見出し画像

「路地裏の少年」から「過去を変える」ということを学ぶ

我々は不可逆的な時間の軸に沿って、毎日を生きております。
一秒前に過ぎ去ったことは過去のものとなり、その時間は二度と戻って来ず、やり直すことなど出来ません。過去の結果は永遠に変わりません。でもそれは本当でしょうか。本当に過去は変えられないのでしょうか。今回はそんなことを、浜田省吾さんの「路地裏の少年」という曲を元に考えてみたいと思います。

「路地裏の少年」という曲は、1976年4月21日にリリースされたデビューシングルです。今でも時々ライブで披露され、それはそれは大いに盛り上がる曲です。何万人もの観客がこの曲に酔いしれ、涙を流しながら大声で浜田さんと一緒に歌っています。

評論家達からも「少年から青年に変わる時期の瑞々しい感性に溢れた曲」とか、「思春期の揺れる想いを見事に表現している曲」だとか、「浜田省吾はデビュー曲にしてその世界を構築した」であるとか、とにかく数多くの大絶賛評価をされる名曲なのです。そんな名曲、素晴らしいですね!

しかしこの曲、リリース当時は死ぬほど売れませんでした。テレビはもちろん、ラジオで掛かることもなく、雑誌のレコード評では酷評され、長い間陽の目を見ることはなかったのです。今でもそうですが、メディアとは売れているもの、資本力のあるものに擦り寄りがちです。浜田さんは音楽そのものと戦う前に、そうしたものと戦わなければならなかったのでした。

それが時を経て今、多くの人の琴線に触れ、多くの人に愛される楽曲になっております。何故そうなったのか。それはひとえに、浜田さんが頑張って活動を続けてきたからに外なりません。頑張ってきてくれたお陰で、その当時を知らなかったワタクシにも届き、届くべき人達にきちんと届いているのです。

リリースされた最初の段階で「ああ、俺の曲はダメなんだな。俺の曲は誰にも届かないんだな…」と諦め、音楽活動を止めてしまっていたら、そのまま多くの人に知られることなく、埋もれていったでしょう。もちろん、ごく少数のリアルタイムで気に入ってくれた人もいたはずですが、その人達からも「そう言えば、浜田省吾って昔いたよね。懐かしいわ…。あ、エイヒレちょうだい。」と飲み屋で話をされるだけになっていたかもしれません。

確かに、デビューシングル「路地裏の少年」は売れなかった曲です。しかしその後の活動により遡って評価され、今では多くの人の心を掴んでいるのです。誰も「死ぬほど売れなかった曲」などとは思わないでしょう。
言ってみればそれは「過去を変えることが出来た」ということなのではないでしょうか。

今出来ていないこと、苦しんでいること、結果を出せないことを諦めてしまえば、そこで全ては終わります。全部が無駄になるとは言いませんが、もう少しやってみたい、やめると後悔するかも、という気持ちがあるのなら、続けてみてもいいかもしれませんよ。冒頭に「不可逆的な時間の軸」と書きましたが、それは実は、上書き保存が可能なものなのです。上書き保存を繰り返し、我々の時間軸は進んでいくのです。「路地裏の少年」は、見事な上書き保存が成されたお手本と言えるでしょう。

否定された事実は、真実では無いかもしれません。
以前、ノーベル物理学賞を受賞した中村修二さんは、周囲の人に「彼は失敗したことが無い」と言われていたそうです。何故なら「彼は成功するまでやり続けるから」ということだそうです。

何かを諦めようとする前に、ちょっと一呼吸置いて。
そんな時間が過去を変えるきっかけになるのかもしれませんね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?