天体をめぐる3つの短いストーリー

 第一夜、チョコとチョコを作る時の煙の話

ある日、煙男がバーに入ると「お前はダメだ」とマスターに入店を拒否された「なぜぼくはダメなので?」押し問答が続いたが、実はその隙に煙男とマスターとの間を しなる身体で進み行く者がいた 黒猫だった。

マスターは応える代わりにミントのチョコを二つ三つ煙男に渡して追い払うと ドアをパタンと閉めてしまった 煙男はくさくさした気分でチョコを一気に頬張った

すると! 煙男はすいーっと靄のように青い闇夜に溶けていった



 第二夜、知り合い


とある真っ暗な夜のこと 「おい、お前」 突然に男に呼び止められたので振り返ると、そこには全くののっぺらぼうがいた ひゃあっと叫びそうになるが男が先に「俺を知らねぇのか」と怒鳴りつけて胸ぐらを掴んだ 「知らないよ、助けテェ」「お前は俺じゃねえか」 のっぺら男が掴んでいたシャツをぱっと離すと、そのまま姿も消えてしまった ふと見上げると、黄色い満月が浮かんでいた


 第三夜、月世界から帰ってきた者

学者というのは目隠しされた状態で答えを導き出すことに精鋭を集める者をいう。
ここに、今し方月から帰還した男が、宇宙の亜空間と無秩序を語る姿があった。
「そしてポンっと魔術が解けるように」
そ し て ポ ン っ と 魔 術 が 解 け る よ う に、ととある研究所からやってきた若者は手帳に書き写した。
乗 り 組 み 員 た ち は い な く な り ま し た、とさらに彼は白紙を埋める。これはまさに宇宙の謎の一つだった。帰還した宇宙飛行士はその目で仲間たちが月面上で神隠しにあうのをみたという。
「ぼくは果たして、一人で帰ってきたみたい」
そういうないなや、学者たちの目の前で宇宙飛行士はポンッと音を立てて消えた。

あとには黄色い煙が揺らいでいたが、それもすぐになくなった。


ーThe ENDー


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