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誠と嘘

期待を裏切るという言葉が示すように、期待外れを予想しつつも、実は箱を開けるとサプライズであった!といった時に出会すとハッピーな気分で満載だ☆

反対な時もある。
期待していながらも、箱を開けると…😩
といった事もある。

そもそも、期待をせずに地道に歩まねばならないのだろう。

善悪を誠と嘘と例えると、社会に蔓延る善が偽善へと変換できるから世の中は面白いものだ。

こういった事とは直接結び付かないのだが、今回紹介する邦題『風暴 ファイヤー・ストーム 』という映画は人間の心情と、公に明かせない壁といった悪人を取り締まる警察官と、裏をかく犯罪組織を取り巻くアクション映画である。


主演はロイ警部を演じるアンディ・ラウだ。
常に冷静な判断を下し、実直な性格でもある。
事実はどうなるかはさておき、この作品の醍醐味といえる点は、ド派手なアクションと人間心理を垣間見せる物語となっている。

ロイの幼馴染であるトーは対照的な性格であり、異なった人生を送っている。
先ほど紹介した通りロイは警察官として秩序に従う。
一方のトーは、所謂半グレと称されるチンピラ同然で、数日前まで刑務所で過ごしていた先の見えない不埒な人間だ。

しかしトーには愛する恋人がいた。
出所後、恋人はトーに対し親身になり、不埒な生活から脱却して欲しいと願い就職先まで斡旋する程であった。


一見すると、交わる事のないロイとトーだが、この作品は二人の視点で物語が進む。
ロイは同僚からも堅物な性格として知られ、歪んだものを正すほど真面目が取り柄の男である。
反対にトーは恋人と慎ましい生活を送りつつも、かつての習慣が離れないせいか、悪い連中と肩を並べ悪行に手を染めていた。

またロイはなかなか尻尾を出さない凶悪強盗団のボスであるツァオを常に監視し、逮捕に繋がる情報を常に気にしていた。

そんな中、白昼堂々と輸送車が大胆な形で襲われる。
クレーン車で輸送車の全面を抉り取るように掴み取る。
すると輸送車は空に持ち上げられ自由を奪われた後、地面に叩き潰される。

ロイと警察の仲間達は事件現場に急行するが、まるで警察側の動きが把握されているかのように、身動きが取れず犠牲者を出してしまい解決には至らなかった。

詳細を語ると、激化する事件現場に偶然居合わせた女性が人質となる。
ロイは複数の犯人を追い込むが、予想外の展開が起こる。
それはロイが乗った車の横を猛スピードで突っ込む乗用車に叩きつけられ、身動きが取れない状況でロイの目の前で無惨にも人質の女性が無惨にも殺されてしまう。
しかも、ロイの乗った車に突っ込んだのが幼馴染のトーだったのだ。
偶然にしてはきな臭さを感じ取ったロイはトーを警察署へ連行し事情聴取を行う。

この物語はこれだけに止まらない。
ほぼ同じ頃、トーが刑務所から出所した時に、ロイが可愛がり預かっている障害を持った娘の父親であるトンも出所した。
トンは情報屋でもあり、長年ロイが敵視するツァオの組織を撲滅したいと考えている事を知り、自ら潜入捜査をしたいと申し出るも、幼い子供の父親であるという理由で却下される。

しかし、ロイ自体に余裕がなかったという事もあり、結果的にトンに協力を求める。

残念な事にこれらが引き金となり、ロイの計画やトンの潜入捜査も組織に筒抜けとなりトン親子は無惨にも帰らぬ人となる。

この物語で核となる人物が、トーの恋人の弟の存在だ。
無能ながらも、情報収集はハイテクを駆使し、トーにツァオの事柄や有利な情報を送り続けていた。
元々トーの義理の弟は後ろ盾であるツァオを倒し、いずれ自身が君臨したいといった野望をトーに告げる。
経験不足の弟に無理な事だと知ったトーはその場で叱る。
叱られた弟は違う角度で事実を浮き彫りとさせる。

本当の悪人はツァオではないといった証拠を掴む。
この事を最初に察したのがトーではなく、何故かロイだった。

いやはや、事の真相が根深くもあり複雑と化す。


何が事実であり、どれが虚構なのかも誰も区別することが不可能だ。

だが、いずれにせよ真実がどこかに埋もれている事をトーは知る。


この作品は冒頭からテンションが高い。
中盤から更に早まると、錯覚を起こすほど事実と非現実の区別が不可能となる。

作品のレベルの高さと良い、俳優陣と脚本の優れた点を良い、文句の付けようがない秀作と称しても過言ではない。


このような作品を目の当たりにすると、残念ながら日本は足元に及ばない事を痛感せざる得ない。

同じアジア人として、香港はもとより、隣国である韓国では快挙となるアカデミー賞初の助演女優賞を受賞した。
日本にも優れた俳優は存在することは確かだ。
映画を作る環境や、映画を支援する企業の少なさと、規制が壁となる良質な脚本が手がけない事実と重なり、世界基準で考えると分母が弱い点が欠点となっているのも事実である。

これらは映画を愛する者もとしての大きな課題なのだろう。
多分…きっと…

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