Effective Altruism Japan

効果的利他主義(Effective Altruism)に関する記事を投稿します。 ご関…

Effective Altruism Japan

効果的利他主義(Effective Altruism)に関する記事を投稿します。 ご関心のある方は、ホームページの方もご確認下さい。(https://www.eajapan.org/

マガジン

  • 第1章 効果的なマインドセット

    もし自分の時間やお金を使って人を助けたいと思うなら、できるだけ多くの人を助けたいと思うのではないでしょうか。しかし、助けるために使える時間は限られているので、少人数よりも多人数を助けることができる介入策に焦点を当てれば、より大きなインパクトを与えることができるでしょう。 しかし、そのような介入策を見つけ出すことは非常に困難です。このためには、既存の考えを守ろうとするのではなく、真実を追求しようとする「スカウトマインドセット」が必要になります。

  • 第2章 インパクトの差

    約7億人の人々が未だに貧困にあえいでおり、その大半は低所得国に住んでいます。政策改革や現金給付、保健サービスの提供など、貧困にあえぐ人々を支援する活動は、極めて効果的である可能性があります。 本セッションでは、この問題を調査するとともに、ある介入策が他の介入策よりもどれだけ効果的であるかを議論し、重要な数字を推定するための簡単なツールを紹介します。

  • 第3章 革新的な思いやり

    私たちは人間以外の動物のことも気にかけるべきでしょうか?変わったトピックや変わった受益者を無視するのではなく、公平に気にかけることが重要であることを紹介していきます。

  • 第4章 人類最後の世紀?

    人類は、「存亡リスク」に直面しているようです。すなわち、我々の長期的な可能性をを自ら破壊する可能性があるということです。存亡リスクがなぜ道徳的な優先事項なのか、そしてこの重要事項がなぜ社会から見過ごされていのるかを検討していきます。また、また、私たちが直面するかもしれない大きなリスクのひとつ、COVID-19よりも深刻な人為的パンデミックについもて考えていきます。

  • 第5章 どんな未来が待ち受けているのか

    長期主義(Longtermism)とは長期的な未来を良くしていくことは道徳的最優先事項であるとする見方です。これらの議論は、ここ2週間で取り扱ってきた「存亡リスク」の削減に取り組むことの重要性をさらに強く訴えかけるものとなるでしょう。 また、人類の未来予測にいくつか触れ、またなぜ未来が現在とかけ離れたものとなり得るのか、その理由を探っていきます。

最近の記事

ウィリアム・マッカスキル「効果的利他主義の定義」

 今日、世界にはさまざまな問題がある。7億5千万人以上の人々が1日1.90ドル以下(購買力平価換算)で生活している[1]。マラリアや下痢、肺炎など、簡単に予防できる原因で、毎年約600万人の子どもたちが亡くなっている[2]。気候変動は環境に大打撃を与え、経済に何兆ドルもの損失をもたらすと言われている[3]。世界の女性の3分の1は、性的または身体的な暴力に苦しんだことがある[4]。3,000発以上の核弾頭が世界中で高い警戒状態(high alert)に置かれていて、短時間の内

    • 既定路線は破綻する

      この記事では、私たちは非凡な時代だけでなく、非凡な世紀に生きているという論を展開していきます。このシリーズのこれまでの記事では、100年先に起きるか10万年先に起きるかわからないものの、ゆくゆくは到来する可能性がある、奇妙な未来について話しました。 この記事の概要: 私たちは、世界経済が年率数パーセントのペースで成長していくことが当たり前だと思っています。それが何世代にもわたって続いてきたからです。 しかし、これは非常に異常な状況なのです。歴史をより全体的に概観してみ

      • 「決定的考慮事項と賢い寄付」

        2014年7月9日、ニック・ボストロームはオックスフォード大学オール・ソウルス・カレッジの効果的利他主義の大会「グッド・ダン・ライト」で「決定的考慮事項と賢い寄付」について講演を行いました。この講演はとても貴重な内容だと思い、文字起こしすることに決めました。 文字起こし全文この講演はニック・ベックステッドがランチの前に話していたアイディアの一部に基づいています。しかし彼の発表と比較すると、この私の発表は、うまくできていません。 本発表は大部分、完成途上のものであり、飛躍

        • 『Precipice』 第五章 【未来に潜むリスク】

          日本語版、Introduction to Effective Altruismの日本語教材の一部として、著者に特別に許可をいただき、『The Precipice』の日本語訳を行いました。著者、本の詳細についてはこちら。本の購入はこちらへアクセスください。 第五章 Future Risks今こそ、水平線をじっと見つめ、二十一世紀にはどんな可能性が潜んでいるのか考えてみよう。未来の可能性は、距離に隔てられ、はっきりと捉えてみることができない。どのテクノロジーが可能となっているの

        ウィリアム・マッカスキル「効果的利他主義の定義」

        マガジン

        • 第1章 効果的なマインドセット
          10本
        • 第2章 インパクトの差
          10本
        • 第3章 革新的な思いやり
          9本
        • 第4章 人類最後の世紀?
          11本
        • 第5章 どんな未来が待ち受けているのか
          8本
        • 第6章 スマーター・ザン・アス
          10本

        記事

          【練習問題】インパクトの差

          パートA(所要時間:20分)この練習問題では、あなたは世界の健康問題の改善のために慈善団体へ寄付することを計画していると想定してください。その寄付金によってどれほどの影響を与えられるか検証しているところです。 GiveWellはEAの考え方に触発された組織であり、世界の健康問題や開発の領域において、傑出した寄付先を提示することを目標としています。このツールを使って将来の収入を見積もり、GiveWellの上位慈善団体レポートを参考に、あなたの生涯収入の10%をこれらの慈善団

          【練習問題】インパクトの差

          GiveWellによる「寄付のすすめ」

          まず私たち(GiveWell)がみなさんに知っていただきたい大事な原則は 「寄付は誰かの人生を変えることができる」 ということです。 数千ドル(日本円で30〜40万円相当)ほどの寄付で、発展途上国に暮らす誰かの命を救ったり、暮らしを支援したりすることができます。ダイレクトメールでよく見かける”売り文句”のようでしょうか。どうかそう思わず!私たちは優れた慈善事業団体の活動成果について注目しお伝えしたいのです。詳しくは以下をご覧ください。 Your Donation C

          GiveWellによる「寄付のすすめ」

          5億人の犠牲、もう誰も死なせない

          私たちはその人たちの名前を知ることは決してないだろう。 当時は記録するための文字すらまだ存在していなかったため、最初の犠牲者は記録できていないだろう。その人たちは皆、誰かの娘や息子であり、誰かの友人であり、周囲の人々から愛されていた。そして、痛みで苦しみ、発疹に覆われ、混乱し、怯え、なぜこんな目に遭うのか、どうしたらいいのか全く分からないまま、狂気的で非人間的な神の犠牲となったのである。どうすることもできなかった。目に見えない怪物に対して反撃できるほど、人類は強くもなく、知

          5億人の犠牲、もう誰も死なせない

          課題候補のビッグリスト

          このプロジェクトを提案してくれたOzzie Gooen、編集に協力してくれたMarta Krzeminska、そして様々なコメントを寄せてくれたMichael Airdやその他の皆様に感謝申し上げます。2022年初頭、Leoはこの投稿で、2022年3月以前に提案された新しい候補を加えてリストを更新しました。 ここ数年、新しいEAの課題領域、課題、介入策の候補について多くの記事が投稿されました。このように、新しい課題を探すことは有意義な取り組みのように思えますが、それだけで

          課題候補のビッグリスト

          効果的利他主義とは何か

          はじめに効果的利他主義(effective altruism)は、他者を助けるための最良の方法を発見し、実践することを目標に掲げたプロジェクトです。 効果的利他主義は、この世界の最も切迫した問題とその最良の解決策の特定を目指す研究領域であるとともに、そうした発見を活用して〈よいこと〉を行うことを目指す実践コミュニティでもあります[1]。 効果的利他主義のこのプロジェクトが重要なのは、〈よいこと〉を行おうという多くの試みが失敗に終わる一方で、一部の試みは途轍もなく効果的で

          効果的利他主義とは何か

          慎重さの求め

          今回が「最も重要な世紀」シリーズの最後の記事である。このシリーズでは、次の数十年間で次のようなことが起こる確率が高い[1]と論じてきた。 PASTA(process for automating scientific and technological advancement; 科学技術の進歩を自動化するプロセス)などの技術発展。 その結果、生産性が爆発的に向上し、変革的なテクノロジーが今以上の発展を遂げる。 デジタルヒューマンが重要な役割を果たすか、不調和な(misa

          長期主義者のキャリア選択に関する現在の感想

          この記事では、長期主義者のキャリア選択について、私が現在考えていることをまとめています。80,000 Hours もこの問題に多くの時間を費やしており、私が費やした時間は彼らと比べるとはるかに少ないのですが、このトピックに関して複数の視点が存在することに価値があると考えています。 編集後記:この記事で長期主義に焦点を当てた理由については、こちらをご参照ください。 ここで挙げる仕事は、80,000 Hours が挙げている仕事と重なる部分が多いのですが、ここではそれらを異

          長期主義者のキャリア選択に関する現在の感想

          けが人の情報は入っていない

          数週間前、コネチカット州の農場の火災で10万羽の鶏が死んだ。普段の私は、工場畜産の恐ろしさをそれなりに割り切って考えることができる。しかしこの件は私の胸を痛めた。それから、鶏10万羽というのは基本的には、工場畜産業全体の規模に比して誤差に過ぎないということに、深い悲しみを覚えた。 この種の悲劇に対する世間の薄情さにも嫌悪を催した。特にある記事では、「火災によるケガ人の情報は入っていない("no injuries were reported in this fire")」と書

          けが人の情報は入っていない

          第8週:次のステップ

          概要EAプログラム上級編を受講することで、効果的利他主義における様々な問題を考え抜き、また他の、刺激的な効果的利他主義者との友情やつながりを育むことができたと期待しています。 この最終週では、これまでの学習内容が、私たちの抱える主要な不確実性、キャリアプラン、課題領域の優先順位づけにどのような影響を与えたかを確認するための練習問題に取り組みます。この練習問題を通して、次のステップのための見取り図を描いていきますが、この見取り図は今後も、自分自身と世界についてより深く学んで

          第8週:次のステップ

          第3週:信念をどう形成するか?

          ❗ 今週の練習問題は、第2週のディスカッションセッション終了後すぐに始めてください。 概要今週は、私たちを取り巻く世界についてより明確なイメージを持ち、自分自身と自分の仕事、その両方のためになる思考を向上させるプロジェクトについて議論します。このプロジェクトがなぜ重要なのか、その論拠を評価し、このプロジェクトに期待する理由をいくつか検討してから、次のステップを考えます。 効果的利他主義のプロジェクトは、世界をよりよくするための行動を起こすために、世界をより明確に把握しよ

          第3週:信念をどう形成するか?

          第2週:あなたにとって大事な価値とは?

          概要今週は、「効果的利他主義の発想の源泉となっている倫理的立場をいくつか検討し」「倫理的規範の変化の歴史が、よいことを行う方法にどのように影響を与えるか?」そして「私たち自身の価値観とEAが使うツールがどのように調和するのか?」について考えていきます。 効果的利他主義者たちは、よいことを行う際の不偏性を擁護することはしばしばあります。例えば、1000km遠くにいる人を助けるよりもすぐ隣の人の方が助ける価値があると考える内在的に道徳的な理由はないと多くの効果的利他主義者たち

          第2週:あなたにとって大事な価値とは?

          第1週:導入

          概要 本プログラムへの取り組み方 練習問題(所要時間:30分) このプログラムを通して何を得たいですか? 課題の優先づけ (所要時間:10分) 理由、核心、不確かな点 (所要時間:10分) 短いリスト(所要時間:10分) 概要今週は、本プログラムの概要を説明し、参加者の質問に答え、プログラムを通して目指す目標の設定に重点を置きます。 まず、参加者がお互いのことを知っていく機会として、簡単な一対一のアクティビティを行いたいと思います。年齢、学歴、専門分野など多様