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歳をとるって、悪いことでしょうか?

ある時は文章で、ある時は口頭でこういう言い回しを聞くことが多い。
「歳をとるって、べつに悪いことではありませんよね。」

これを聞くと、いわゆる後期高齢者75歳の私は、
「歳を取るのは悪いことではある。」
という世間一般の考え方があって、それだけど一応、高齢者にも気を使って、あるいは、これを言ってる自分は、高齢者差別なんてする人間ではないいい人なんですのアピールのために、
「特には悪いことではないですよね。」と付け加えているんだなあと感じる。

簡単に言えば、
「歳をとるって悪いこと。」
「若いことが価値のあること。」
が世間一般の考えであるが、まあ、高齢というのは、社会のお荷物だし、見てくれも悪いし、カッコ悪いし、頑固だし、新しいこと覚えるの苦手だし、コスパもタイパも悪いし、税金泥棒だし、きたならしいし、という
本音が透けて見える。

私の子どもたちが学齢期のころ、お寺の金持ちの奥さんと電車で乗り合わせたことがある。
彼女の子どもは小学校から全員私立、うちの子は全員公立、しかも、一人はなかよし学級。その彼女が、電車の中でこう言った。
「べつに、公立だからって悪いってことはありませんよね。」

そう、彼女はマウントをとっていた。
貧乏なうちの子は公立。
でも自分のうちは3人も私立。お金持ち。

「べつに」という言葉が曲者なのだ。
「公立の学校は悪い。」
これが本音で、
「べつに」という言葉を頭において、「悪くはない」と言葉を続ける。

この「べつに」は、何なのだろう。
「特別に」なのか、「選択肢としていくつかあるが、そのほかに別の何かがあるか」ということなのか。
いや、いや、まったくの「別世界」という考え方もあるかもしれない。
あるいは、「あなたはどうしたいの?」と聞いた時、ふてくされて、
「べつに~」と答える、あの投げやりなニュアンスなものなのか。
どれも、感じ悪い。

誰でも生きていれば、毎年自然に年を取る。
若い人には、想像ができないのだろう。
それはつまりは、近くに高齢の人がいないからかもしれないし、高齢=悪いことという世間のイメージがあるから、「できるだけ考えないように」しているのかもしれない。
「できるだけ考えないように、できるだけ見ないようにする。」と生き方は、高齢者だけでなく、障害者にもしているのかもしれない。

健常者だけで、若い人だけで、お金に困ってない人だけの世界で、
「よし」とされている以外のことに出会ったら、
「べつに、悪いことではない。」と言って、自分の世界の枠の外に、おいやるのかもしれない。

でも、私は下に見られてるなあ、馬鹿にされてるなあ、嫌だなあと感じる。

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