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書評・レビュー(最新)

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#書評

日本語不安は実は日本文化不安ーー佐々木テレサ、福島青史『英語ヒエラルキー グロー…

早稲田大学国際教養学部出身で、早稲田の大学院日本語教育を修了した佐々木の修士論文をもとに…

海老原豊
4日前
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ポストトゥルースの起源を求めて――リー・マッキンタイア『ポストトゥルース』(人文…

ポストトゥルースとは「公共の意見を形成する際に、客観的な事実よりも感情や個人的な信念に訴…

海老原豊
7日前
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男が女になることを義務付けられた世界で――田中兆子『徴産制』(新潮文庫)

徴産制…「日本国籍を有する満十八歳以上、三十一歳に満たない男子すべてに、最大二十四カ月間…

海老原豊
7日前
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ひとりぼっちの火星から2000人の住む月面都市へ――アンディ・ウィアー『アルテミス』…

(シミルボン2020年2月14日投稿 500メートル四方の空間に、連絡路で結ばれた5つの地上・地下…

海老原豊
11日前
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ポルシェ太郎に人類の革新をみた!?――羽田圭介『ポルシェ太郎』(河出書房新社)

(シミルボン2019年12月5投稿) 車小説。零細イベント企画会社の社長・太郎が、ちょっと背伸…

海老原豊
11日前
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なぜ彼らはいつもスプーンを曲げるのか問題――森達也『オカルト 現れるモノ、隠れる…

(2019年11月21日) 『職業欄はエスパー』の続編。森達也は、彼のドキュメンタリーも見ている…

海老原豊
11日前
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毒であり薬――藤田直哉『シン・ゴジラ論』(作品社)書評

(シミルボン2019年10月09日投稿) 「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」と銘打たれた『シン・ゴジラ』が、人々の多様な解釈・議論を巻き起こしたのはなぜか? に迫る。なぜだろう?  ゴジラは政治・哲学が届かない〈美〉の問題をあつかう「魔法の箱」(テリー・イーグルトン)として機能している。悪夢として、そして快感として、おもわず何度も反復してしまう。もはや「神の国」ではなくなった日本の空虚を埋めるサブカルチャー・アイコンなのである。そもそもカルチャー(文化、宗教、サブカルチ

こんなレビュワーになりたいーー吉村昭『戦艦武蔵』を紹介する大槻ケンヂ

(シミルボン2018年1月6日投稿) よし、俺も「大人の文学」を読もう…。 たしかこんな文句で…

海老原豊
2週間前
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直感と推論のあいだーー綿野恵太『みんな政治でバカになる』(晶文社)

ぱっと見て「冷笑的」「シニカル」なタイトルだと思うかもしれない。このタイトルにのみ釣られ…

海老原豊
2週間前
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無意識データ民主主義の欠陥ーー成田悠輔『22世紀の民主主義』(SB新書)評

民意データ(インプット)と、社会的意思決定(アウトプット)のあいだに計算式(アルゴリズム…

海老原豊
2週間前
3

デジタル・サバンナの部族主義ーー綿野恵太『「逆張り」の研究』筑摩書房

逆張りとは? もともとは株取引の用語で、相場の流れに逆らって売買する手法のこと。皆と同じ…

海老原豊
3週間前
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動きすぎてはいけない!?――十三不塔『ヴィンダウス・エンジン』(ハヤカワ文庫SF)

(2020年12月20日シミルボン記事の再掲) 動かないものが見えなくなる奇病ヴィンダウス症。治…

海老原豊
1か月前
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「新しい支配」への抵抗は可能かーー木澤佐登志『闇の精神史』(ハヤカワ新書)評

本書は、第1章「ロシア宇宙主義」、第2章「アフロフューチャリズム、第3章「サイバースペース…

海老原豊
1か月前
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「文化」は誰のものかーーカロリーヌ・フレスト『「傷つきました」戦争』(堀茂樹訳、中央公論新社)

筆者はフランスのジャーナリスト、評論家、映画監督。『シャルリー・エブド』にコラムも寄せる。反レイシズム、反差別主義者であるが、反アイデンティティ至上主義者である。近年、主にアメリカの大学内で、今ではその外へ、そしてヨーロッパにも広がっているアイデンティティ至上主義者(と筆者が呼ぶ)による「反レイシズム」が、実はレイシズム(人種主義)に行きつき、左派の希望とは裏腹に保守主義・右派を利するだけではないか、と主張する。 筆者が豊富な例で示す「文化盗用」がその一例だ。文化盗用とは、