2022年6月の書いたものまとめ

①『ポストヒューマン宣言』(小鳥遊書房)読書会の記録

拙著の読書会参加記録。自分の本だが定期的に読み直すと勉強になる(あれ、自分、こんなこと書いていたんだ的な発見もある。)もちろん、他の人に読んでもらうと、自分で気が付かない多くのことをを教えてもらえる。本という形にした(なった)ことは、本当によかったとつくづく思う。本の上に、本んをスタートとして、さらに言葉を続けることができるから。

②ニーズ分配型ディストピア ーーパオロ・バチガルピ『神の水』評

読み始めるまでにだいぶ時間がかかってしまった。しかし読み始めると一気読みしてしまう。圧倒的なエンタメ展開。秩序が崩壊しそうで崩壊しない、ギリギリの線をリアルに描いている。一種の聖杯探求的な物語でもある。バチガルピは「○○がない!」SFものを描いているので、彼の作品を読むことで、ニーズ分配型ディストピアという(私がこしらえた)テーマは、継続して考えていけるだろう。

③エビデンス主義の到達点? ーー李琴峰『生を祝う』評

数値化の行き着くところは、生まれる前の胎児の意志。すでに指摘されている通り、芥川龍之介の「河童」にも生を選ぶ様子が描かれる。とはいえ、本書はそれとはだいぶ毛色が違うと思う。「芥川のパクリやん」的な雑なくくりではなく、この違いを丁寧に考えることが必要ではないか。ディストピアは生まれた後、死んだ後のことだけではなく、生まれる前から始まっている。

④教育的効果のない「叱る」がやめられない理由 ーー村中直人『〈叱る依存〉がとまらない』(紀伊国屋書店)評

今後、普及(布教)活動していきたい本。「叱ることに教育的効果はなく、むしろ有害」「叱らなくても、社会規範の獲得や目標に向かって努力させることはできる」「叱る方も脳内報酬系が刺激され、叱る依存になる」など目から鱗。

⑤私たちはいつまで日々の「新規養成者数」をニュースとして欲し続けるのかーー与那覇潤『過剰可視化社会』PHP新書

https://shimirubon.jp/reviews/1708080

数字はわかりやすい。でも、実はとてもわかりにく。わかった気になってしまうが、数字は複雑な事象の一面を切り取った(縮減した)ものでしかなく、同じ事情から異なる数字をひっぱることもできる。SNSのハッシュタグも同じ。複雑さを複雑なままに受け取ることは、心理的負荷がかかるのだろう。とはいえ、理解しやすい数字・タグで理解した気になるのも、まずい。では、どうしたらよいのだろう?

⑥月が繋ぐ ーー小田雅久仁『残月記』双葉社

https://shimirubon.jp/reviews/1708176

架空の感染症・月昂が存在する世界。一時代を築いた独裁者が暗殺されるまでの話(!)。

①4200②3000③3900④2700⑤1200⑥1100
合計16100

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