関西建築散歩。〜フランク・ロイド・ライトのヨドコウ迎賓館。
建築界の巨匠フランク・ロイド・ライト。
母国アメリカ以外で建築を残したのは、日本だけらしいですね。しかし、数は少ない。貴重です。
1. 旧帝国ホテル。(愛知県犬山市の博物館明治村に移築されたもの)
2. ヨドコウ迎賓館。(旧山邑邸。兵庫県芦屋市)
3. 自由学園明日館。(豊島区西池袋)
このくらいでしょうか。数は少ないですが、全て、一般に公開されているんですから、こりゃ、何とスバラシイことでしょう。
今回は、2.のヨドコウ迎賓館に行ってきました。ワタクシ、ここが大好きでして、もう何回行ったか…でも、
何回見ても、イイんです。
しかも、修理中で2年3ヶ月の間非公開だったものが、この2月から再開されたという、ラッキーなタイミング。
ところでこのヨドコウ迎賓館、今は淀川製鋼所さんが買い取って一般公開されていますが、元は山邑邸といって、個人のお宅。
神戸市灘区から西宮市にかけての地域は日本屈指の酒どころですが、この山邑さんも、"櫻政宗"銘柄の酒造会社のご当主。
娘婿がライトの弟子である遠藤新氏と知り合いだったことで、この別邸が実現したとのことです。
では早速、ワタクシ的4つの見どころクライマックスを交えながら、建物をバーチャル見学風にご紹介していきます。
まずこの建物、
ものすごく急な丘の中腹に、斜面に沿うように建っています。
(↑最初の2枚はウィキペディアより↓)
門を入り、長いアプローチを登っていくと…
…ドーン💥
玄関と車寄せが現れます。
いきなりココ、クライマックスその1です。
というのも、建物がホントに森や山と一体化していて、近所まで来ても見えにくいので、ここまで来て初めて、ライトっぽい建物の全貌(全部でもないんですが)が見えるわけなんです。
↑写真右奥の方に向かって、上に登っていく感じで、斜面に沿って建ってます。這うような低い建物にも見えますが、山が登るに従って建物も登っていくので、こう見えても、中に入ると、
なんと4階建なのです。
さて、この玄関の吹き抜けの開口部をくぐると、エントランスです。入館料は大人1人500円。ワタクシここが大好きなので十分お安い。
また、個人使用のためなら写真も可という寛大さもありがたいです。
中に入るとまず、階段。
斜面に沿って建っているので、数段しかない階段を含めて、あちこちに階段があります。
迷路みたいでもあり、重厚なだけでなく、軽やかというか、楽しさのある空間になってます。
そして最初に入る部屋は、2階応接室。↓
どーですか!
ここが第2のクライマックス。
ある種、荘厳な感じもしますが、非常に明るくて開放的です。さらにディテール好きにはたまらない、こういう棚とか↓
こういう飾り窓なんかが↓
沢山あります。これ、毎日開け閉めしているのかなぁ。
↑窓からは芦屋市内が一望できます。
次に、3階に登りましょう。
3階で出迎えてくれるのがこの廊下。↓
これが、第3のクライマックス。
天井から床までの大きな窓から明るい光が差し込みます。日本家屋の、
縁側の雰囲気
があると思います。
窓にはライトお得意の、植物をモチーフとした飾り板。
この右手には、襖を開け放つと広々とした空間になる和室が。写真撮り忘れたのでホームページから。↓
この、天井に近い壁に、鴨居というのか、木のフレームを巡らす手法はホント美しいし、かといって飽きもこない感じなので、我が家のリビングにもデザインを取り入れてもらったくらいです。
↑和室から廊下を見る。美しい…
↑部屋と部屋との間も2,3段の階段で段差をつけてます。開口部の向こうの部屋の方が低いので、見え方が面白く、楽しげです。
さあ、最後の4階に上がりましょう。
まずは、食堂です。
天井が高く、ピラミッドのような形になっています。教会のような。そして壁や天井の装飾がこれぞライト、という感じ。
そして最後、第4のクライマックスは、ここ、バルコニーです。↓
↑バルコニーから食堂側を見たところ。
このバルコニーを取り巻く、外付けの階段がありまして、3階、2階へと繋がってるんですが、こらも迷路みたいで楽しい。この家に子供が来たら、喜ぶだろうなあ。
↑ちょっとこの石の形や装飾、見てみてください。
そして、次に下の写真を見てみてください。↓
ほーら。似てますよね。
こちらはライトがLA近郊に設計した、Hollyhock House(ホーリーホック・ハウス=立葵の家)といういう愛称で呼ばれる、バーンズドール邸。
近い時期に建てたのでなんとなく似ているわけですが、彼の母国アメリカと、遠く離れた兵庫県芦屋市にそれぞれ、一目でライトだとわかるような家が建っている。
そのうち1つは、いつでも見に行ける。うーん、
幸せなことですよねー。
それでは、またー。
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