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コーヒーだけに落としちゃったね・・・。

あぁ。。。

自転車のうしろに積んでいるバッグのフラップを開けてため息が漏れた。
カフェのための装備と荷物が入っているそのバッグ。小樽で買ったはずのSATO BLEND BIEN CAFEのコーヒー豆が袋ごと無くなっていた。

札幌、大通り公園までの60kmを走り終えて、ホット一息つこうかと、後ろを振り返ったときに嫌な予感がしたのだ。いつも締まっているはずの、バックルが外れてストラップが垂れ下がっている。あわてて自転車を停めて確認したときには遅かった。

ごっそり袋ごと無くなっていて、もう記憶を辿るまでもなく、ここまでの道中のどこかで落としてしまったことに疑いはない。僕は割とモノに関しては立ち直りが早いほうだと思うのだけれど、今回ばかりは「きっとこれにも意味があるのだろう」なんて思うことはできず、ただただ単純に「僕がやってしもた」「気持ちもお金も台無し」そして「佐藤さんに申し訳ない」という気持ちに心はどんより曇ってしまった。

もう今さら引き返せないし、とりあえず札幌の目的地である友人の自転車店サムズバイクまで暗くなるなか自転車を走らせた。いつかまた小樽に帰ろう、そして今回のことを謝って、そしてまた豆を買わせてもらおう、そんな気持ちにきりかえながら。

サムズバイクに着くやいなや、社長の奈美さんはじめスタッフ、お客さんみなさんに出迎えていただき、持ってた使い残りのコーヒー豆を使ってCAFEをOPEN。

みんなに喜んでもらえたし、まぁよかったことにしようかと思っていたところにメッセンジャーのピローンという着信通知が鳴った。

送り主はまだFacebookではお友達になっていない方。こういうことはよくあるのだけれど、とりあえず開いてみておったまげた。そこにはこうあった。

*メッセンジャーで届いたメッセージ


なんと、なんと!

コーヒー豆を佐藤さんのところで受け取ることを申し出てくださった上原さん、佐藤さんのカフェに電話をかけ事情を話しお店を開けていただいたとのこと。そして、まさかの佐藤さんが・・・代金はいらないからと・・・。

自分の情けないミスでこうなったにも関わらず、みなさんのご厚意がつながり、その夜には佐藤さんのこだわって焙煎されたコーヒー豆が手元にまた届いた。ほんまに感謝してもしきらんほどの感動。これは絶対、佐藤さんにお礼にうかがわなくては!

夜遅くにコーヒーを届けてくださった上原さんに、早速佐藤さんのコーヒーを淹れさせていただいて、少しだけど自分の持っていたものでお返しさせていただき1日を終えた。


*後日談

8月、夏の子どもたちとの冒険旅を終え、北海道に戻ってから、小樽の佐藤さんに会いに行った。佐藤さん僕の顔を見てドヤ顔でひと言。

「コーヒーだけに落としちゃったね(ドリップも落とすという意味)」

さ、佐藤さん!弟子にしてください!


自分の人生を実験台にして生きているので、いただいたお金はさらなる人生の実験に使わせていただきます!