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自販機オペレーターのビジネスモデルをわかりやすく図解します。

みなさんは「自動販売機オペレーター」というビジネスをご存知でしょうか?

自動販売機オペレーターは、自動販売機の運営管理を行う事業者のこと。特に、飲料の自動販売機が一番わかりやすい例かもしれません。

仕事内容としては、自動販売機の設置場所の開拓、設置、商品の補充、メンテナンス、売上金の回収、空のペットボトルや空き缶の回収などを行います。

この人たちが自販機を管理してくれてるからこそ、どんな場所でも適切な温度の飲料が飲めるわけです。

そしてこちらがビジネスモデルの全体像。

ポイントがいくつかあるので、順を追って説明します。

利用者は減少中⁈ コンビニという最強の競合

自販機オペレーターのビジネスで大切なのは立地です。自販機は24時間営業の小さなお店のようなものなので、設置台数と比例して売上が伸びます。

そのため、景気の良かった時代には自動販売機がどんどん設置され、場所の奪い合いとなっていました。

しかし、そんな状況は遠い昔のこと。コンビニの店舗数の増加に比例して、自動販売機の利用者は減り続けていいます。

通勤や通学の際に自動販売機を見かけたとしても、その先にコンビニがあれば、多くの人がコンビニを選ぶでしょう。コンビニの方が飲料の選択肢が多く、食べ物や日用品まで買えてしまうからです。

そのため、近年ではオフィスビルや商業施設に設置される自動販売機が大半。屋外の自動販売機は採算の合わないものも多く、減り続けています。

自販機ビジネスを支える経営資源

自販機オペレーターにとって重要な経営資源は、

  • ルートセールス(自販機巡回スタッフ)

  • 自動販売機

  • 車両

  • 在庫

の4つ。特にルートセールスと呼ばれる自動販売機を管理する人員の確保が、事業拡大に大きく影響します。

ルートセールスは、重たい飲料の箱を持って移動し、何百個という缶やボトルを補充し、自販機の周りを掃除して、空き缶やペットボトルを持ち帰る、という大変なお仕事。

このルートセールスをいかに採用・育成し、効率よく動いてもらえるかがビジネスの鍵を握っています。

そのためには、自動販売機の在庫状況を遠隔で把握し、サプライチェーンを最適化することで、自販機の管理効率を高める事が重要になります。

ロケーションオーナーの変化と設置報酬

自動販売機の設置場所のことを「ロケーション」と呼び、その所有者を「ロケーションオーナー」と呼びます。

景気が良く、コンビニもまだ少なかった時代には、ロケーションオーナーに支払う報酬で競争をしていました。

自販機の管理コストを抑えることで、たくさん報酬を払える事業者が設置場所を確保できます。そして、ロケーションオーナーもたくさん儲かる方が嬉しかったのです。

しかし、コンビニが増えた近年では、報酬よりも利用者の利便性を優先するオーナーの割合も増えてきました。

例えばオフィス内や工場内に自販機を設置する場合、経営者は毎月微々たる報酬を得るよりも、従業員が安く飲み物を買えることを望んだりします。

つまり上図のように、これまで設置報酬だったものが飲料価格の引き下げにつながり、利用者の利便性が向上するということ。

これが結果的に、ロケーションオーナーの顧客満足のみならず、価格低下による飲料販売数の増加にもつながるのです。

自動販売機オペレーターのビジネスモデルまとめ

あらためて、自販機オペレーターのビジネスモデルを俯瞰してみましょう。

設置可能なロケーションが飽和状態にあることに加え、自販機の利用者も減少傾向にあることから、ビジネスの大きな拡大は難しいでしょう。

そのため、大局的に見れば事業者同士の合併や、サプライチェーンの垂直統合などで事業の効率化を図ることが重要になります。

一方で、ロケーションオーナーや利用者の性質も変化しており、飲料を売るというこれまで通りの価値に加えて、新たな価値を提供できるかどうかが差別化につながるはずです。

なお、このnote記事の詳細版はブログで公開していますので、気になる方はぜひ下記リンクよりご覧になってください。

また、今回の図解は「システム思考」というジャンルの、「ループ図」と呼ばれる作図法を利用しています。システム思考についての詳細は、以下の記事よりご覧ください。

Twitterでもビジネスモデルについて発信中なので、こちらもご覧ください。


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