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最近の記事

詩:オムライスなら無限に食える

オムライスなら無限に食える と豪語している知人がいた そう?とわたしは言った それはすごいね その人は首を振った 別に自慢じゃないんだ これは呪いなんだ 呪い? そうなんだ その日のランチ、わたしとその人はオムライスを食べに行った 「完璧なオムライス」と言いたくなるようなオムライスがテーブルに置かれた。もしプラトンが言うようにイデア界というものがあるのなら、オムライスのイデアはきっとこんな風なのだろうと思った その人は手を合わせ、いただきますというと

    • 詩:『家の扉』と『右足の小指の爪の先』を取引する

      あなたは扉のない家の壁を夢中で叩きつづける 名も知らぬわが子の名前を呼び続ける どれくらいの間 叫び 壁を叩き続けたのだろう ふと横を向くと黒いスーツ姿の男がこちらを見ている 「どうしようもありませんよ。扉がないんですから」 男は言った 「でも、わたしの子供が家の中にいるんです」 男はなにもかも承知しています、という風にうなづき、 あなたに名刺を渡した 「わたしは悪魔です。お望みであれば、この家に扉をお付けすることが可能です」 あなたは目を細め、男を見る

      • 詩:家に入る扉がない

        ここはどこだろう 別荘のような家々があちこちにある 多分 避暑地として使われているリゾートなのだろう 葉の青い香りを肺いっぱいに吸い込む 確かな幸福の実在感をボールのように弄ぶ とても素敵な一軒の家を見つける それはあなたのための家なのだ あなたは鼻歌を歌いながら家に近づく 家からは赤ん坊の泣く声が聞こえる それはあなたの子供だ 早くあやしてやらなければ そう思い小走りする が、 この家には扉がない 家に入れる扉がない あなたは速くなっていく動悸

        • 詩:うずくまって愛してるという人

          あなたは 純粋な、肉体をもたない『視点』となって 夜の街のなかを浮かんでいる フワフワ浮かんでいるあなたはある部屋に迷い込む ライトのついていない暗い部屋の中で、体育座りをしているひとがいる aishiteru アイシテル あいしてる アイシテル 愛してるaishiteru アイシテル あいしてる アイシテル 愛してるaishiteru アイシテル あいしてる アイシテル 愛してるaishiteru アイシテル あいしてる アイシテル 愛してるaishiteru アイ

        詩:オムライスなら無限に食える

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          2本
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        記事

          詩:保湿クリーム [こころ用]

          風のなかのほこり ほこりの中には無数のナイフ 髪の毛の大きさくらい だからみんな気が付かない 無数の切り傷と 「カサカサ」に乾燥しているの自分のこころの表面を そんなときにはこのクリームを塗るといい 使い始めたばかりだけど悪くないよ 主な成分はセラミドとあたたかさとユーモアって書いてあるね 試供品を持っているから ひとつあげるよ たっぷりこころに塗るといい クリームがこころに浸透していくのがわかるだろ? こころの中で もりのくまさんや ひねくれものの

          詩:保湿クリーム [こころ用]

          詩:コップの中の緑色の液

          テーブルの上にコップが置いてある コップには緑の液体が入っている 浄化されていない 汚染された 汚濁した 液体だ 立ち上がればテーブルの裏にひざが当たって この緑色の液体はこぼれてしまうだろう テーブルの向こうには 窓の向こうには 電車にいままさに乗ろうとしている人たちの中に 「あなた」というまぼろしが見える 立ち上がって 手を振りたい 立ち上がって 抱きしめたい でも… この液体がこぼれて あなたの服をよごしてしまう 「それがいやなんだ」 と わ

          詩:コップの中の緑色の液

          詩:詩のレシピ

          材料 こころ 適量 経験 適量 感情 適量 ことば 適量 作り方 ①自分の口から手をゆっくりといれます ②こころに手が触れたら、こころのなかにあるものを慎重に取り出します ③「こころのなかにあるもの」をことばに置き換えます。ミキサーを使っても構いません ④お好みでスパイスを!好きなデザートと召し上がれ! #私の作品紹介 #小説 #創作 #詩 #現代詩 #短編 #散文詩 #ポエム #読書 #アート #人生 #物語 #映画 #写真 #対話 #日記 #メンタルヘルス #

          詩:詩のレシピ

          日記:悪夢を1000円で買った

          休日いつものように公園のベンチで天使と話していた ぼくも天使もやることがないのだ 「〇〇さん、悪夢を買ってみませんか?」 「悪夢?買わないよ、そんなの」 「悪くありませんよ。お金を払ってわざわざホラー映画とか気分の良くないものを観るでしょう?それと同じです」 「その悪夢は誰のものなの?」 「いまは天界が管理しているのですが、もともとは地上の誰かが見ていたものを天使が『収穫』したんです」 なんのために夢を『収穫』するんだろうと思ったが、深くは聞かなかった 「いま

          日記:悪夢を1000円で買った

          詩:永遠にはじまらない旅

          小さなアパートの一室 そこには池があってボートが浮かんでいる (なんでこんな狭い部屋に池なんかが?) ボートには中年を少し過ぎた男が座っている あなたはこう話しかける 「こんなところにボートを浮かべて何をしているんですか?」 男はこう答える 「待ってるのさ」 何を?とあなたは聞こうとするが声が出ない その代わり「それじゃ、また」と言う 男は待っていた 旅がはじまるのを 男は待っていた この池が未知なる世界につながるのを 「トイレの水を流すみたいに」

          詩:永遠にはじまらない旅

          詩:人差し指で火を灯せる青年の話

          天使に聞いた話 ある街で暮らしている若い男がいる その街は郊外にあり、近くにはショッピングモールや公園しかない 子どもをもった家族とかであればいい環境なのかもしれない 青年が好んだのは映画と絵画だった 彼が都会に住んでいるときには 空いた時間があれば映画館か展覧会に足を運んでいた ミニシアターも美術館もないこの街は 青年にぴったりの環境とはいえなかった 一年、二年とそこでの生活が長くなるにつれて 「野心」といったものが無くなっていくのを感じた 映画も絵画

          詩:人差し指で火を灯せる青年の話

          日記:拳銃を構えた男の銅像を救う話

          ぼくの住んでいる街には「拳銃を構えた男の銅像」がある それは銅像のタイトルであり、銅像のあり方そのものでもある 銅像とはいえ拳銃を構えている人間を街のモニュメントにするなんて明らかに悪趣味だと思う 最近、ある事件が起こった 銅像の前でひとりの人が倒れ、亡くなってしまったのだ 死因は不明、外傷も持病もなく、それほど年も取っていない 「銅像が撃ったのだ」 と街ではうわさになった 事件のあと、ぼくは繰り返し同じ夢を見た ★★★ 真夜中、銅像が涙を流している なぜ

          日記:拳銃を構えた男の銅像を救う話

          詩:自分を嫌うたびに美しくなるひと

          昔の知り合いの話 わたしの知り合いに「恐ろしく」美しい人がいた そしてどんどん美しくなっていった その人は自分を嫌うたびにその美しさが増すのだ、と言っていった その人と初めて会ってから、最後に顔を合わせるまでに たぶんその人は当初の三倍くらい美しくなっていた その輝きで多くの人を魅了し、好かれた だけどその人は愛されてはいなかった その人のこころはいくら水を注ごうともどうしようもないくらい 乾いていた 人生に疲れたとき ときどきその人のことを思う その

          詩:自分を嫌うたびに美しくなるひと

          詩:見知らぬ老人が助手席に乗り込んでくる

          こころの痛みの声が聞こえなくなるように ハードロックミュージックを大音量で流して 車を運転していた 信号待ちをしていると 見知らぬ老人が助手席に乗り込んできた 「ここをまっすぐいくんだ」 ぼくはだまってうなずき、老人の指示に従った 老人はその後もぼくに行先の指示をし続けた ふしぎなことに老人の声はだんだんと僕の声そっくりになっていった 頭が混とんとした状態になり 彼の指示で動いているのか、自分の意志なのかさえ判別がつかなくなった 我々は「どこか」についた

          詩:見知らぬ老人が助手席に乗り込んでくる

          日記:天使と話して

          久しぶりに天使に会った あれ以来、時々会って話をしている 天使は天界に居場所がなく、わたしは地上に居場所がなかった 天使とは地上のSNSを使って連絡している 「天界でもインターネットが使えるんですね」 「そりゃ使えますわ。天使もWi-Fiもビュンビュン飛んでますわ!ガハハハッ」 案外天界と地上の距離は近くなってきているのかもしれない ______________________________________________________________ 「

          日記:天使と話して

          詩: 春に取り残されて

          春に取り残されて 夏に追いつけず 秋が冬になりかけたとき、ようやく春らしい心持ちになり 冬になったときには もう 今年も春は 遥か前方 今年も冷たい 春風も #私の作品紹介 #小説 #創作 #詩 #現代詩 #短編 #散文詩 #ポエム #読書 #アート #人生 #物語 #映画 #写真 #対話 #日記 #メンタルヘルス #音楽 #英語 #ENGLISH

          詩: 春に取り残されて

          詩: 銅像に救命処置をする男の話

          散歩していると街の銅像に救命処置をしている男がいた 胸部圧迫をして、人工呼吸をしている 男はわたしを見ると「AEDをもってきて!」と叫んだ わたしは鼻で男を笑い、その場を後にした 夜、妙な夢を見た _____________________________________________ 今朝、男が救命処置をしていた女の銅像がむくりと起き上がり 夜の街を闊歩している 銅像が歩いているというのに誰も気にも留めない 気づいていない 女の銅像はあるアパートの一室

          詩: 銅像に救命処置をする男の話