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黒いブーツ。

中学3年間は美術部でした。
放課後の美術室で石膏デッサンをしたり、デザイン画を描いたり。

夏休みは近所の大きな公園で活動するのがお決まり。
公園内の好きな景色を1枚の絵に仕上げるのです。

当時の顧問はちょっと風変わりな先生で。
ロン毛とサスペンダー付きズボンが定番スタイルでした。
「スーツは嫌いだ。窮屈だ。」が先生の口癖です。ちなみに男性です。
だから先生にとって学校に出勤しないで活動できる夏休みは天国。

夏休み初日、友達数人と公園内の集合場所へ向かうと怪しい人影が。
「来た来た!お~い!」と手を振る先生はアロハシャツを着ていました。

フラダンスを踊る美女が何人も描かれたアロハシャツ。
裾のあたりをぐるっと1周するように美女、美女、一つ飛ばして美女。

足元はゴツゴツの黒いブーツ。
しかも、つま先が尖っててヒュッと上を向いているデザイン。ピーターパンみたいな靴。

先生、真夏やで。
どこからどう見ても部活の顧問には見えません。どこで買ったんだ。
先生の私服に衝撃を受け、暑さも吹っ飛ぶ。

あくる日は先生が盛大に遅刻。
待てと暮らせどやって来ないので、先生のご自宅へ電話することに。

呼び出し音のあと「もしもし?」と出たのは女性。
部活の生徒であること、先生が部活にまだ来ていない旨を伝えると、その女性は電話の向こうで謝罪し、呼んできますと。

数秒後…

「○○ちゃーーーーん!!生徒さんからお電話よぉぉ!!」という声が。笑

もちろん○○ちゃんには先生の下の名前が入ります。
大遅刻した先生曰く「実家暮らしで、女性はお母さん。」ほんとかな。笑

この電話事件は私たちが卒業するまで延々とネタにされ、何も知らない新入生に受け継がれ。
先生は「もう勘弁してくれよぉぉぉ。」と苦笑いしていました。

卒業後もしばらく母校に勤めていたけれど、メンタルの調子を崩して退職してしまった先生。
卒業後に1度だけ先生から電話をもらったことがあります。

「先生って仕事はいろいろ大変だな。いろんな生徒と接してきたけれど、思い出すのはいつもお前たちの学年なんだよ。」と。

調子を崩していた時にふと思い出して、連絡をしたんだって。
そんな大変な時に思い出してくれたんだ…と。

電話で少し話したあと
「ありがとな。元気出たよ!お前も頑張れよ!」と言って電話は切れました。

その後、結婚して元気に暮らしていると聞いたけど、お仕事を続けているかは分かりません。

先生、元気ですか?
当時の先生よりも年齢を重ねましたよ。先生は相変わらずアロハシャツと黒いブーツですか?

懐かしき、部活の思い出。

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