるけれど

合計:114兆3812億円

ざっくり支出の方が倍近く多いわけだ。

で、変だと思わないか?
だって、税金が公共サービスの原資だってんなら、なんで今成り立ってんの?この予算。って思うじゃんか。

原資でないなら税金の目的ってなんなのか?
よく言われるのはこれだよな。

(1)所得再分配機能
(2)経済安定化機能
(3)政策目的実現機能
(4)通貨固定

(1)(2)については財務省の言っている内容と同じ。
ポイントは財務省の言う財源調達機能は現実的には方便でしか無いってことと、(3)(4)のことをあまり意識されることが多くはないってことかね。

政策目的実現機能ってのはタバコを吸うヒトを少なくしたい時にたばこ税を増税するとか、お酒を飲むヒトを少なくしたいから酒税を上げるとかだね。

通貨固定ってのは、税金を日本円でしか受け付けないことによって、日本の通貨が円だってことを確定させるって意味ね。

「常識的」と言う言葉

そこまで整理した上でだ。
宮沢洋一税調会長の「1年が常識的だろう」という発言をあんたはどう捉える?

今はどう考えても不景気なわけじゃん。
コスト・プッシュ・インフレは起きているけれども、民間の可処分所得は減少傾向が続いている。

https://www.stat.go.jp/data/kakei/2022np/pdf/summary.pdf

2022年度単年度の情報で申し訳ないが、実質可処分所得は1.3%の減少ってなっているわけだ。

いやはや財務省さんよ。
いまこそ「減税による総需要を刺激」する時ってことだよな。
総需要がどう刺激されるのかは説明が無いけれどね。

で、景気は悪いのは続いている。
その上で「1年が常識的」って発言は税金の目的をなんだと思っている発言なんだろう?

どう考えても、単年度の減税で景気が持ち直すとは思えないんだよな。

なあ、あんたはどう思う?

俺たちは俺たちの可処分所得をどうやって増やしていけると思う?

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