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【試合評】快打快投の熱狂3時間27分~5月17日○楽天15-6日本ハム

羨望の岩手県営野球場

主催試合で今季9度目の大入りになった岩手県営野球場は、うらやましすぎる『史上最高のお祭り騒ぎ』になった。

もちろんテーマ曲は、ご当地が舞台になったNHK朝の連ドラ「あまちゃん」オープニングナンバーだ。
アマダーの第1打席や銀次のアット・バットの随所で流れたこの曲は、ブラスバンドによるアップテンポでコミカルな行進曲だ。
聴く者を本能のまま誘惑する妖気や色気をも併せ持つ。
作曲時、大友良英さんの脳裏には、エミール・クストリッツァに代表される『東欧ジプシー音楽』の存在があったという。

2000年代の初頭、東京時代のぼくが踊り狂い陶酔したあの夏の夜。
大友さんがインスパイアを受けたという、東欧ジプシー音楽隊の数々が東京にこぞって上陸、都内某所で連夜繰り広げた「ジプシーサマー」。
あのときに感じた強烈な鼓動感、文句なしの熱狂が、岩手県営野球場にはあった。

両軍のスタメン

日本ハム=1番・西川(中)、2番・岡(右)、3番・近藤(指)、4番・中田(一)、5番・レアード(三)、6番・田中賢(二)、7番・大田(左)、8番・石井一(遊)、9番・清水(捕)、先発・加藤(左投)

楽天=1番・茂木(遊)、2番・ペゲーロ(右)、3番・ウィーラー(三)、4番・アマダー(指)、5番・銀次(一)、6番・島内(中)、7番・岡島(左)、8番・藤田(二)、9番・嶋(捕)、先発・則本(右投)

5点差からの逆転勝利は2010年以降3度目の快挙

初回、エース則本が2本の一発で5失点したまさかの悪夢も、終わってみれば、史上最高のお祭り騒ぎに必要な舞台装置である。

そこからのマンガみたいな逆転劇、2回の逆襲6得点は、僕らにイーグルスの優勝を強く確信させる「本当にシビれる場面のオンパレード」になった。

2回は1イニング6本のタイムリーだった。
これは2014年8月30日ソフトバンク戦(○E9-4H、koboスタ)の7回、松井稼2本、銀次、枡田、島内、西田が各1本記録したあのとき以来の快挙になった。

6本のタイムリーのうち、5本が2アウトからのもの。
とどまるところをしらない連射の応戦で、加藤をハチの巣にした。
7回8回の得点劇も2死から生まれたものが多く、これでチームの2死得点圏打率(※)は.274になっている。

※2死得点圏打率はMLB中継でしばしば紹介されるスタッツの1つ。当該打者が凡退すれば3アウト攻撃終了になるため、真の勝負強さを表す指標の1つとして紹介されることが多い。

5点差以上をひっくり返した鷲の逆転劇といえば、2010年以降では3度目のこと。

昨年8月27日オリックス戦(○E7-6Bs、koboスタ)、試合前に平原綾香さんが「ジュピター」を熱唱、満員御礼のなかでアマダーが2発、ペゲーロが1発を放ち、自力CSが復活したあの試合を含む、2010年以降では3度目の逆転劇だった。

そういえば、あの試合も偶然なのか、先発は則本だった。
吉田正尚に2打席連続で一発をくらって7回6失点。
自軍エースを打ち砕いた好敵手の打撃が今季覚醒の原動力。
先日NHKの取材にそう語っていた茂木は、この夜3安打3得点3打点。
3安打は2戦連続、今季4度目。
ヒット3本全てがタイムリーになる槍働きをみせた。

ペゲーロは今季2度目の4安打。
直近25打席で5単打、2試合連続ノーヒット。
当たりが止まっていた「豪打の2番打者」に再び快音が戻る朗報だ。
4打席目でみせた右中間二塁打での好走塁は、腰痛の具合も問題なしといえるシーンになった。

ウィーラー、次戦で球団記録に挑戦

ウィーラーも完全復活、今季3度目の3安打だ。
今季初めて4番に座った5月6日西武戦(○E10-2L)以降の戦績はこれで打率.364、OPS1.280である!
この日は効率よく、バットを合計5度振ってのヒット3本の量産だった。
終盤7回には3試合連続となる6号2ランを右中間スタンドへ。
次戦の19日ロッテ戦で、山﨑武司、フェルナンデスが所持する球団記録の4戦連発に挑むことになる。

銀次で始まり、銀次でKOした2回奇跡の6得点

ご当地出身、この試合に描けていた銀次も3安打、2四球。
3戦連続の複数安打は故郷に錦を飾るヒーローインタビュー行きになった。

打者一巡の11人を送りこみ、6本のタイムリーで5点差を一気にひっくり返した2回奇跡の逆転劇は、「あまちゃん」に乗せて打ったこの人の先頭打者安打から始まったもの。
1-2と追い込まれ、左腕・加藤の投げる外角スライダーにタイミングをズラされながらも、抜群のコンタクト能力で巧打で中前へ運んだ。
その加藤をマウンドから引きずりおろした6本目の適時打もスライダー撃ち。
銀次とスライダーと言えば、、、

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