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ターゲットを絞ることはやっぱり重要!【地方の観光事業者が取り組むべきこと#004】

第4回目のテーマはターゲットを絞ることの重要性です。マーケティングのセミナーを受けたり、本を読むと、「ターゲット設定しましょう。」とか「ターゲットを絞りましょう。」とのメッセージが多いと思います。

ですが、いざ、飲食等のお店で、ターゲットを設定しようとしても、若者やシニア層だけに絞るよりは、幅広い年代のお客さんにたくさん来て欲しくなり、思うようにターゲットを絞り切れないことがあります。

今回は、そんなハードルの高いターゲットを絞るの意義を掘り下げます。


1.熊野古道を歩いての気づき

2月末に念願の熊野古道の中辺路を3.5km歩きました。1000年以上前から法皇や上皇が実際に参道として歩いた道であり、神々しい雰囲気を感じました。語り部と呼ばれる地元のガイドの方によると、昔の人は、生きたまま極楽浄土を歩く感覚で、熊野本宮大社に向かったそうです。

1000年以上、人が歩き続けることにより、古道は続いており、今からどんなに頑張っても、同じものはつくれません。他地域が真似できない圧倒的な価値を熊野古道に感じました。

和歌山県田辺市にあるDMO(観光地域づくり法人)である田辺市熊野ツーリズムビューローによると、誘客するターゲットを欧米豪に絞っているとのことで、私が訪れた熊野本宮大社でも欧米豪のゲストを見かけました。

このターゲットを絞る決断により、熊野古道がある田辺市の外国人宿泊観光客数は、2012年の3,389人から2019年には50,926人に急増しました。割合もオセアニアやアメリカ、スペイン、フランスからの来訪が多くなっています。

ヨーロッパの方は歴史・文化を重んじる傾向があり、1000年以上の歴史のある熊野古道はリスペクトの対象となり、価値を感じてもらえます。また、アメリカやオセアニアの方も美しい景色の中のトレッキングを好まれるので、価値を感じてもらえます。そして、大満足されたゲストは、友人・知人におすすめをしています。

熊野古道は、ターゲットを絞ることにより、観光地の価値を高めるための好循環をつくっていると言えます。
① 熊野古道を一番評価してくれる欧米豪をターゲットに設定
② ターゲットは熊野古道に大満足
③ 熊野古道を高く評価⇒田辺市熊野ツーリズムビューロー(熊野トラベル)の予約サイトで高評価又は自身のSNSで発信
④ ますます熊野古道の価値が高まる

もし、歴史・文化やトレッキングに興味がない人をターゲットにしていたら、次のようになります。
① 歴史・文化やトレッキングに興味がない人をターゲットに設定
② ターゲットの熊野古道の満足度が低調
③ 熊野古道を低く評価⇒家族・友人にマイナスの評価を伝える
④ 熊野古道の価値を下げる

何事も順番が重要です。

熊野古道 中辺路 熊野本宮大社近く

2.地域のターゲット設定

DMOや自治体でも地域のターゲットを絞ることは重要です。
観光に注力することにより、単に観光客を増やすだけでなく、最終的には地域経済の活性化、観光地で暮らす人の幸せにつなげる必要があります。
そのためには、ゲストにより多くのお金を落としてもらう必要があり、観光地全体や観光資源を1番評価してくれるゲストをターゲットにすることで、観光地の価値を上げる必要があります。

3.お店のターゲット設定

飲食やお土産等のお店も、どんなゲストに来て欲しいか。お店の資源・強みは何か。どんなゲストが、その強みを評価してくれるのか考えながら、ターゲットを絞ることが重要です。
地域単位と違って、お店の商品・サービスが限られるため、よりターゲットを限定しやすいと思います。
地元客か観光客か。若者かシニア世代か、またはファミリー層か。女性か男性か。

ターゲットを設定したら、次に現状把握が重要です。本当にターゲットのゲストが来ているのか。もしくは、自分の店の強みはAだと思っていたが、実はBなのか。
現状把握は、ゲストを目視して記録を取る方法もありますし、地域のDMO(観光地域づくり法人)が提供している観光CRMアプリのプラットフォームを活用することで、ゲストの属性(年代、居住場所、性別)や決済金額を把握する方法もあります。

そして、自分のお店の強み・価値を理解してくれる人、来店することに意味を感じてくれている人が来店しているか、常に点検し、来店していなければ、プロモーションや営業方法の見直しも必要になります。

お店単位でも好循環をつくることが重要です。

① お店のことを一番評価してくれるターゲットが来店する
② ターゲットがお店の商品・サービスに大満足
③ 自身のSNSでの好意的な発信。グーグルマップや食べログ等での高評価
④ お店の価値がますます高まる

4.まとめ

地域レベルでも、個店レベルでも、その強みや価値を理解してくる人をターゲットに設定し、訪れてもらうことが重要です。
そして、そのことが、地域やお店の価値の向上につながります。
まずは、ターゲット設定と現状把握をしてみましょう。

最後まで、読んでいただきありがとうございました。

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