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Milk inside a bag of milk inside a bag of milk and Milk outside a bag of milk outside a bag of milk と Milk inside a bag of milk をやったし考察もまとめた。


エベレスト食肉センターです。
しばらく己のゲ制に忙しくてインディーゲームができてなかったんですが、色々一段落したので

Milk inside a bag of milk inside a bag of milk and Milk outside a bag of milk outside a bag of milk と Milk inside a bag of milk をやりました。

好きなタイトルですがあまりに長すぎるので、1作目を「ミルクの中」、2作目を「ミルクの外」と呼ばせて頂きますが下記のゲームです。

概要(ゲーム紹介)

ミルクの中:Milk inside a bag of milk inside a bag of milk
Steamにて100円程度、Switchでもできる10分ノベルゲー。ジャンルは鬱ゲー……なのか?広く言うと……?多分……?まあそのジャンル分類が1番わかりやすい気がする。

精神疾患のある女の子が牛乳を買いに行くゲームで、100円程度なので普通に買ってやった方がいいです。僕は事前情報なしでやってよかったと感じた。


ミルクの外: Milk outside a bag of milk outside a bag of milk

ミルクの中を見た人は1000円払って外も見た方がいい(説明不要)。Switchで買うと600円らしいのでSwitchでもいいかも。
前の絵が好きだったな…という部分がやや僕の購買意欲を削ぎましたが、結果そんなことは気にならなくなったのでセットでやった方がいいです。
この絵じゃないとダメだった理由もわかるし、この絵も可愛い。


感想※ネタバレなし

鬱ゲーが好きだと言うと人の不幸を見るのが好きなサディストだと思われがちなんですが、僕は基本悲しい話は無理だし怖い話や演出も基本嫌です。

ただ「鬱ゲー」にしかない良さというものもあって、僕はその理由が「その人間のことがちゃんとわかる」からだと思う。
ゲームにする都合上の誇張はあれど(天使を食うとか)、基本的にはどんな人間にも不幸はあり、そのときの気持ちこそ人間の本質だと思う……わけなんだけど、今作はその人間のことがわからないということがわかりすぎるな。

主人公は重度の精神疾患を抱えているので、見える世界が物理的に違う。まるでボタンをかけちがえるように、僕らとは全然関係ないことを考えたり口にして、かけちがっちゃってるからもうどうしようもない。

ゲームって娯楽なんで、別にプレイヤーが「精神疾患www面白そwww」という気持ちでプレイしてもいいと僕は思うんだけど(SNSでは絶対口にはしないほうがいいだろうね)、まあ、そこまでいかなくても、ある程度のグラデーションの中で興味本位にスタートボタンを押すだろうと、思う。

でもゲーム自体は「精神疾患www」じゃないし、「精神疾患ってかわいそう涙」でもないし、ただ「やるせないこと」と「わからないこと」がわかる。なんかそこがまず好きな部分だった。面白半分で始めた人間もちゃんと真顔にさせるだろうし、その後しっかり悲しませたり、空虚にさせたり、考えさせる力がある作品だと思った。

鬱ゲーってマジでおもろしろくないよね。

でも「インテレスティング」を「おもしろい」って訳していいならこんなにおもしろいジャンルは他にないと僕は思うし、ミルクの中と外は2作セットでやるととてもおもしろい、でいいんだと思う。

考えるまでがセットだし、ミルクちゃんを大好きになれたら似た境遇の誰かを大好きになれるかもしれない。それは救いだし、仮にそうではなくても、そうかもねと考えられることがおもしろいんだと僕は思うよ。

やってない人は、やろう。
個人的に好きだったのはホタル。辛いときにだけ見える景色こそが宝物だと思ってて、それは病気とか関係ないと思ってるからわかる気でいる。
(「わかる」と言うのにすごく気を使うゲームだな)
あと音とプレイヤー名の演出だな……良かった。

考察※ネタバレあり

僕ならではの考察というのはとくになくて、Steamの有名な英語の考察で納得したんだけど、日本語でまとめつつちょろちょろ考えも書いておきます。

ほぼこれが核心だと思う考察

ほぼこれのままなのでこれを読んだ方がいい(※逆に読まないとゲーム全体をつかむのがやや難解だと思う)、すごすぎです。
ただ僕自身英語を読むのも翻訳文を読むのも苦手なので、流れ着いた人の助けになればいいなあ。

…………

複雑なので時の流れベースでやっていく。

①主人公(ミルクちゃん)は精神疾患または発達障害を持っている
ミルクの外を見る限りIQの高いギフテッドでもあると思う。ただ精神疾患があるために苦手なこと(集団行動など)も多いため特別支援学級に入る→その中ではよくできていていた可能性がある?

信頼できない語り手ではあると思う(ベッドで寝たいたのに全部の授業に参加しているというのは無理あると思う)けど、言われたことは改変していない気がする(言われた言葉をそのまま繰り返す発言など)ので「大人になれ」も「クラスの進度に合わない」も事実なのかなと。

②治療をしたが効果がなかった
僕は正直エンディングが全部よく分からなかったのですが、催眠療法や対話療法が試されているという考察で納得しました。
順番的には対話→催眠→隔離なのかな……?
すべてがトラウマになっていて症状を悪化させているという考察を見た。ここが専門知識がないとほぼわからなくて、本当に考察に助けられました……

③転校
治ってないのに「治った(=すべてうまくいった)」ということになり、主人公が転校する

もしかしたら
転校前→高IQすぎて授業が簡単、全部の授業に出ていた、しかし集団生活が苦手なためいじめられて転校
治療→トラウマが発症して悪化
転校初日→言われた悪口から精神が歪み、保健室登校や支援学級に隔離されたりしている

…なのかも。
ネットのくだりで「両親」が出てくるということは少なくともこの段階までにミルクちゃんはモデリングやプログラミングを会得していたわけで、エピソード的に小学生(または精神が未熟な中学生)……?くらいかと思うとやっぱりかなり高IQだと思う。

ミルクちゃんが仮に20代前半程度だとしても、あの埃の積もり方を考えると……というところ。

④父親がミルクちゃんに危害を加える
ミルクの外冒頭で「彼が牛乳を持ってきた」の選択肢を選ばなかったのでここは完全に受け売りですが、学校エピからもそうなのかなと思った。

元々父親と折り合いが悪く(時間的に父親が度々会社を早退させられてると思うので、会社でのストレスもあったかなと考察)、殺すとはいかなくても「牛乳アレルギー持ちの(後述)娘・ミルクちゃんに牛乳を与える」という行為を悪意を持ってしたと思う。

⑤母親が父親を殺す
これ考察割れてた気がするんですが、僕としてはミルクの中で主人公が牛乳を買いに行く理由「牛乳を買って帰らないと窓から捨てられる」がずっとひっかかってて、この考察の方がスッキリかなと思った。

父は母の手によって窓から捨てられた(実際には突き飛ばしたとかかも?)→だから母親に対して「自分も窓から捨てるかもしれない」という恐怖心があるんじゃないだろうか?
母親は主人公に対して簡単な命令しかしないので、窓から突き落とすよ!とか言わないような気がする(それで症状が出るかもしれないし)。

娘に牛乳を飲ませている父親を見て衝動的に突き落としてしまった→障害児の親だしストレスを抱えてるだろうねという社会の偏見が自殺を疑う人もいなかったんじゃないかなという深読みもあり。

⑥牛乳を飲む「自傷行為」がある
部屋におびただしい数の牛乳パックがある(左下)こと、冒頭部分で母親にアレルギー緩和の注射(で確定だと思う、爪が刺される部分)をされている、「牛乳を飲まないと言え」というところから、牛乳を飲んでしまう習慣があるんじゃないか……?

……じゃあなんでそもそも母は牛乳を買いに行かせてるんだという話がかなりどん詰まりなので、ここは誰かが考察してくれるといいなあ……。
僕がこじつけるとすれば
・母親は仕事などで留守にすることがある
・母の仕事中に牛乳を飲んでしまう
・買って来させて飲まないかを試した
とか……?
でも「買いに行かせる」が謎なんですよね、自分で買いに行けないなら、家に牛乳を置かなければ飲まなくて済むので。

……もしかしたら、ミルクの外の冒頭で注射をしてくる存在は母親ではなく、母親の彼氏などの第三者の可能性(ミルクちゃんを搾取するために生かしていて、母としてはそれが許せなくなり、現在では娘に牛乳を飲ませたくなっている)もなしではないかなと。僕は全体の流れから性的虐待かと思ったので、母と言われて「母なのか!?」ってなりました。。

まあでもそこまでする?と言われれば謎。
苦痛の象徴が「牛乳」なのかもしれないね。

まとめ

やって良かったゲームだったな。
ストーリーだけじゃなくて表現も良くて、ホラーじゃないのに寝る前ちょっと怖くなっちゃった。笑
苦しい話が続くけど、そのぶん風景が美しいのもとてもよかったな。バルコニーからの眺め、大きすぎる太陽、ごちゃごちゃした部屋や存在しない蛍の舞う天井。深夜のガソリンスタンドも、美しかったと思う。

他にも考察したかったんだけど(トレスカとか)、ちょっと1周だと難しいのでまたやる時間があったらやりたいな。
好きなゲームだった。上手く言えないけど。

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