グッバイ、大学

どうやら大学を卒業できるらしい。

大学を卒業するということはつまり僕は大学生であり、これまでも大学生だったわけだ。だが、どうにもしっくりこない。自分が学生であったという事実が。

僕は、集団とか、組織といったものへの帰属意識が著しく低い。これは幼少期からずっとそうで、大学に対してのそれも低いどころかほとんど皆無といっていいくらいだ。

どの大学に通っているか、とか、学部学科などの所属。そういうこと自体おおよそ何の意味もないことだと思っている。

周知のように2020年に例のウイルスが蔓延し、大学へ行く機会は極端に減った。すると帰属意識どころかキャンパスで過ごすことすら殆ど無くなっていった。

その頃から明らかに大学の友人との関係性も薄くなった。授業や課題に関しての事務的な連絡しかしなくなり、直接会うことも減っていった。これは僕以外の多くの学生もそうであったろう。

結局、大学にほぼ通わない生活は卒業まで続くことになる。それはとても深刻なことだったと振り返って思う。

学食で一緒にご飯を食べたり、授業後に何となく教室に残ってしょうもない話をしたりする、かつて当たり前だった日常はどこへいったのだろう。

サークル活動は停止し、先輩後輩の交流もなくなった。授業も自宅から。学園祭はオンライン開催。卒業研究の発表会すらオンラインで行われた。

こうした時間を過ごしてきて、僕たちは何を得て、何を失ったのだろう。今更ながらそういうことを考えると、とても悲しくなる。

僕はもともと友達が少ないし、人と積極的に関わるタイプではないけれど、ただでさえ少ない友人とも疎遠になってしまうのは中々こたえる事であった。

人間関係というのは、互いの努力があって続いていくのだと思う。関係性を続けさせていく努力。そんなことを改めて思った。

文藝2022春季号に掲載されていた対談での金原ひとみさんの言葉を思い出す。人を理解するために言葉を積み重ねること、言語化して伝えること。

会えない間も、もっと言葉を尽くすべきだった。少しずつでも。断ち切りたくない大切な関係だったのならば。


大学についての話に戻す。

僕は理系の学科にいたわけだが、僕自身は極めて文系的な人間である。それに関しては苦労することも多かった。

理系の学問というのはつまり厳密に再現可能性を追い求める世界である。

そんな中で僕は、理系的な厳密さを求められることに対して、居心地の悪さみたいなものをずっと感じていた。

そう。ずっと居心地が悪かった。

何となく気づいている人もいるかもしれないけど、noteにおいて僕は大学生活における日常をほとんど投稿していない。それはあまり書くことがないし、書きたくなかったというのも率直な理由だ。

大学生活を一言で表すと「つまらなかった」という言葉になるだろう。それは勉強にずっと追われていたとか、人間関係にトラブルがあったとか、そういうことではない。

単につまらなかった。面白くなかった。

あ、でも、フィリピンで生活した1ヶ月はとても楽しかったです。今思い出したけれどあれも一応、大学の課外活動だった。単位も出たし。noteにも少し書いたが、あの時に寝食を共にした友達は、今でも連絡を取り合ってたまに会っている。

あの日々をよく思い出す。そして同時に、おいそれと海外に行けない今の世の中に対して憂鬱な気分になる。

オーストラリア、タイ、インド、中国、そしてヨーロッパ。行きたい場所が沢山あったのに。

大学生活という四年間のモラトリアムにおいて、海外に長期間滞在するというのは入学前から考えていたことだった。そのためにお金も貯めた。

フィリピン以外の国にも滞在したかったし、もっと長期間留学して語学力も高めたかった。それは心残りの一つである。

まあ、例のウイルスによる世の中の状況を考えると仕方のないことだけれど。


さてさて。僕が振り返る大学生活というのはこんな感じです。

成績は地を這うような低空飛行だったけれど、とりあえずは4年で卒業できるということなので、少しだけ自分を褒めてやってもいいのかもしれない。

最後に、このnoteについて。

始めたのは大学2年の11月、特に目的もなく更新していった。段々と家族や友人には話さないような事を書いたりして、この場所は自分の生活の中の大きな一部になっていった気がします。

そしてnoteを始めなければ関わることもなかった人との出会いもありました。それはすごく貴重なことだといつも思っているのです。

ただの偶然かもしれないけど、偶然によって人生は変わります。それは間違いないです。人は偶然のために生きているのではないでしょうか。よくそう思います。

卒業して仕事をし始めてもたまに更新はしていくつもりなので、これからもよろしくお願いします。



ではでは、長いうえにとっ散らかった文章ですみません。もうすぐ卒業というタイミングでの想いを書いてみました。

また。


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