RADWIMPS「正解」に見る歴史に歪曲されない「僕だけの正解」言説


NHKの音楽企画で「18祭(fes)」というものがある。

公式ウェブサイトによると

「18歳の想いをもとにつくる新曲を、18歳世代1,000人と一緒にパフォーマンスする一度きりのステージ。18祭では、アーティストが18歳の様々な想いを聞いて新曲を制作します。そしてその曲を1,000人の18歳達と一緒に、一回限りのパフォーマンスで共演します。」

2016年ONE OK ROCK、2017年WANIMA、2018年RADWIMPS、2019年ALEXSANDROSがアーティスト。アーティストと一緒にパフォーマンスをする1000名の18歳は、投稿された「メッセージ30秒+パフォーマンス30秒」の動画をアーティスト自身が見て、選定していく。このメッセージはアーティストの曲制作のモチベーションにもなる、という仕組み。

この18フェスに参加したRADWIMPSの歌「正解」が絶妙に「エモい」と聞いたので、実際に聞いてみた。

「正解」(NHKのオフィシャル動画

「きみたちは純粋な気持ちでただただまっすぐに応募してきてくれたと思うんだけど、それが素晴らしかったんですよ。(…)自分たちの言葉でなんとか表現しようとしてくれる姿が、なによりもまず感動したのと。(…)毎日が、刺激が欲しくてなんかやってやろうという気持ちと、でもなんか大馬鹿ではいられないからどっかでいらだちがずっとあって、なんかその答えがちょっとわかった気がして。自分だけの正解をなんかしら見つけたいんだなっていうの、いまだに僕はそれをやっている。みなさんとほんとに全く一緒だなって」

ボーカルの野田洋次郎は前振りをして、歌い始める。

大変、よい歌である。

『君の名は。』『天気の子』の新海誠映画でRADWIMPSを聞くぐらいでしかなかった私も、この曲は何度も聞いてみた。(明示されていないが18歳という)別れの季節に、学校では教わってこなかった、正解のない言葉をこれからの人生をかけて探していきたい、と歌う。国語の問題では「空欄の中に入る適切な語句を書きなさい」と聞かれるが、人生にはそんな定型文句では足りない場面ばかりではないか、という問い。これが18歳男女の合唱と、野田洋次郎の特徴的な透き通った声が、この上なく美しく重なる。

大変、よい歌である。むっちゃ高校の卒業式で歌われそうやんと思ったら、やっぱり歌う学校はある見たいで、そりゃあそうか。

今回は、若者の感情を揺さぶるこの曲に、私は一抹の「ヤバさ」をもやもやと感じたので、言語化してみた。

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