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コドモの夢を手伝えるオトナになろう

先日、東京・八王子の小学校で講演をさせていただいた。
小さな小さな学校だ。全校生徒は57名。それでも過疎がグッと進んでいるわけではなくて、子どもの数はそんなには変わっていないらしい。校長先生は明るくてほのぼのしてる。ちょうど僕が自転車で学校にかけつけたときも、学校の前の交差点で旗を持って登校してくる子どもたちを迎えていた。

会場は図書室。ギュッと詰め込まれた子どもたちと、うしろには親御さんたち。さぁやるか。いつもの講演の時間がはじまった。

やっているあいだは、いつでもアツくてほんの少しだけ静か。気持ちを込めて語りながら、子どもたちの様子を感じとりながら。それは自転車で走りながらペダルを踏み込みながらも、少し先のカーブを見据えて、自転車をどうカーブに沿わせていこうか考えているようなときに似ている。

いい時間だったと思う。少人数だから渦のような笑いの空気は作れないけれど、それでも自分のできることはやった。そのあと授業参観をさせてもらって、校長先生にご挨拶をして、少し火照ったカラダを冷やしながら自転車を走らせ帰った。

夜にメールが届いた。

今日講演に来て頂いた、八王子市立上川口小学校の保護者のひとりです。今日は、楽しく心に響くお話、ありがとうございました。娘たちは一日中、寝坊して講演に来られなかった主人に、西川さんの話をしていました。娘の将来の夢は、デザイナーになり自分のブランドを立ち上げ、服を作る工場を恵まれない国に作り、その国の人たちが仕事をしてお金を得られるようにすることだそうです。今日の話を聞いて、ますます海外に興味が湧いてきたようです。本当に貴重なお話をありがとうございました。

こんなメールがいつでも「やっててよかった」を僕に届けてくれる。すぐに返信を送った。

気持ちのこもったメッセージありがとうございます。娘さんの夢、そしてかえってからご主人にお話をされていたこと、聞かせていただけてほんとに嬉しい気持ちになりました。こちらこそ学校での貴重なお話の時間をいただけてありがとうございました。僕の友人には何人もデザイナーや洋服ブランドをやっている仲間がたくさんいます。僕もお話には出しませんでしたがネパールで服作りをしているんですよ、仲間たちとともに。いつでもアドバイスできることあればお気軽にご相談ください。僕の仲良しが「アトリエふわり」というブランドをしています。よかったら調べてみてください。彼女は「土に還る服」というコンセプトでタイで服づくりをしています。

そしたら、次の日ぼくのもとに来たメッセージはこの親子ではなく、友だちのアトリエふわりのデザイナーひろみさんからだった。それも2日続けて。

まさくん○○さんからご連絡いただきました!ありがとう😊お母さんとお嬢さんにお返事させていただくね!喜びのシェア、ありがとう✨

まさくん
あれから葉月ちゃんとおかあさん経由でメールのやり取りをしています。葉月ちゃんが気に入っているデザイン画が描けたらデザイン画を送ってくれています。うちでできそうなものがあったら、葉月ちゃんと相談して作ります。かならナチュラルな感じで可愛い、葉月ちゃんのデザインです😊ほんとに喜びをありがとう💕

そのデザイン画がこれ。

アトリエふわりのイメージに合わせて、ひろみさんにデザイン画を送っているそうだ。そして数日前にはこんなメッセージがひろみさんから届いた。

最初、いろいろ質問が来て、私なりに思うことお伝えさせてもらいました。デザイン画がナチュラルな感じだったから、葉月ちゃんのデザイン画でうちで作れそうなものがあったら、一緒に作ろう!って。毎日、描いているそうですよ!ふわりをイメージしても描いてくれていてやり取りが楽しいですよ😊

ひとりの小学4年生の描いていた夢が、たった数日で動きはじめた。
いつか彼女の服ができあがったら、ぼくはひろみさんと一緒に彼女に会いに行きたい。ひとりの女の子の夢が、思い描いたイメージがカタチになった瞬間を一緒に見届けたい。


ぼくが生きているあいだにできることなんてたかが知れてる。
僕が生きてやりたいことは、何かのバトンをつなぐことだと思ってる。
それは具体的なものである必要はなくて、誰かの明日がちょっとだけ明るく感じることだったり、誰かの夢をすこしだけお手伝いすることだったり、自分が好きな人たちを引き合わせることだったり。

そのときどきに何か深く考えたり、あとまで見守らなくても、ときどきこうして見せてもらえる自分のバトンの行き先がたまらなく嬉しかったりする。生きててよかったと思えたりする。

子どもはおとなが筋道を立てて導くべきじゃない。
彼らが自らこの世界で生きて、浮かべた思いやビジョンをカタチにするお手伝いをするのが僕が思うオトナであるべきだ。
だってこれからの社会を生かすのも作るのもこれからオトナになっていくコドモたちなんだから。

https://www.atelierfuwari.com/


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