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すべてがGになるから逃れて

 私は元々完璧主義だ。小器用で割となんでもそつなくこなせるのも手伝って、最初は興味を持ってはじめたことも、段々「取り組むべきこと」「結果を追求するもの」になってしまう。

 この傾向は育児に顕著だ。

 子供を持つことは、興味を持ってはじめたというほど軽いものではないのだけれど、子供にまつわることは、どんなことでも何一つ楽しめない。たとえば出掛けること一つ、子供に絵を描かせること一つとっても、子供を楽しませる「べき」、学びにもなる場所に連れていく「べき」とか、動物本来の色をちゃんと教えてやる「べき」かも、B紙を使って伸び伸びやらせる「べき」かと思ってしまう。クリアすべきポイントや辿るべきルートというものがあって、それを全部クリアしなきゃって思ってしまう感覚に近い(なので、私はRPGゲームもいまいち楽しめない)。

 子供は既に独自の意思を強固に持っているけれど、彼らが自分の意思で料理をする前の素材、何を受け取るかは、まだまだ親の選択、親のフィルターの影響が大きい。知り合いのお子さんが、小学生にあがってコロコロコミックを読むようになったらしい。他の家の進捗を聞くと、あっ、そうか、いつまでも絵本だけじゃ、と思う。年齢が上がるにつれ、しなければならないアップデートを、自分の育った足跡のままでなく、自分の足跡の逆振りでもなく、と考えながら与えるのは難しい。

 たとえば漫画を見せるにしても、うちの子は女の子だからコロコロは微妙かな(本人が興味を持たないだろうな)、じゃあ、私が子供時代買わせてもらえなかった「りぼん」や「なかよし」を与えるといいのか。いや、やっぱり恋愛に振り切れすぎている、女の子らしさがアップデートされていなさそうなものを与えるのはどうなの。それは先入観かもしれないから、今のりぼんがどうなのか、書店でリサーチしてみなくちゃ。こんな具合である。

 親の目から見て微妙なコンテンツだとしても、他の子がハマっているものを知らないでいるのも、コミュニケーション上の障壁になってしまうから、厳格に規制するのも考えものだ。事実、私はそれで同級生と話が合わなくて、大変に苦労した。

 「鬼滅の刃」は園で爆発的な人気だったから見せた。残虐シーンもあるアニメを、話題だからと、小学生にもなっていない小さい人に見せるということに対する葛藤はずっとくすぶっていた。「長男だから云々」という主人公の台詞も気になる。やっぱり、すべてが義務になっている。話題だから見る、という行為がそもそも私、苦手だった。鬼滅の話自体、私はあまり好きになれない。蜜璃ちゃんは可愛いけど。

 でも、子供と一緒に本気で楽しむべき、なのでは。私は楽しめていないから、親として片手落ちなのでは。


 子育てに関する、「すべてがGになる問題」「目の前の子供に向き合うべきなのに、何故か比べてしまう問題」については、もうちょっと煮詰めた上で、別のエッセイにまとめるとして、とりあえずコンテンツ探しだ。
 現代の倫理を踏まえていて、暴力や残虐シーンがなるべくなくて、楽しさもあって、欲を言えば勉強にもなって、私が楽しめるコンテンツ。「はたらく細胞」もいいなと思ったけど、メジャーすぎる。幼稚園児に見せるのには内容がミクロすぎるような気もする。「自分で見つけた感」が、「楽しめる」には重要だと思った。このコンテンツに溢れる時代、何かあるでしょ。


 見付けました。「天地創造デザイン部」 


 この作品、前から気にはなっていて(確かTwitterで原作漫画が流れてきたような)、1月からアニメ化していたらしい。神様が自分手ずから生物を作るのは面倒になって、デザイン会社に外部委託した、というストーリー。デザイン部の面々が考えたデザイン案を試作し、場合によっては実地試験をして、神様に気に入られると、メッセンジャーの天使、下田くんが神様からの電波を受信する。

「天啓です!」

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神「採用~!」

 デザイン部の面々は、一癖も二癖もある個性派揃い。自身の代表作、馬に惚れ込んでしまい、なんでも馬ベースに考える馬狂い、土屋室長、爽やかイケメンなのに、動物を作っては味見するのが趣味の木村、サイコパスなメガネ男子水島、オネエ風で派手好きな、鳥担当金森、毒・グロ系が好きなゴスロリ娘・冥戸ちゃん、アメフトでもやっていそうな大柄男子だけど、もふもふKAWAIIが大好きな海原さん、彼らデザイナーの案を試作し、技術面の助言提案を行う試作室の火口さん、変態的な技術力を持つ、典型的な理系ギーク・虫部の人達。皆愛しい。

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 天使の上田さんと下田くん。上田さん、「ふうらい姉妹」のお姉さんみある。あとメーテル。


 CMが挟まるタイミングに「本当にいる生き物図鑑」というコーナーがあって、採用された動物たちの解説があるのもためになって面白い。

 公式サイトを見たら、国立科学博物館が監修に入っていた。すげえ。

 OPもポップで好き。「All right」や「Yes!」という歌詞が入っているせいか、すごくポジティブな気分になれる。子供達は早くもこの歌を覚えて、ひっきりなしに歌っている。


私「ねえねえ、象の耳はなんであんなに大きいんだと思う?(天デ部で昨日見た内容のおさらいだぞー)」

子「うーん……うちわみたいにあおぐから?」

私「……(ざんねーん)」

 そんなにすぐには身に付かないよね……。子供達は、試作品のでっかい鹿(キリンの前段階)が脳貧血でぶっ倒れたり、ユニコーンが栄養失調と骨粗しょう症でぶっ倒れたりするのを見る方が楽しいらしい。子供は気に入ると何度も見る習性があるから、そこでぼちぼち身に付けてくれたらいいかな……。五年後、十年後とかに、「ああこれどっかで観たやつ」と思ってくれれば。


 1~3話ダイジェスト。観て観て! で、気に入ったらAmazonプライムで本編を!

「簡単に言うがな、ヘリウムなんて体内で核融合でもさせないと作れんだろ」


 天デ部を全部見終わったら、はたらく細胞を試してみてもいいかな、と思う。



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