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【妊娠初期】卵巣嚢腫 -悪性腫瘍かもしれないと、不安だった日々のこと-

こんにちは。現在、臨月を迎えている妊婦の環と申します。
産休にも入り、子どもを迎えるための準備もほぼ終え、時間と心のゆとりもできたので、妊娠がわかった頃のことを、振り返って記録しておきたいなと思い、書き記すことにします。

卵巣嚢腫がある、と知ってはいたけれど。

もともと妊娠がわかる1年以上前から、近くの婦人科を定期的に受診していた。生理が不規則だったことが受診のきっかけで、その場で右側の卵巣に嚢腫がある、と指摘は受けていた。

嚢腫(のうしゅ)という言葉の意味がよく分からなくて、当時尋ねたところ、わたしの場合は子宮内膜がなぜか卵巣にもできていて古い血が溜まり、腫れているような状態で、子宮内膜症の一種だ、ということだった。いわゆるチョコレート嚢胞というやつであり、そこまで珍しいものではないとのこと。

当時は2センチほどの大きさで、急いで治療をする必要もないのではないか、というのが医師の見立てだった。わたしが妊娠を希望していたこともあり、先に妊娠・出産をしていたほうが、生理もストップするため、肥大化も防げるだろう、といった話だったと記憶している。

そのため、嚢腫に関しては様子見をしつつ、タイミング療法の指導を受けることになった。
1年ほど定期的に受診を重ねて、自身の仕事の兼ね合いもあり、一旦通院を止めようかと諦めかけていた頃に、思いがけず妊娠をした。
胎嚢や心拍も無事に確認できた後、受診していた婦人科では分娩ができないので、別の産院を受診することになり、その1度目の診察で卵巣嚢腫が大きくなっているとの指摘を受ける。妊娠8週の頃だった。
診察を担当してくれた医師の方に、嚢腫は6センチほどになっており、この大きさでは捻転などの可能性もあるため治療も検討する必要があると指摘されたのだ。

総合病院でMRIを撮ることに

「◯◯病院の紹介状を出すので、そこで詳しく診察してもらってください。腫瘍のことなら、そこが一番良いと思います」と医師の方に言われるがまま、総合病院の予約を入れてもらうことになった。
当時のわたしは、まだあまり事態を飲み込めていなくて、念のためにいつか一度見てもらえばいいのかな〜 などと思っていたのだが、「早いほうがいいですが、翌週はいつ行けますか?」と言われて、もしかしたらこれは自分が考えているよりも事態は甘くないのでは、と一気に不安なった。

結局、急遽わたしは紹介を受けた病院へ赴くことになった。
4月に入ったばかりで、麗らかな気候だったはずだけれど、ピークは過ぎていたもののつわりの症状がまだあったし、何より自分の身体に対する不安で胸がいっぱいだったので、とても病院へ行く足取りは重かった。

診察では「捻転の可能性もでてくる大きさ。妊娠もしているので一度、詳しく検査したほうがいいけど、エコーでの検査は限界がある」「MRIを撮りたいけど、妊娠週数を考えて3週間後が望ましい。その頃、来れますか?」「MRIを撮れば、悪性腫瘍かどうか判断ができると思う」と伝えられた。
MRI撮影は妊娠12週以降が望ましいということで、4月の下旬に再度診察を受け、MRIを撮ることになった。

この時、初めて医師の方から「悪性腫瘍」というワードを聞いた。
もし、悪性腫瘍だったら妊娠の継続はできるんだろうか。妊娠初期のまだまだ先が見えない時期で、ただでさえ不安でたまらなかったのに、ほかの人にはないであろう高い壁がそびえ立ったようで、本当に辛かった。
いろいろと尋ねたかったことはあったけれど、その時は心の整理がつけられず、ただ相槌を打っていた気がする。
造影剤なしのMRI撮影ということで、お腹の子に影響はないそうなので、その点は安心できた。

MRI撮影

妊娠12週を迎えた4月下旬、MRI撮影のため総合病院へ。緊張していたし、それなりに時間がかかったのでかなり疲れてしまったけれど、担当してくださった技師の方のお気遣いが素敵で、救われたような気持ちになった。
「お子さん、こんな感じで横になっていて、かわいかったです〜!」なんて、素敵な笑顔で言われたら、こちらの気持ちもほぐれるよね☺️
MRIの撮影データは、輪切りみたいな写真だと思うから、かわいくもなんともない気がするけど、そういう気持ちがありがたかった。

数時間後、担当医師の診察。
「影を見る限り9割方、悪性腫瘍ではないと思われるので、経過を今後は見ていきましょう。妊娠への影響もありません」
と伝えられ、ひと安心した。
(悪性腫瘍であれば、ガタガタとしたようなシルエットになるが、わたしの場合は丸みを帯びているのでおそらく違うだろう、という見解。)
またエコーでの確認で、以前よりも嚢腫が小さくなっている、と指摘を受けた。
医師の方によると、妊娠初期に稀に嚢腫が肥大化してしまうことがあるそうだ。

これまで妊娠中に卵巣嚢腫の診断を受けた方のブログなどを読んでいたので、妊娠を中断せざるをえないんじゃないか、手術をしなければならなかったらどうしよう、など不安になっていたのだが、影響もないだろうという話で本当にほっとした。
妊娠は何があるかわからないしうまく育たず、流産になってしまうこともあるけれど、わたしの身体が原因で、妊娠そのものの経過は良くても、この命を諦めなくてはいけなかったら……と何度もこのひと月近く、考えていたのだ。

安心はできないけれど

妊娠がわかった頃から不安ではあったけれど、卵巣嚢腫のことがあり、「自分の病気が原因で、妊娠を継続できなかったら」と考えるようになり、子どもがこのお腹で大きくなってくれるかどうかは、もう信じることしかできないのだ、と思うようになった。たぶん、妊娠を継続できないのでは、と最悪のことも考えたからこそ、その命の力を信じるようになったのだと思う。

その後、妊娠中期に経過観察のための診察を受けたが、その頃には子宮が大きくなっていたため、嚢腫がはっきりと確認できなくなっていた。
「肥大化はしていないということ。産後、しっかり確認しましょう」
と伝えられ、ひとまず悪化していないことに胸を撫で下ろした。
予定日からひと月半ほど後に、診察の予定をとりあえず入れている。

嚢腫は無くなっているわけではないし、たぶんこれからも気にかけて生活をしていく必要はあるだろう。生理が再開すれば、大きくもなるらしい。
お腹の子は、ありがたいことに経過に何の問題もなく、すくすくとここまで育ってくれた。元気で生まれてくれることだけを今は願い、日々を過ごしている。

もともと卵巣嚢腫のことを認知していたわたしでさえ、妊娠にあたって肥大化を知り、とても不安になった。
婦人科で定期的に診察を受けておくことは、やっぱり大切だと身に沁みた経験だったので、今後も心に留めつつ、生活していきたいと思う。

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