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ファーゴ シーズン1

最近、シーズン3がhuluでも視聴可能になったファーゴ(Fargo)。もともとこのドラマは、コーエン兄弟の映画『ファーゴ』から着想得て製作されたドラマで、ノア・ホーリーによって製作され、FXチャネル(Foxエンターテイメントグループ傘下の有料TV局)で放送されたらしい。調べてみると、このノア・ホーリーという人はもともと小説を書いていて、そこからドラマの脚本を手がけるようになって実力をつけていき、この『ファーゴ』によって一躍名声を手にしたようだ。

さて、シーズン1のキャストはなかなか豪華で、イギリスBBCの「シャーロック」でワトソン役で有名になったマーティン・フリーマンが冴えない保険営業マンとして登場する。彼が実質的な主人公となる。それから、サブキャラで登場する気弱な警官役を、コリン・ハンクスという俳優が演じているが、この人はトム・ハンクスの息子である。『Band of Brothers』というドラマの最後の方に1話だけ、登場していた人でもある。あとは、『ブレイキング・バッド』という数年前にすごく流行ったドラマで個人的に大好きになった俳優ボブ・オデンカークという人もおバカな署長役として登場する。海外ドラマをずっとみていると、あ、この人はあのドラマに出てた人だな、という発見の面白さがあったりする。

しかしながら、このシーズン1で一番インパクトを残すのは、殺人鬼ローン・マルヴォを演じたビリー・ボブ・ソーントンという役者だ。私はこれまでこの人のことを全く知らなかった。売れない役者時代を過ごしてきて、たまたま書いた脚本が評価され映画化に至り、さらにアカデミー賞まで獲るという、まさにアメリカン・ドリームを体現したかのようなキャリアの持ち主らしい。

そして、このドラマ自体もまた、非常に素晴らしい出来栄えとなっている。冴えない保険営業マンが殺人鬼と出会うところから話は始まるが、そこからの展開がとても面白い。デヴィッド・リンチを想起させるようなサスペンスシーンの興奮から、ミネソタの田舎を思わせる(まったくあの辺りの文化は知らないけれど)言い回しのほんわかさまで、ドラマの世界にどんどん惹きこまれてしまう。このドラマのおかげで、私は1週間、楽しい通勤時間を過ごすことができた。

それにしても、このドラマはある1面から見れば、冴えない保険営業マンの栄枯盛衰の物語、と言えなくもないのだが、やはり冴えない会社員として生きる私としては、どうしても彼と自分を重ね合わせてしまう。ブレークスルーを起こすためには、殺人鬼と出会いたくはないものの、やはり日常に大きな変革を起こさなければならないのかもしれない。彼の場合はそれが殺人鬼との出会いという受け身な変化だったが、自分自身の情報収集とその分析の結果、殺人鬼に会いに行くというような、自発的な行動を起こしていれば、もしかすると彼の運命は少し変わっていたのかもしれない。

ちなみに、シーズン2とシーズン3は全く関係のないストーリーになっている。シーズン1に出てくる脇役が、シーズン2だと主役になってたりする。シーズン3では、シーズン1でちょっとだけ登場していたチンピラが、結構重要な役割を果たす。このようなサーガ形式のドラマづくりにも、ノア・ホーリーの才能を感じる。

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