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個人事業を立ち上げるなら簿記を勉強するべし

個人事業を立ち上げたばかり、これから立ち上げようと考えている方に読んでほしい記事になっています。
私は鍼灸師ですが、開業して間もなく経営困難に陥り、閉業してしまう鍼灸院、整骨院、整体院の話をよく聞きます。
また、知識がないばかりに怪しいセミナーに参加して大金を払ったという話も聞いたことがあります。
これらの業種に限らず、個人事業を立ち上げたばかり、これから立ち上げようと考えている方達にはそのような思いをして欲しくないと考え、執筆しました。是非、読んでいってください☺

1.簿記とは

簿記とは、事業の中で行った経済取引の内容を記録し、管理することです。
経済取引のないようについて、少し踏み込んだ書き方をすると、
下記の3つを指します。

・資産 = 会社が保有する、預金、株式、土地、設備 等
・負債 = 未払金、買掛金、支払い手形 等
・純資産 = 資本金、利益剰余金 等

聞いたことがある単語も多いかと思います。
簿記とはこれらの増減を記録し管理することです。

2.個人事業主が簿記を勉強するメリット

個人事業主が簿記を勉強することには、以下のようなメリットがあります。

・節税に繋がる。
・安心して事業を行うことに繋がる。
・余計な支出を減らすことができる。

一つずつ解説していきます。

2-1 節税に繋がる。

事業主は一年間の所得を計算し、そこから算出された所得税を支払う
確定申告という作業を行わなくてはいけません。
聞いたことがある方も多いと思います。
この確定申告を行う際、申告の方法によって税金の控除額が変わります。
この申告の方法を白色申告青色申告といいます。
白色申告と青色申告のそれぞれの特徴は下記です。

・白色申告:帳簿に記入する記帳という作業が簡易的になっており、
簡単に確定申告が行えるようになっています。
ただし、適用される控除は配偶者控除などの所得控除を除くと、白色申告と青色申告の両方に適用される基礎控除と呼ばれる、年間所得2400万円以下で48万円の控除のみしか受けることはできません。

・青色申告:いくつかの条件を満たすことで、所得控除基礎控除
 加えて、青色申告特別控除を受けることができ、55万もしくは、65万円の
 控除を受けることができます。
 青色申告特別控除を受ける条件は下記の通りです。
 ※山林所得の場合は青色申告特別控除は10万円しか受けられません。

(1)記帳の方法を複式簿記で行うこと。
複式簿記
とは、一回の取引を複数の科目で記録する記帳方法です。
取引の流れを詳細に記録することができますが、手間がかかります。

(2)発生主義であること
取引の際に、現金や商品の受け渡しがあった時点で記帳することを現金主義といいます。それに対し、発生主義とは取引が起きた時点で記帳することをいい、青色申告特別控除を受けるには発生主義で行わなくてはなりません。

(3)青色申告決算書(損益計算書と貸借対照表)の提出
 損益計算書:企業のある一定期間の収益・費用・利益の3つの要素を
 まとめた表
 貸借対照表:ある時点での企業の資産・負債・純資産をまとめて、
 企業の利益と支出を示したバランスシート

この二つを合体させた青色申告決算書という書類を提出しなくてはなりません。

(4)期限内に申告する。
 文字通り期限内に申告する必要があります。
 提出期限は毎年3月15日です。

(5)電子帳簿で保存する。もしくはe-Taxで申告する。
 55万円の控除でよいのであれば、(1)~(4)の要件を満たせば受けられます。 
 もしも65万円の控除を受けるのであれば、
 電子帳簿で保存する。もしくは、e-Taxで申告しなくてはいけません。
 (1)~(3)ができるのであれば、この要件は難しくないので行うことを
 勧めます。

これらの項目の内、(1)~(3)は簿記の知識があった方が苦労せず行えます。
特に複式簿記日商簿記3級程度の知識が必要になります。
少なくとも日商簿記3級程度の知識があれば、年間で数万~数十万円の節税が行えるといえます。

2-1 安心して事業を行うことができる

簿記を勉強すれば、資産・負債・純資産の動きを詳細に把握することができます。これにより、事業の経営状況を知ることができ、分析をすることもできるようになります。さらに、物品の必要な量を把握するといった、在庫管理にも役立てられます。また、将来的な事業計画や資金計画を立てる事ができますので、安心して事業を行うことに繋がります。

以上のように、個人事業主が簿記を勉強する事で、経営を有利に進める事に繋がると私は考えます。
では、簿記といっても全商簿記、全経簿記、日商簿記と種類がありますし、それぞれ1~3級までありますから、どれを勉強すればよいのか分かりませんよね?
では、どれを勉強すればよいのか、次項で解説していきます。

3.簿記はどれを勉強するべき?

まず、簿記の資格は下記の3種類があり、それぞれに1~3級があります。

・日商簿記
・全経簿記
・全商簿記

この中で勉強するべきなのは日商簿記です。
全経簿記は経理、会計の専門学生が取得する資格で、全商簿記は商業高校の学生が取得する資格です。
難易度としては、日商簿記>全経簿記>全商簿記 の順です。
この中で一番実用的なものは日商簿記となっています。

では、1~3級の何級の範囲まで勉強すればよいかというと、事業内容によって異なります。
もしも、製造業や建設業といった事業内容であれば、原価計算などの工業簿記の知識が必要になりますので、日商簿記2級程度の知識があったほうが良いでしょう。それ以外の業種では日商簿記3級程度の知識で十分だと一般的には言われています。とはいっても、日商簿記2級では、3級の範囲をさらに深く掘り下げますので、2級程度の知識があるに越したことはないでしょう。

4.簿記を勉強する方法

では、どうやって簿記を勉強すればよいでしょうか。
勉強方法には、以下のようなものがあります。

(1)独学

参考書を使って自分で勉強する方法です。
日商簿記2級程度であれば、独学で十分だと思います。
基本的に参考書で勉強して、理解できない部分はネット検索で補いましょう。このご時世、ネット検索ですべて出てきます。
それに、費用も参考書代のみで済みますからね。
参考書で勉強するのが苦手な人は、通信講座を受講してもいいかもしれません。オンデマンド配信を見ながら、送られてきた教材を使って勉強する方法が多いです。

(2)予備校

講師から直接指導を受ける方法です。
独学に比べて、理解が早いとは思いますが、費用がかかりますし、
決まった時間に授業に出席する必要があります。

5.さいごに

個人事業主が簿記を勉強することの重要性が分かって頂けたと思います。
特に青色申告の55万円/65万円の控除は非常に大きな金額になりますね。
この控除を受けるには、最低でも日商簿記3級の知識が必要です。
是非、勉強してみてはいかがでしょうか?


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