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春の懺悔はこぼれていく

遅い春にひとりたたずむ
握りしめた手に見えない
花弁が消えないようにと
爪が食い込むほど力こめ

僕の失ったものはなんだ
手に入れたのものすべて
価値がないと嘯いていた
そんな時間がむなしいよ

見えない奇跡だけ追って
隣にあった愛を無視した
誰にも僕を止められない
肩をそびやかしていたが

人はひとりで生きれない
それを教えてくれた君と
歩いてきた道をまた僕は
見失ったいなくなった君

君の優しさを利用してた
僕は真実の愛を手に入れ
やはり僕は正しいのだと
勘違いして君を振り回し

いつしか君の微笑みすら
疲れて僕をなだめる為の
ただの仮面に変わってた
それも気がつかないまま

君が消えた桜のつぼみが
まだ固かった早春の朝に
君の残していった指輪が
僕のプライドゆさぶった

あの春の嵐の夜ひとりで
君は僕へのお別れの言葉
つむごうとしていたんだ
それさえ拒んだ僕の傲慢

帰ってくると思っていた
君の名前はあふれている
僕を捨てることはないと
僕を理解している君には

できないと思っていたよ

君が旅立ったと聞いた時
それは僕が笑い飛ばした
夢を叶える場所への渡航
知って僕はは少し震えた

君の名前はあふれている
ひっそりと僕の後ろ歩く
そんな人と思っていたよ
もどかしさと安心感さえ
ただの僕の勘違いだった

君の名前があふれている
僕の中で君が消えないよ
手のひらに残った光さえ
幻でしかない僕の贈った
指輪のダイヤがあざ笑う

君の名前はあふれている
海を越えて街にあふれる
僕の心にもむせかえって
花の香りの様にあふれる

遅い春にひとりたたずむ

言い過ぎたあのひとこと
言われなかったひとこと

春の懺悔はこぼれていく


【自己お題】

TM NETWORK
A DAY IN THE GIRL'S LIFEの歌詞を使って

君の名前はあふれてる


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