誕生日
ある日いきなり、最近知り合ったAさんからプレゼントをもらった。
「誕生日おめでとう!」
「え、私?誕生日ぜんぜん違うんだけど…?」困惑する私。
「あれ、いつだっけ?」
まあいいじゃん、受け取ってよ、とAさんは笑顔を向けてきた。
いや、まあ、嬉しいんだけどね。ありがとう。
思い返せば、滅多に他人に誕生日を教えない私はAさんにも誕生日を教えたことはなかった。
しかし、あたかも一度知った情報のように「いつだっけ?」と聞かれれば、何の気なしに反射的に答えてしまっていた。
後日、Aさんに会った際、「策士だね」と、その話に触れてみたら、こんなことを言うのだった。
--"君"が生まれたことの喜びや感謝を伝えたいだけなんだから、誕生日なんて構わないんだよ。
誕生日じゃなきゃ祝えないなんて決まりはないじゃない?
それに、毎年同じ日にプレゼントしたら、渡すものにも限界があるじゃん?
冬生まれの女友達が「毎年増えるハンドクリームたちを使い切る自信が全くない」と嘆いていたよ。--
その出来事があった次の年、
Aさんは私の誕生日にプレゼントを渡してきた。
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