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米澤穂信『満願』

この記事は、日本俳句教育研究会のJUGEMブログ(2018.07.28 Saturday)に掲載された内容を転載しています。by 事務局長・八塚秀美
参照元:http://info.e-nhkk.net/

同僚に勧められた米澤穂信。
山本周五郎賞受賞し、「このミステリーがすごい!」「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」の「史上初めての三冠を達成したミステリーの金字塔」と触れ込みの『満願』を。個人的には久しぶりのミステリー。

6編の短編集ですが、「満願」「石榴」「万灯」などの、タイトルの付け方にミステリーの筋の面白さを超えた、メタファーを見いだせそうな作品が好みでした。もちろん、「関守」「夜警」「死人宿」も、ミステリーとして純粋に楽しめる作品で、「関守」などは世の裏側をそれとなく垣間見せる人間の悲劇のような味わいまで。
いずれにしろ、ミステリー的謎解きの面白さを用意しながら、その謎解きで読者の心にしこりを残すタイプの結末なのが特徴的な作家さんだなと。そこがたんなるミステリーでない味わいとなり評価に繋がっているのかなと感じました。たまには、ミステリーも良いですね。