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【戦評】 新参の元若鷹が魅せた、「逆転劇」を先導する“決意”の二塁打!~3月17日○楽天5-3広島

作戦面でもいろいろ試すことができた広島戦

日曜日まで5試合を戦う「静岡シリーズ」の第4戦。
対戦相手に2年連続セリーグ覇者の広島を迎えた3時間22分の攻防は、開幕前の貴重な修練の場になった。

作戦面では今年まだ1度も試していない「バスター作戦」「送りバント作戦」をトライすることができた。

前者は2-2同点の4回無死2,1塁、1塁走者・西巻にスタートを切らせ、渡辺直が打って出た二ゴ併。
後者は0-0の3回無死1塁、田中の投犠、2-3と1点を追った7回無死2塁、田中の捕犠だった。

他には1回1死1塁、3番・今江のフルカウント勝負。
結果は三振ゲッツーになったが、1塁走者・ペゲーロにスタートを切らせた指揮官のタクトにも驚かされた。

昨年は走者1塁、打者フルカウントで1塁走者ペゲーロにスタートを切らせた例は、ほぼほぼなかった。
打者がウィーラーなど外国人が多かったこともあり、「ペギー動かず」が基本線だった。

昨年の反省を踏まえて今年は「機動力改善」を掲げるイーグルス。
そのなか、今対外戦で梨田監督も機動力を積極的に絡めた采配をふるうシーンが見受けられる。

これはこの時期だけなのか。
それともシーズン入っても続いていくのか。
興味深いシーンを見ることができた。

(下記へつづく)

両軍のスタメン 

広島=1番・田中(遊)、2番・菊池(二)、3番・丸(中)、4番・鈴木(右)、5番・松山(左)、6番・新井(一)、7番・エルドレッド(指)、8番・坂倉(捕)、9番・美間(三)、先発・岡田(右投)

楽天=1番・島内(左)、2番・ペゲーロ(右)、3番・今江(一)、4番・ウィーラー(指)、5番・内田(三)、6番・藤田(二)、7番・渡辺直(遊)、8番・嶋(捕)、9番・田中(中)、先発・美馬(右投)

岡田の打球管理を打破した今江、ウィーラーの連続タイムリー

特徴のあるピッチャーと対戦できたのも、収穫になった。

広島の先発は昨季12勝右腕の岡田。
上から投げ下ろしてくるスピードボールの使い手。
昨年はセリーグ4位のゴロ率56.6%を記録する“屈指のゴロアウト投手”だ。

岡田に打球管理されてしまい汲々とするのか。
逆にその魔法を打破していくのか?
という点で、ゲーム前から注目していた。

はたして結果は、5回途中まで投げた岡田の前にゴロ率80.0%と「管理される結果」に。

そのなか、岡田の弱点=制球難を突き、「もらった2四球」でチャンスを広げた3回の攻撃は、グッドだった。

頼みのペゲーロが見三振に倒れた直後の2死2,1塁だった。

「2死得点圏」は、あとアウト1個で好守交代という点で、攻撃側、守備側双方にとって要所だ。
ここを制することができるかで、試合の流れは大きく変わる。

その要所で、今年は勝負師の本領を取り戻しつつある今江がみせてくれた。
岡田の内角狙い投球に対し、詰りながらも中前へ運んだ当たりが、フライヒットの先制打に。(E1-0C)

なおも好機で、前日阪神戦で今季初の2安打を放ったウィーラーが続いた。
直前に胸元を突かれる内角攻めに遭いながらも、外の変化球をさからわず上手くミートした結果は、右中間を襲うイムリーツーベースになった。

この2本が、岡田が張り巡らす打球管理のバリアを打ち破った貴重な一撃になった。

山下によるリベンジの一撃

3回裏に2点先制しながらも、直後の4回裏、美馬がエルドレッドに2点二塁打を許して同点に。
ゲームは振り出しに戻って2-2の均衡がしばらく続き、終盤7回に突入というシーンだった。

7回表、広島に勝ち越しの1点が入る。
二番手・辛島が美間に左中間へソロ弾を浴びた。(E2-3C)

しかし、7回裏、イーグルスはすぐさま反撃に転じる。

この回から登板した新外国人カンポスを攻め、2点を取って逆転に成功! (E4-3C)
1死満塁、今江が放ったこの日2本目のタイムリーが左翼線を襲う2点打になった。

この逆転劇、解説・川崎憲次郎さんは1死3,1塁で1塁代走・島井がすかさず二盗を決め、足で揺さぶりをかけたことが大きかったと指摘していた。

もちろん、ぼくも島井の足が相手バッテリーにプレッシャーを与えたと思っている。

と同時に決して忘れてはならないのが、山下の活躍だ。

先頭打者で右翼線深くに二塁打を弾き返し「無死2塁」をお膳立てした立役者は誰だったか。
もしこの回、山下が先頭で凡退に倒れていたら、2点逆転劇は生まれていない可能性のほうが高かったと思うからだ。

ある意味、あの二塁打は、悔しさを晴らした「リベンジの一撃」だった。

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この後は、山下選手の胸中に去来したものの正体、美馬投手、ハーマン投手について書いてます。

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