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なつかしの高田馬場パール座

私が学生だった頃、高田馬場には、パール座と早稲田松竹があって、大学が休講になると、それっと駆けつけることができ、とても便利な街だった。
休講となると、雀荘へ駆け込む学生も多かった時代だ。
それよりも、なによりも、学園紛争で、講義ができなかった時代だった。
インターネットはなかったから、オンライン授業なんてなくて、何にもなくなってしまう。

せっかく、電車に揺られて、高田馬場まで出てきたのだからと、言い訳して映画を見る。
パール座は、1989年に閉館してしまった。
早稲田松竹はまだ営業している。

パール座で見た映画は、あまたあるが、懐かしい映画といえば、
「いつか見た青い空」A Patch of Blueがある。
ガイ・グリーン監督 1965年

「野のユリ」(1963年)で、黒人初のアカデミー男優賞を受賞したシドニー・ポアチエが主演している。
何が懐かしいかといえば、大学生のころ、アルバイトの昼休みに、「いつか見た青い空って、いい邦題だよね。」なんて話をしたことがあるからだ。
その頃の映画はたいてい、邦題がついていて、いいのもあれば、良くないのもあった。

何で、いい題名かといえば、ローズという少女は5歳まで、目が見えていたのだけど、両親の喧嘩のとばっちりを受けて、目を負傷し、盲目となってしまったからだ。
最悪の家庭環境で育ったローズは白人だが、学校も行っていない。
公園で、ビーズの内職をしていたとき、こぼしてしまったビーズを拾ってくれた青年、ゴードンがシドニー・ポアチエ。
ローズは彼の顔が見えないから、彼が黒人であることを知らない。
ゴードンはとてもやさしくて、ローズが盲学校へ行くことができるように心を配ったりしている。
しかし、その頃のアメリカでは、今よりももっと黒人差別が激しかった。

この映画は、白人と黒人。健常者と障害者という立場の二人が、周囲に翻弄されていくというなかなか複雑なストーリーなのだ。

でも、目が見えない少女には、彼が黒人であることはわからない。
純粋に人柄だけを見る。
白人家庭だけど、ネグレクト、貧困,薬物、アルコールなどの問題を抱えた母親。
教育を受ける機会を持つことさえできないローズ。
知的な黒人青年。

いつか見た青い空

暗いテーマを扱っているにもかかわらず、おだやかさが感じられる映画となっているのは、白黒映画だからかもしれない。

その当時、シドニー・ポアチエが演じるのは、白人にとって都合の良い、知的で、暴力的でない黒人の役ばかりであったため、批判もあったが、黒人俳優の活躍の場を広げた功績は大きい。

アカデミー賞も歴史的にみると、白人ばかりの時代から、黒人、アジア系、女性監督の活躍などと、受賞者も変化してきているし、アカデミー会員もグローバルになってきた。
映画好きにとっては、今後もっともっといろいろな映画が見られるようになったらいいな、と思う。

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