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飯塚高校のサッカーを10倍楽しむ方法

令和3年度のインターハイサッカーで台風の目となり得る飯塚高校。
中川(アミザージ)、村井(アミザージ)、藤井(セイザン)と山口県出身者が3名登録されており、飯塚スタイルについて書いてみることにした。

福岡県予選の準決勝で8連覇中だった東福岡を2-0で撃破、決勝も筑陽学園相手に2-0のクリーンシート。

インターハイ予選初優勝となった飯塚だが、現3年生は2019年開催のニューバランスチャンピオンシップU-16で静岡学園や前橋育英などを破って全国制覇した世代であり、元々選手たちのポテンシャルは高い。

インターハイ1回戦で秋田代表の西目高校と対戦し、1-0で勝利した飯塚。

事前に福岡県予選準決勝の東福岡戦を観戦したが、試合の運び方や狙いは今日と大きく変わらず、飯塚スタイルをある程度理解できたような気がする。

基本のシステムは4-4-2。
攻撃時の特徴としてSHとSBがタッチライン際まで幅を取り、ピッチ全体を大きく使う。
ボールと反対側のSHも逆サイドタッチライン際にピン止め、サイド攻撃をベースとしたワイドなサッカーを展開する。

このワイドポジションをとるサッカーは、攻撃時にボールホルダーが横にパスを出した時の振り幅が大きいため、相手選手の対応が遅れることがある。
パスが通ったときにフリーになりやすいのがメリット。

ただ、味方同士の距離も遠くなりがちので自陣内でのパスミスは致命的。
ショートカウンター受けた時のネガトラの対応に課題がある。

飯塚はこの対策として、近からず遠からずの距離感を保って相手を片側サイドへ寄せ、逆サイドへロングフィードで展開するという攻撃パターンを持っている。
キック精度の高い選手が多いのでフィニッシュまで到達する。
東福岡から先制点を奪った後半3分のシーンはこのパターン。

サイドを攻略していくスタイルだけと思いきや、バイタルエリアでボールを持つとワンタッチプレーでの中央突破も図る。
ペナルティエリアのライン上に陣取った選手とバイタルエリアを上がってくる選手でトライアングルを形成、ワンタッチプレーでエリア内に侵入。
これは相手からするとやっかいな攻撃。
東福岡戦で見せた追加点のシーンが、まさにこのパターン。

東福岡戦の2点目のシーンで触れておきたいことがもう一つ。
飯塚はリードして残り時間が少なくなると、決まって相手コーナー付近でボールキープをする。
東福岡戦の2点目は、ボールキープで逃げ切ると見せかけて相手と競り合い、こぼれたボールから中央突破を図り、得点につなげた。
東福岡としては「逃げ切られる=攻めるぞ」の意識が強まった時に不意をつかれたわけで、守備の対応に多少なりとも何らかの影響を及ぼしたのではないか。
何ともしたたかというか、サッカーをよく分かっていると感じたシーン。

守備の局面では、前線の高い位置からプレスをかけて、相手にプレッシャーを与えつつ、ボールホルダーには複数で刈り取りにいく。
予選から無失点継続中というだけあって、かなり規律の保たれた組織的な守備を行っている。
今日の西目戦でも(ほとんど後半しか観戦できてないが)相手に決定機らしい決定機を与えていなかったように思う。
相手をフィニッシュまで到達させない守備。

福岡で天下をとると決意して就任した中辻監督のサッカーは見ていて面白い。
飯塚のイメージは「地上戦に強い規律のある技巧派集団」といった感じ。

気になることといえば、制空権握られた試合はどう戦うのだろうか?
セットプレーで強力なヘッダーいた場合どう対処するのか?
このあたりが全国制覇するまでの見所。

最後に個人的注目選手。
MF長崎は素晴らしいボディバランスの持ち主。
相手に掴まれてもドリブル突破できるし、シュートも打ち切れる。
球際の強さも一級品、攻守にわたり飯塚の中心。
恵まれた体格で空中戦になった時は彼がキーマンかなと思う。
今日の試合には出場していなかったが、怪我でないことを祈りたい。

山口県出身の3名も。
キャプテン務めるDF 中川は小柄ながら1対1の強さがある。確か兄が聖光出身。全国という舞台に立てなかった兄の分まで暴れてほしい。
東福岡戦で2点目の起点となったMF村井のインテリジェントなサッカーと、出場機会あればMF藤井のスプリントにも期待。

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