見出し画像

婦人科がんとQOL~女性の健康週間講座~

女性の健康週間


突然ですがみなさんは、毎年3月1日~8日が、厚生労働省が定めた『女性の健康週間』だということを知っていますか?

この『女性の健康週間』に合わせて3月3日に京都経済センターで開催された府民公開講座に、サステナブル研究会から二名が参加しました。

今回の講座は【最新の婦人科がん治療 -今知っておくべき知識-】と題されたとおり、婦人科がんの治療に関する内容がメインです。
***
(1)子宮頸がん治療、新たな治療薬によって何が変わる?
(2)ロボット手術って? -新しい婦人科がん手術の幕開け-
(3)がんと診断されたらすべき5つのこと ~健康的な生活へシフトチェンジ~
(4)子宮頸がんを予防しよう! ~がん検診とHPVワクチンについて~
***
以上の演目を聴かせていただきました。
この中から、参加メンバーがとくに興味を持ち、みんなにも知ってほしい!と感じた内容について2回に分けてご紹介していきたいと思います。

府民公開講座チラシから一部抜粋

がんとの共生

今日は〖がんと診断されたらすべき5つのこと~健康的な生活へシフトチェンジ~〗の内容から〈がんとの共生〉について紹介します。
昔はがんと言えば死亡率も高く、治らない大病という認識でした。しかしいまでは、がんという病気は早期発見・治療さえできれば治すことができるもの、共生していくべきものとなっています。

共生という視点に立った時、がん治療中や治療後になるべく普通に生活できるようにしたいですよね。
目標は「がん治療後も、元と同じQOLを」
がん患者にとって治療前と同等のQOLを得るための妨げになっているのが、疲労・不眠・痛み・しびれ・抑うつなど。これらを解消するために、がんと診断されたらするべき5つのことを教えていただきました。

★QOLとは…Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ)の略で、生活の質(とくに健康や満足、生きがいなど日常生活における幸福度)のこと

QOLアップの方法

①症状の記録

病院での問診で、主観的な症状(○○が痛い、こんな動きがしんどい、など)というのは軽視されてしまいがちなのだそう。医師と患者の認識には乖離があることを知っておきましょう。
毎日の症状を具体的に記録しておくことで、どんな時にどんな症状が出たのかわかりやすく、また共有がしやすくなるだけではなく、短い問診時間で伝えたい/不安な症状を伝え忘れてしまうことが減ります。
記録をつけることにはほとんどメリットしかありません。
反対にデメリットは面倒だということだけ。

そこで、現在がん治療患者向けの、症状記録アプリの開発が進んでいます。
患者は日々症状や薬の記録をし、それらのデータは担当医師に自動的に共有されます。問診の際に気になる症状を見逃すリスクも減少しますね。
このアプリ、現在は試用期間中ですが、4月から一般向けの運用が開始されるとのことです。

②運動をする

病気のときに運動?と驚くかもしれませんが、適度な運動は心にも体にも良いとされています。
がん患者の運動はとくに有酸素運動が推奨されています。
有酸素運動とは、ウォーキングやジョギング、水泳、ヨガ、ラジオ体操などの一定時間継続的におこなう全身運動のことです。
どのくらいおこなえばいいかは、国立がん研究センターから「有酸素運動を、最大心拍数の60~80%の強度で20~30分間、週3~5回」と発信されています。これを一つの目安に、無理のない範囲で運動ができると良いですね。

③食事・体重管理

治療中はとくに高タンパク・高カロリーのものを食べることと、豊かな食生活を送ることが大切です。
肉、魚、たまご。チーズやナッツ類も良いそうです。
そしてもちろん、果物、野菜も大切。
食を楽しむことができるとQOLがアップします!普段から「おいしい」と感じているものを食べることを心掛けましょう。

④社会支援の活用

がん相談支援センターを知っていますか?
全国のがん診療をおこなっている医療機関に設置された相談窓口です。看護師やソーシャルワーカーなどが相談員として対応しています。
治療や家族のこと、社会生活や受けることのできるサービスのこと、医師との関係性やそのほか不安なことなど、小さな悩みから大きな悩みまでいろんな相談ができるところです。ぜひ活用してみてくださいね。
※患者の家族や、その病院に通っていない人も利用することができます。

がん相談支援センターのロゴ

⑤適切なホルモン投与

婦人科がんに特化した方法ですが、外科的閉経による卵巣欠落症状にはホルモン補充療法が有効です。
これは更年期障害の緩和療法なので、がんの治療以外でもこの療法を受けることが可能です。
卵巣欠落症状や更年期障害には個人差があるため、医師や病院から提案がなくとも、自身がつらいと感じる場合にはホルモン補充療法を検討してみるのも良いかもしれません。

★卵巣欠落症状とは…手術や放射線治療の合併症で、卵巣機能が低下または失ってしまうことによって、ほてり・のぼせ・頭痛・肩こりや骨粗しょう症などの更年期障害に似た症状が出ること
※乳がん、子宮体がんの場合にはホルモン補充療法はできません。

また、エクオールなどの女性の健康をサポートしてくれる成分を摂取することも、症状の改善・緩和につながるようです。
各社からサプリメントなども出ているので活用してみてください。下記サイトはその一例です。

まとめ

これまで研究会では、女子大生として「生理の貧困問題」や「若年女性の健康(おもに生理)について」「女性のキャリアプランニング」などに焦点を当てて取り組んできました。
ですが今回の講座を受講したことで、これらの話は決して他人ごとではなく、自分たちがいつ直面してもおかしくない現実であることを実感しました。そして今後は、女性の生涯健康にもさらに目を向けるべきだと感じています。
どうすればもっと生きづらさを解消できるのか、サステナブルな社会に向けてよく考えていきたいと思います。

NEXT▶▶次回は〈婦人科がん予防〉について紹介します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?