見出し画像

お盆に思うエトセトラ

引越して、一つだけ寂しいことがある。
迎え火と送り火をしなくなった。
理由は賃貸で火気厳禁だから。

ボロ屋だが実家で暮らしていた時は、
持ち家の気楽さできちんと毎年送り火と迎え火をやっていた。

諸事情により、親戚と縁が薄い我々にとって、
故人=祖父だった。
連綿たる先祖がいると分かっていても、
それは別の家がやることで、
迎えるべき故人はオンリーワンも同然だった。

ただ祖父とはいえ私が生まれる遥か前の故人に対して、何を思うかと言えば正直実感がない。

私が知っているのは、
もう無くなったカメラのレンズを設計していたこと、アマでは結構知られた卓球選手だったこと、無類の飲兵衛だったことくらい。

本当に不思議なのは迎え火の時は外から煙が入ってきて、送り火は中から煙がでていくこと。
毎年、どんな天気でも、必ず。

もう両親がいなくなれば、私は父方の人間とはほぼ全て縁がなくなる。

私が何者かを確認するのがお盆だったのかもしれない。

#送り火

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?