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嘘つきな彼女たちの真実

今日は私が出会った3人の女の子達について、話そうと思う。

私は人間の持つ闇の部分が好きだ。
中でも私を惹きつけて止まないのが「嘘つき」というジャンルである。

私をそのジャンルに目覚めさせた最初の嘘つきは、Aちゃんという子だ。

Aちゃんは小5の頃転入してきた転校生。

なぜか、彼女が転入してきてから校内で盗み事件が多発する。被害者は彼女のみ。
体操服や教材や筆箱…
「また盗まれてる!」と騒いで周囲を心配させていた。

でも本当に誰もAちゃんをいじめたりしてなかったし、犯人が誰なのか見当もつかない。
しかしあまりにも多発するため担任の教師は事を重大であると捉え、見つかるまで帰れません方式で学年全員で探させることにした。放課後延々と探索が続く…
そのうちポツポツと不満が溢れる。
「塾に間に合わないんだけど!」
「犯人この中にいるなら、さっさと返しなさいよ!」
もう皆が不満爆発寸前までいった時
「みんなやめて!私のせいでケンカしないで!私さえ我慢すればいいんだから…先生、もう見つからなくてもいいのでみんなを帰してあげてください!」
と、Aちゃんは号泣しながら訴えかけた。
被害者であるはずの彼女のそんな姿に、結局盗まれたものは見つからずじまいだったけど、教師は渋々皆を帰宅させた。

なぜかその日以降、盗み事件は発生しなくなる。また、盗まれた物が校内のアチコチ、掃除用具入れとか、トイレとかで発見された。

やがて事件は風化していき、中学校へ入学してしばらく経った頃
Aちゃんと1番仲の良かった子(めちゃくちゃおとなしい子)とたまたま帰り道が一緒になった。

するとポツリ、とその子は私に
「あのね…あの小学校の時の盗み事件、犯人はAちゃんなんだぁ…」 と消え入りそうな声で、しかし少し嬉しそうに告げたのだ。

盗みは全部Aちゃんの自作自演。
あの時の私の戦慄、それでいて、あーやっぱりなというパズルのピースが見つかった時のような爽快感。

そこでなぜか私は「うわーAちゃん最低!」ではなく「Aちゃん面白い…!」」という感想に陥ってしまう。
私が好意を抱いていることが伝わったのだろう、彼女も私にかなり心を開いて親しく接してくれた。

ここでAちゃんが私に話してくれた内容一覧。

・小さい頃に生死を彷徨うほどの病気になり、入院した。今も後遺症で急な発作が出たりする(でも学校生活で発作見たことない)
・その入院先で運命的に出会った少年に、プロポーズされた (しつこくその男子は何度もアタックしてくるらしい)
・習っているバレエの先生から、特別な才能があるからドイツへ留学するべきと説得される
・バレエ教室ではそんな才能へ対しての妬みやっかみでお姉様方からイビられている
・同じクラスの○くんに告白されて、断ったのにしつこい
・△くんにも迫られていて、キスされそうになった

ちなみに△くんは当時の私の好きな人である。

私は一応、上記の話は全部信じて聞いていた。というか、信じてるよという本気の気持ちが大切。
嘘つきの人達は、目の前の人間がそれを信じているのか疑っているのか敏感に嗅ぎ取るので、下手をするともう嘘をついてもらえなくなってしまうからだ。

しかしある日、△くんと学校の連絡関係で電話で話していた時「俺今悩んでることがある」と相談をされる。

「なぜか俺がAさんに告白したってことになってるんだ…」

なんとAちゃんの話が外部へ漏れてしまっていた。
おそらく私へ話すことで感覚が麻痺していた彼女は、私が何でも話を信用するもんだからつい他の人にも話したくなってしまったのだろう。

もちろん普通の人が聞けば全部矛盾してるし、即バレてしまうのだがーー

そこからは早かった、Aちゃんの話がまたたく間に学年中の女子の間に広がり、全部嘘だとバレてしまった(バレエに関しては、習ってもいなかった) 。
とはいえその後不登校になったりせず、そこそこに学校生活を送っていた彼女のメンタルはすごい。

もちろん私も卒業するまでAちゃんとは何事もなかったように友人関係を続けた。

2人目はBちゃん。

高校の同級生だ。

Bちゃんから聞いた話、一覧である。

・カラオケで友達と歌っていたら、突然イケメンバンドマン集団が部屋に入ってくる
・自分だけそのイケメン集団の部屋へ連れていかれ、歌が上手くて一目惚れした。オレ達とバンドやらないか?と誘われる
・ボーカルをやることになり、ギターと付き合う。メジャーデビューの誘いがくる
・だけどそのギターの彼氏が、交通事故死してしまいメジャーデビューの話は流れてしまう
・バイト先の店長、同僚から告白されて自分をめぐって男達が毎日バトル
・塾の先生、バイト、生徒から告白されて自分をめぐって男達が毎日バトル

高校卒業後も、上記のような話を延々とするためだけに友達を招集させたりするので、すっかり周りも縁を切ってしまいBちゃんの近況を知る者はいなくなってしまった。
彼女は今、どうしているのだろう。

さて最後、3人目のCちゃん

この子はバイト先が同じだった子。

以下、Cちゃんの話一覧。

・バスケで全国大会までいった。推薦で高校へ入った。ちなみに、高校名は教えてくれない。そして中退したとのこと
・病弱で、余命宣告されている
・友達がAKB
・友達がジャニーズ
・友達が政治家
・全然寝てない(でも見るからに寝てる )
・全然食べられない(でも見るからに大量に食べてる )

とにかくCちゃんはわかりやすいくらい何もかも虚言。面白くなっちゃうくらい虚言。
私はそんなCちゃんと話す時はウズウズドキドキワクワクしてしまう。
少しイジワルをして矛盾を問い詰めるとまたすぐ嘘を取り繕う嘘が登場する。
本人も把握しきれないくらいの嘘嘘嘘。

Cちゃんも、今どこで何をしているのかわからない。

実は、こんな彼女達
あらゆる嘘の中でも1つだけ、嘘ではない共通点があったのだ。

バラバラの彼女達の共通点は、嘘つきであること。

そしてもう一つ。

彼女達は全員、「本当に」幼少期に病気を患い、入院したという経験を持っていた。

その病気の「程度」は嘘である。
生死を彷徨ったわけでも、余命宣告を受けてるわけでもない。
ただ、「幼い頃入院したことがある」という事は事実であった。

私は考えた。

勘のいい人はもうピンときているかもしれない。

「ミュンヒハウゼン症候群」だ。

周囲の人達の心配を引きつけるために虚言を繰り返すアレだ。

果たして、幼い頃に入院した経験が、彼女たちを「お姫様」にしてしまったのか…。

もちろん、これは断定なんて出来ない。勝手な私の、個人的見解。

彼女達は、虚言する時とても生き生きしていて本当にその主人公になりきっていた。自分でも嘘を真実だと信じてしまっているからだ。
嘘をついているという自覚なんて無い。
だから、周囲の人間も嘘とは気付きにくい。

その闇はあまりにもキラキラして魅力的だった。

おそらく…安易な好奇心などで触れるべきではなかったのかもしれないが。

ではなぜ、私が彼女たちのような「嘘つき」に興味を抱いてしまったのか。

それは、私の子供時代…父が出て行った子供時代。

「平気で嘘をつく人たち (M・スコット・ペック著)」という本が母の本棚にあり、手に取ったのがきっかけだった。

母はこの本から、父の何を知ろうとしていたのだろうか。

私が人間の心理に興味を持った(持たざるを得なかったとも言えるだろうか)きっかけは家庭環境だった。

ぽつりぽつりと、そんな実際の経験に基づく心理分析や自己分析をこれから書いていこうと思う。

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