ルールを知らないオーナメント【毎週ショートショートnote】
「いつから俺らってここにいるんだっけ?」
「そうめん食べてたのみたから8月とかじゃん?
何年前かは知らないけど」
主人が寝静まった夜、オーナメント達はヒソヒソ話を楽しむ。
ズボラなのか、アンチクリスマスなのか、めでたいことが好きなのか、その全部か。
この家のクリスマスはルール無用の一本勝負だ。
ツリーは灼熱の8月に部屋の中に設置され無法地帯の装飾がされていった。
今では、風鈴、千歳飴(賞味期限切れ)、ピーポくん、5円玉、サンダルなどが飾られ、クリスマスも裸足で逃げ出すモミの木が祀られている。
クリスマスのルールを知らないオーナメント達は、
1年に1回、割腹の良い白髭のおじさんが箱を携えてやってくることだけを知っていた。
おじさんは毎年奇妙に彩られるツリーを見て箱を置かずに帰る。
あわてんぼうなので、インテリアだと勘違いするのだ。
今日もオーナメントは新入りを迎えた。
やけにゴテゴテした竹だ。彼は自分をカドマツと名乗った。
<所感>
小さい頃親に「うちは仏教徒だからクリスマスはなしだよ」と言われました。続けて、「でもケーキは別腹だからね」と言われ、チキンとケーキは出ました。食に関しては貪欲な一族です。
まあ、一応フォローするとプレゼントくれる時もありましたよ。
引用の企画に参加しました!
オーナメントがイマイチピンと来ず、何でもありで1番ツヨイヤツを選ぶのかと思ったのですが、そんな殺伐としてるわけがなかった。…よね?
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