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パッケージデザイナー向け金型知識~その2~

本日は台風20号の影響でちょっと頭痛に苛まれていました。どうもウチダです。
前回の金型の話で下のような型の得意不得意を挙げました。

得意なこと・同じ形のものをたくさん作る・製品単価を安くする・複雑な構造が作れる・中抜きモノを作る・色を樹脂に混ぜられる

苦手なこと
・垂直面が作れない
・平らで広い面を作りにくい
・ピン角はできない
・底の深い器のような形状
・無垢の塊や分厚い部品
・均一な厚さではない部品

今回は型の基本はチロルチョコだ!ということから、苦手なことの一番上に書いた「垂直面が作れない」理由をお話していきたいと思います。


■ チロルチョコってどゆこと?

早速ですが最も単純な型の図を書いてみました。(図1)

(図1)

見ての通り型というのは、「蓋」と「芯」がありまして、必ず蓋が開くように設計されています。
こう書くと、こんな感じの(図2)お豆腐型でも蓋は開きそうなものです。

(図2)

(図3)

しかし実際は図3のように製品の垂直面がべったり型とくっついてしまい、蓋が開かなかったり、製品が型から外れなかったりしてしまいます。

つまり、上の条件をクリアしようとすると、必然的に製品は台形になるよう設計され、立ち上がった面には必ず勾配がついています。

この姿がお菓子のチロルチョコそっくりだったので、僕は愛を込めて金型を「チロルチョコ」と呼んでいます。ちなみに好きな味は「きなこもち」で、好きな機構は「スライド金型」です。


■なぜ垂直面は作れない?

さて、上の図でピンと来た人もいるかも知れません。なぜ垂直面が作れないのかという理由です。

それはズバリ上で書いた勾配のせいです

この勾配、界隈では「抜き勾配」と呼ばれています。型から製品を抜くための勾配という意味です。
この抜き勾配は一般的にツルツル面では1~2°、シボ面などザラザラした面では2~3°の角度をつけます。(図4)

(図4)

厳密にはこの角度より小さくしても良いのですが、小さくなるほど型が抜けないリスクが上がります。リスクが上がると単価も上がります(金額についてはまた別の機会に書きたいです)

この角度によって、型の抜き方向に平行な面は必ずビミョーに傾いた面となります。


さて、今回はこのあたりで一度筆を置きます。
次回は、今回お話した抜き勾配によって、サイコロはおみくじになることをお話ししたいと思います。

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