見出し画像

昨日の息子には、もう会えない。

赤ちゃんの成長は著しい。

生まれた時は50センチそこそこだった息子は、生後80日を過ぎた今、60センチ以上ある。細くて折れやしないかと不安だった手足も、かなりむっちりとしてきた。

成長することは喜ばしくてたまらない一方で、小さな息子がどんどん大きくなっていくことが、少しだけ寂しい。横向きの抱っこにすっぽりと収まっていた日々が、なんとも懐かしいのだ。

着ていた服も、当たり前だけど着られなくなる。息子の身体が縮んで、また着ることなんてないのに、未練がましく仕舞うことも捨てることもできずにいる(我が家に2人目の子どもを迎えるかは、まだ夫と話し合っていないということもあるが)。

新生児期に着ていた服は、まだ息子がお腹にいる頃に買ったものが多くて、目にするとその頃の気持ちをあれこれと思い出す。
エコー写真ではほとんど顔が見えなかったし、この服は似合うだろうか、と夫の顔を思い浮かべながら悩んだな、とか。
11月生まれだし、退院してから寒かったらどうしよう、なんて思って小さめのキルト生地の服を用意したけれど、息子は汗っかきだったこともあり、何度かしか袖を通さず、サイズアウトしたな、とか。
いわゆるツーウェイオールの服がもう少し欲しいね、と夫と話し、わたしはまだ退院したばかりで出歩けなかったから彼がひとりで近くの西松屋で慌てて買ってくれたな、とか。

赤ちゃんとの日々は、忙しないのであまり過去を振り返る余裕はないのだけれど、ふと息子が生まれたばかりの頃の写真や動画を見ると、どきどきするくらいふにゃふにゃとしていて、人間というよりこの世界にやってきたばかりの別の小さな生き物みたいだ、と思ったりする。まだ生後80日そこそこなのに。

どれだけ願っても、新生児の頃の生まれたてほやほやの息子にもう戻ることはないし、昨日の息子にはこれから先、一生会えない。当たり前のことだけど、その事実がなんとも寂しい。

だからわたしは、今日の息子をたくさん、たくさん愛したいと思う。顔を真っ赤にした泣き顔や、ぷすぷすというおならの音さえ、愛おしい。

息子を寝かしつける時に、わたしはこんなふうに呟いている。
「今日もたくさん遊んだね。お散歩、楽しかったね」
「明日はもっと楽しくなるよね」

わたしが子どもの頃に、「とっとこハム太郎」というアニメが大人気だった。同世代の方なら、きっと懐かしく思ってくれるだろう。
ロコちゃんという小学生の女の子に、主人公であるハム太郎(ハムスター)は飼われている。まあそのハム太郎が、ハムスターのお友達といろいろ冒険をする話なのだが、各話の締めに飼い主のロコちゃんがハム太郎に対して、「今日はとっても楽しかったね。明日はもっと楽しくなるよね、ハム太郎」と言うシーンがあるのだ。
寝かしつけのフレーズは、その真似をしている。
息子の寝かしつけをしながら、ある日ふと思い出したのだ。ハム太郎とロコちゃんのことは、もう何年も思い出していなかったのにね。

さあ、明日はどんな君に出会えるだろう。
今日よりもっと楽しい1日になるよう、お母さんは全力で君と遊びますよ。

この記事が参加している募集

育児日記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?