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地方で夢を形に!好きを仕事にする私のアプローチ

一時期、「好きなことを仕事にしよう」的な趣旨のCMなど見かけましたが、私は好きなことが仕事になることは殆どないと思っています。ならば、なぜ「地方で好きを仕事に!」なんてことをタイトルにした記事を書くのか?私の経験も交えて語りたいと思います。

「地方で好きを仕事に!」とは

「好きを仕事にしよう」といってしまうと、「好きなことを職業にしよう」という意味合いにとらえられがちですが、そういうことではありません。世の中にはそれができる人もいますが、それなりの才能がある人が運をつかみ取らなければならないほど、稀なケースです。
私がいいたいことは「自分の仕事の中に好きなことを取り入れよう」という意味合いです。それはとても重要なことで、ビジネスに良い結果をもたらしてくれます。

人口6,000人の町に6,000人が訪れた!!

もともと、東京にて外資系コンサルティングファームに勤めていた私ですが、真逆の文化でなりたっている小さな町の自動車学校に勤め始めたのは2016年のことでした。これまで過ごしてきた環境とのギャップにイラつき、そのことで周囲からは割と浮き気味ではあったものの、そのおかげで、結果的にはとても自由に動き回ることができるようになっていました。
そんな状況の中、初めて地元で大きな話題をつくることができたのが、2016年に開催したサブカルチャーを軸としたイベントでした。なんと、人口が6,000人強しかいない小さな町の人口と同等の人がうちの自動車学校に集まり大きな話題となりました。

大町町広報誌より

実は、イベントの準備の中で炎上騒動もあったり、パートナーとのもめごとが絶えなかったり踏んだり蹴ったりのわりとハードな日々が続いていました。
炎上からも逃げず、準備のために動いたり喧嘩したりガチンコで取り組んだことが上記の成果になったと思っています。

このイベントは、サブカルチャーやバイク、グルメなど私がやりたいと思ったことを詰め込んだイベントでどうしても実現したかったものでした。炎上から逃げなかったのも、ハードワークをできたのも、私がやってみたいことを詰め込んだからだったからと振り返れば思います。


好きなことを仕事に取り入れた方がよい理由①
自分がやってみたいことを仕事の中に取り入れていると、困難な中でもやり抜くモチベーションとななります。「好きこそものの上手なれ」とはよくいったもので、高いモチベーションを維持して取組める仕事をやっていると、良い成果も出しやすいと思います。私が前述のイベントに取組んでいる時もそのような状態だったと思います。
一方、人生の多くの時間を費やす仕事がやらされ仕事ばかりだと、やさくれて酒を片手に愚痴ばかり言うようなメンタリティに陥りがちです。そうすると良いアイデアも浮かびませんし、ここぞという勝負時に踏ん張りが効かず、そんな働き方をしているとなかなか良い成果を出せなくなってしまいます。よい成果が出せないと周辺からの信頼関係もなかなか築けず、好きなことが仕事に取り入れられないという悪循環に陥ってしまうでしょう。
よい成果を出せる状態を作るには好きなことを仕事に取り入れるべきです。


アニメが好きでアニメを作ってしまった

全国で7番目に人口が少ない佐賀県の中でも2番目に人口が少ないのが大町町です。そんな町で自動車学校を営むことは中々大変なわけですが、私が代表になった初年度に思わぬチャンスを見つけて、県庁所在地の佐賀市の自動車学校を買収しました。この買収に至る話を語り出すと長くなってしまうので、また別の機会に語ることができればと思います。
この買収した自動車学校は経営的にボロボロで評判も悪かった一方、私が引き継いだ大町自動車学校は昔から近隣からの評判がよかったので、買収と同時に獲得した自動車学校の名称を「大町自動車学校 鍋島校」と変更しました。県内でもマイナーな地域名を冠する自動車学校が県庁所在地に登場したわけですが、そうするとどうしても存在感が薄くなってしまいます。

そこで、存在感をアピールし認知を高めるためのマーケティング戦略としてアニメのCMを制作することにしました。

なぜアニメなのか?その理由は、ロジカルに考えた戦略的なものでは決してありません。実は、このCMは「昔から1度はアニメを作ってみたかった」という理由でアニメにしました。
そう言ってしまうと、何かとてもテキトーな経営判断をしているように聞こえますが、実はそういう訳でもありません。
このCMの放映は現時点では成功といってよい成果が上がっています。佐賀県ではあまり見かけないようなテイストのCMであり、インパクトも強いようなので、多くの方に大町自動車学校を認知して頂きました。
アニメのCMと連動して、送迎車・看板・駅や商業施設のデジタルサイネージ等も展開することで、我々の知名度はこの1~2年で大きく向上しました。

教習車
佐賀駅の看板

認知が高まっている理由は、我々のクリエイティブが地域の他のものと比べて個性が強いというに尽きると思います。言葉をかえると差別化ができているといえるでしょう。

なぜ差別化が出来ているかというと、ロジックで考えるより好きなことを軸に戦略を組み立てたためだと考えています。


好きなことを仕事に取り入れた方がよい理由②
差別化とは他者に真似ができないことを実現することにあります。ロジカルに考えたことは再現性があるため、他者がロジックを理解してしまうと、真似ができてしまうものです。つまり、差別化をしようとするとロジックでは説明できない要素がなければなりません。
差別化に取組む際に、ロジックで説明できない要素とは感覚的なものであって、差別化に通じる感覚的なものの1つが「好き」ということです。
「好き」には、自分のこれまでの生き方や学びや経験が凝縮されています。先ほどの弊社の広告の事例でいうと、紹介したクリエイティブの制作には、私の「好き」を追求した結果、私個人の個性が凝縮されたものになっていると思います。他者の個性というものは、真似することが出来ず、それ以前になかなか真似する気も起きないでしょう。
差別化とはアートであり、アートとは個性であり、個性とは「好き」だというのが私の考えです。
アウトプットには、「好き」という要素を入れることで、論理を超越した差別化が可能となります。


とはいっても「好き」を仕事にすることは簡単ではない

ここまは、うまくいった話をしているため、「『好き』を仕事にすることで物事がうまくいく」というメッセージを受取った方がいたら、その誤解は解いておきたいと思います。
正直なところ「好き」を仕事にするということは、とても難易度が高いと思います。立場によってもできることできないことはあるでしょうし、やってみたところで必ずしもモチベーションが維持できるとは限らない。場合によっては手痛い失敗になることも当然あります。
「好き」を仕事にするということは、とてもリスクが高い(リターンが大きくなる場合もあれば失敗のダメージが大きくなることもある、リスクとは不確実性のことだ)と言っていいでしょう。私自身も多くの失敗もしています。だから、好きを仕事にすることには戦略が必要です。


好きなことを仕事にする戦略①

現実を言うと、誰もが好きを仕事にできるわけではありません。好きなことが何かにもよりますが、立場に応じて自分の裁量で好きなことを仕事に取り入れられる範囲は大きく違います。まずは、自分の裁量で行える範囲で好きなことを仕事の中に取り入れていくことで、周囲との軋轢もなく取組むことができます。
そう考えると、大事なことは自分の裁量の幅を広くしていくことが重要になってきます。ある程度自分の裁量を広くするためには、多少は気に入らないこともこなしていき、周囲から一定の評価を得られるように努力することが賢明です。

好きなことを仕事にする戦略②

自分の裁量の幅が大きいからといって、それの幅を好きなことに全振りすることが賢明でしょうか。物事には絶対に成功する保証がないことをは知っておかなければなりません。従って、失敗をした時のダメージはある程度は覚悟をしておかなければなりません。そうなると、失敗のダメージからリカバリーできないところまで突っ込んでいってしまうと、1度や2度は運よくうまくいっても、どこかで破綻してしまうことが予想されます。
好きなことを仕事にするためには、失敗可能性とダメージの大きさを考慮したリスク管理が重要になります。
私自身、このコントロールに失敗したことは何度かあり、大きな予算をかけすぎたイベントが滑ったときなどは、その後たとても大変でした。

好きなことを仕事にする戦略③

好きなことを仕事にしていると、好みが自分と真逆の人の理解はまず得られないでしょう。うまくいけば黙ってくれますが、失敗するとこれ見よがしに批判をすること間違いなしです。
なので、重要になってくることは関係者とのコミュニケーション戦略です。少なくとも一人で突っ走ってしまうとまずうまくいくことはないので、まず大事なことは周囲に理解者を作っておくことです。理解者を得られるように色んな人にあなたの好きなことを取り入れる意義をしっかりと説明しなければなりません。
ただ、全員が理解者になることはありえません。中にはアンチが生まれる場合もあります。そこで大事なことはアンチとのコミュニケーションです。アンチになっている人は自分の「好き」に対して、あなたとは異なるバイアスをかけて理解をしていることもあり、どんなに説明をしつくしても、理解を示してくれることはないでしょう。しかし、理解を示してくれないからこそ何をやってどの様な成果を出したいのかは丁寧に説明することは重要です。「何も聞いてなかったよ」と言われてしまうと、あとから手ひどい攻撃を受けかねません。ちゃんと対話ができていると「しょうがないなぁ」くらいにはなるでしょう。
この説明を行う過程で頼もしいのがあなたへの理解者です。人間関係や組織階層の都合で自分で直接対話できない人に関しては、理解者を通じてコミュニケーションをとるといった作戦も有効となります。そして、アンチにも言い分はあると思いますが、その気持ちに対しては一定の理解を示しつつも、そのことによって自分のやりたいことを曲げるというのは極力やらない方がよいでしょう。
こういった努力を行っていると、あなたの好きから始まった仕事が成功した場合、強い味方になってくれる人も出てきますし、失敗した場合の批判のトーンも多少はやわらぎ、次のチャレンジにもつなげやすくなるでしょう。


さて、好きなことを仕事にするということについて語りましたが、私も、小さな好きは事業の中に取り込んでいますが、今一番やりたくて大きなことについては、まだまだ本丸にたどり着けないのが現状で、少しずつ形を作ろうとしている途上です。
ここで私が一番やりたいことを簡単に紹介します。それは弊社のパーパスに掲げている「コンパッションあふれる世界を実現する」ことであり、その1つのマイルストーンとして「善いことをしたら良いことが返ってくる地域を創る」というミッションを形にすることが、私のやりたいことです。
言い換えると街づくりをやりたいということですが、自動車学校という小さな会社がいきなり街づくりなんて大きなことをできるはずもありません。
そこでパーツとなる小さな事業を少しずつ立ち上げています。その事業もなるべく自分がやってみたいことに取組んでおり、そうやって自分が取組めることの裁量の拡大を目指しています。そして、これらをやっていく中では大きなお金も必要になるため、投資家に説明する機会も作っています。これは、戦略③の理解者づくりにあたります。資金と仲間ができると少しづつチャレンジできる幅が広がっていくので、そこを目指して活動をしています。


まとめ


私の経験から言うと、自分の好きを仕事に織り交ぜることは、ビジネスに良い結果をもたらす可能性があり、より仕事を充実させるための鍵ともなり得ます。もちろん、好きなことを仕事にする過程は困難と挑戦に満ちていますおり、戦略的にやっていかなければならない難しさもあります。しかし、それはまた同時に、自分自身の夢み向かう果てしない遠い旅の一歩にすぎず、私も未だに旅の途中にあります。皆さんも好きなことをやれるところから仕事に取り入れて、一歩一歩、夢の実現に向かって歩んでいくチャレンジをし仕事を通じてやってみてはいかがでしょうか。

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