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使い古されたシステムに花道を作ろう

ある程度の歴史がある会社であれば、古いシステムと新しいシステムの関係性に悩む人は多いと思う。

創業時からある古いシステムは、機能も古いし肥大化しているので、ちょっとした変更でもかなりのコストがかかったりする。

そこがボトルネックになって不出来なシステムを人間が尻拭いをしたり、ビジネスシーンへの対応が遅れる。

では、この状況から抜け出すにはどうしたら良いかを考えてみたい。

任せる範囲をちょっとずつ狭める

人事異動や定年退職を控える人に対して、周りの人間がどのように対応するかを想像してみよう。

おそらく、新規の大きな仕事は任せないし、お願いするにしても短期で終わる簡単な仕事に限定する筈だ。

システムも要領は同じである。

そろそろお払い箱かな、というシステムをいきなり全て捨てるとなると、データ移行をはじめとしていろんな課題が出てくる。

特にこの移行コストは規模の大きなシステムだと馬鹿にならない。

これは耐えられないとなると、ソフトランディングを目指すことになる。

古いシステムは会社の創業期からあって、顧客情報をはじめとして、あらゆる業務にガッツリと絡むデータを扱うことがほとんどだ。しかも、そこに様々な判定を組み込んでいたりする。

その役割を徐々に新しいシステムに移行してゆくのである。歴史のある会社の多くは古いシステムと新しいシステムのつぎはぎ状態で運用するところが多いと思う。

そこで、今後新規で作る細かな判定は接続先の新しいシステムに任せ、古いシステムからはデータだけ引き出すように徐々に変えてゆくという狙いである。

こうすれば、前からある古いデータが自然消滅してゆき、残されたタスクはデータの移行のみとなって、見事移行が完了する訳である。

めでたしめでたし・・・と言いたいところだが、話はそれでは終わらないのである。

過去データがいつまでも退場してくれないんだが

生命保険は20〜30年続くこともざらにある商品である。そのため、過去の契約データが残り続ける。

「めったに使われないけど、いざという時のためにとっておかなくては」症候群が発症するわけである。

ここで考えられる対処法としては、データを切り離すことだ。

件数の少ない契約を切り離し、「ここは古いシステムの管轄だから残しておくけど、それ以外は新しい方に移行するね」という方針である。

サブスク型課金サービスの弱点

余談だが、携帯会社の管理システムも同じようなことになっているのではないかと思っている。

最近のスマホの料金プランはいろんなオプションが付きすぎていて、訳が分からなくなっているのだ。

それを世代ごとや機種ごとに管理して月々の利用料金を引き落としているとなると、そのバリエーションの多さたるや凄まじいことになっているだろう。

今はアマゾンプライムやYouTubeプレミアムなど、サブスク系の課金(定期的に利用登録者からお金を徴収する)方式が多い。生命保険も月額課金なので性質的には似ている。

この方法は在庫を抱えなくて済む代わりに、管理が長期間にわたる分システムが複雑になりがちだ。

先々の保守を考えると、料金プランや各種オプションのバリエーションを徹底的に絞るのは本当に重要だ。

さて、そろそろ本題に戻ろう。

よくよくみると判定内容も絡み合ってる

少数データと多数のデータは管理を分けようとなったとき、先ほどから触れている「細かな判定」は影響がないのだろうか。

実際には古いデータベースからのデータと、新しいデータベースからのデータを突き合わせる処理が存在する場合がある。

このようにプログラム面の切り離しも考慮が必要なタスクである。


以上、抽象化はしたが、システム設計で考えるべきことをいろいろと並べてみた。

現行システムのあり方を疑い、より良いやり方はないかを考えるのはシステム企画という仕事の醍醐味である。

成果物が目に見えないだけで、やっていることは建築家と似たようなものであり、アートな思考も多分に必要である。

これを楽しめる人間にとっては最高の職場である。

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