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【戦評】 弔い合戦への第一歩は「5時間ゲーム」の激闘に~3月30日○楽天3-2ロッテ

楽天関係者全員の想いを乗せた決勝打

開幕戦は2年連続の延長戦、試合時間は3年ぶりの「5時間ゲーム」。

終電を気にする時刻に決着のついた「激戦」の決勝打は、延長12回、途中出場した藤田が放った。
相手はロッテ六番手・益田。
2死走者なしから「もらった2四球」で作った2死2,1塁でのアット・バットだった。

その前の11回に立った今季初打席は一塁への当たり損ねゴロだったが、年明けに左ヒラメ筋を痛めたことを忘れさせてくれる全力疾走。
最後は頭から滑り込んで「執念」で先頭打者出塁をもぎ取る打席だった。

12回の千金打は、その「執念」を再びみせた決勝打で、必死にくらいついた当たりが1塁ベース後方の右翼線沿いに着弾したもの。
2塁から代走・田中が悠々生還し、年初からいろいろあった楽天関係者全員の想いをも乗せた1本になった。

異例の激闘

それにしても、異例の開幕戦だ。
エースの則本がシーズン1試合目から自己最多球数を更新する150球の熱投。

投球回を上まわるヒット9本を浴びながらも、7回を最少1失点に抑えるハイクオリティスタートをみせる。

しかし、味方打線は老獪・涌井の前に7回まで無得点と援護できず。
初回から1番・茂木の代名詞ともいえる初球打ち安打、2番・ペゲーロによるフルカウント10球勝負を制した左安で、いきなり無死3,1塁のチャンスを作るなど、何度も攻め立てたが、あと1本が出なかった。

楽天打線はベテランが繰り出す複数球種の微妙に動く球に対し苦労している様子で、島内捕ゴ、銀次投ゴなど止めたバットに当たる中途半端な凡退も目立つ苦しい展開が続いた。

イーグルスにようやく点が入ったのは、涌井が退いた8回表のこと。
則本が150球を投げて次回から継投が決まっていたこの回、ロッテ二番手シェッパーズを攻めた。
そして2死2,1塁、5番・銀次に2点三塁打が飛び出した。(E2-1M)

多くの選手が好調をアピールし、若手の台頭もあった開幕前の対外戦。
しかし、銀次だけ対外戦打率.116と一人蚊帳の外に取り残され、本戦も3打席凡退だった。

その悩める「東北の星」のバットから、欲しかった快音が響く。
当たりは俊足のセンター荻野のダイビングキャッチを潜り抜けるスリーベースになり、則本に今季初勝利の権利が灯る大きな一打になった。

守護神の誤算

ところが、誤算は9回裏、松井である。
先頭打者安打出塁を許して1死2塁、5番・鈴木との2-2からの6球勝負。
鈴木に外角145キロの速球を引っ張られ、1,2塁間のゴロ突破を許す同点のタイムリーを喫した。(E2-2M)

エースが渾身の150球。
それに応えるかのようにNPB屈指のコンタクトヒッターも魂の勝ち越し打。
しかし、守護神が土壇場で追いつかれ、その努力をフイにしての延長戦。

10回11回は鉄腕・福山が開幕戦から異例の2回零封をみせたこのゲームも、ドローになってしまうのか・・・
そんな雰囲気が漂い始めた12回2死、今季はレギュラー確約されておらず難しい役所になるベテランが、本当に良く打ってくれた!

以下は、ぼくが注目した観戦ポイントをご紹介していきたいと思う。

(下記へつづく)

両軍のスタメン

楽天=1番・茂木(遊)、2番・ペゲーロ(右)、3番・島内(中)、4番・ウィーラー(三)、5番・銀次(二)、6番・内田(一)、7番・アマダー(指)、8番・嶋(捕)、9番・岡島(左)、先発・則本(右投)

ロッテ=1番・荻野(中)、2番・藤岡(遊)、3番・中村(二)、4番・(一)、5番・鈴木(三)、6番・菅野(左)、7番・福浦(指)、8番・田村(捕)、9番・加藤(右)、先発・涌井(右投)

ウィーラー開幕4安打

チームは11安打。
ウィーラーがチーム一番乗りの猛打賞4安打を決めると、藤田とアマダーがともに2安打。
茂木、ペゲーロ、銀次が各1本ずつヒットを放つ開幕戦になった。

スタメンで開幕戦ノーヒットは、島内、内田、嶋、岡島の4人。

オープン戦首位打者の内田は、涌井が繰り出した“ベテランの妙味”に翻弄され、4タコだった。
銀次の2点三塁打で2-1と勝ち越し、なおも2死3塁の8回の打席でも遊ゴ。
この場面、好調の今江を始め代打も想定されるシーンだったが、梨田監督はよくそのまま内田を送り出してくれたと思うのだ。

はてさて、凄かったのは、昨年のこの時期は絶不調だった事実上の副将だ。
1打席目こそ併殺打に倒れたが、2打席目以降は4安打1四球の5打席連続出塁をみせた。

ヒットの結果球をみると、涌井の139キロ変化球、涌井の111キロ変化球、シェッパーズの144キロ速球、松永の144キロ速球と、投手の左右や国籍、球速や球種の区別なく打ち返したのが分かり、今、本当に良い状態だと思う。

延長12回表の2死走者なしで出塁し、本戦の決勝走者になった四球は「4安打の賜物」。
益田が好調ウィーラーに一発だけは打たれてはいけないという思いが強すぎ、外の出し入れに力んで大きく外れるシーンが目立った場面だった。

「開幕特別号」と銘打たれた『EAGLES MAGAZINE』最新号をめくると、そこにはウィーラーの今年の抱負が書かれてあった。

ひとりの人間として多くのチームメイトを支え、そしてそのみんなと日本一になること。

来日以来、自らの喜怒哀楽を仲間のため、チームのために使ってきたこの人らしい泣かせる目標だ。
ウィーラーは今年もきっと、ぼくらが期待する額面どおりの働きをしてくれると思う。

無双アマダー

4安打を放ったウィーラーの影に隠れがちだが、アマダーも引き続き絶好調だ。

以前にも書いたが、ぼくは「来日史上最高の絶頂期」だと思っている。
開幕前の対外戦わずか35打席で、ウォーニングゾーン以遠に飛ばした外野大飛球は3本塁打を含む5本とじつに多かった。

本戦でも外野大飛球を飛ばしてみせた。
2回2死走者なしでまわった今季初打席、シュート回転して入ってきた涌井の146キロを打ち返し、右中間フェンス上段に突き刺すツーベース。
今季1号が飛び出すのもそう遠くないと期待させてくれる弾丸ライナーの二塁打だった。

その涌井との対決では7回先頭でもヒットを放っている。

じつはアマダーは涌井キラーである。
昨季涌井との対戦では11打数4安打7打点、3本塁打、3三振、1四球。

もっと言えば、涌井というよりも、、、

※ここからは有料エリアでお楽しみください。この後、アマダー、拙攻、嶋ガッツポーズ、松井失点場面、則本について書いてます。

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