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あきらめない-ボーイスカウト長が政治の世界で試される正義『スミス都へいく』1939年アメリカ映画

#映画にまつわる思い出

 【あらすじ】 

スミス(ジェームズ・ステュアート)は、快活なボーイスカウトの団長だ。ある上院議員が急死すると、あれよという間に議員として選出される。

その州では新聞社を経営するテイラー一派が、不正に新規ダム建設を計画していた。ダムの誘致を成功させるためには早急に意のままになる上院議員を選出する必要があったのだ。スミスは「コマ」に過ぎなかった。

議員となった誇りを胸に、何も知らず意気揚々とスミスはワシントンへ行く。行く手には尊敬する師の裏切り、大人の世界の現実が待っていた。

一度は絶望するスミスだが秘書とともに再び戦いに挑み始める。

 【みどころ】 

この映画の真骨頂は、汚職にまみれた政治に1人立ち向かうスミスの姿だ。

スミスはボーイスカウトの団長として育んだ純粋さを武器に、未来のために理想を実現しようと戦う。「大人の世界で子供じみた正義感を貫くのは困難だ」と説得されながらも、現実に妥協しないスミスのラストシーンは、特に目を離せない。正しく生きるとはどういうことか、理想を全うするとはどういうことか、あるべき姿に惑い、現実との折り合いの中で自問自答しながら生きる世界中の大人たちにとって、生き方の指針が得られる映画といえよう。スミスの眩しいまでの信念は、政治に精通していなくても、時代や世界を超えて私たちの心に真摯に届く。価値観が混迷を究める今日だからこそぜひ見て欲しい。大切なことは何か、古今東西変わらないことを教えてくれる。

本作は、アメリカが選ぶ「アメリカ映画ベスト100」にも選出されている。80年以上前のモノクロ映画だが、スピーディーな展開、セリフの妙、はしばしに見られるユーモア溢れたシーンなど、全く古さを感じさせない。

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