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公務員試験受験者必見!経済学をこれから独学する方法


1.はじめに


 閲覧ありがとうございます。経済学習STADIOです。

 2024年度が始まりましたね。そろそろ現在大学3年生の方を中心に、来年の公務員試験に向けて学習を開始する頃ではないでしょうか。

 学習の初期に考えるのが、独学で挑むか、予備校などを利用するか、という点の方も多いと思います。より正確には、まず「独学できないかな」と考えるのではないかと思います。

 なぜなら、予備校等はそれなりのお値段がすることから申し込むことに億劫となる方が多いからです。またこれをクリアしたとしても、地方に住んでいるとそもそも適切な予備校がなかったりもします。社会人からの転職で挑む方にとっては、予備校時間と勤務時間が重なることも考えられます。こうした、費用面・地理面・時間面の制約を考えて、まず独学でできないかを考える方は多いことでしょう。

 本記事は、経済学という科目の観点ではありますが、もし独学をするならばどのような流れと教材を用いると良いかについて解説していきます。ご覧いただき、独学で挑めそうなのかということの検討材料の一助になれば幸いです。
  

2.経済学の出題数


 具体的に、独学の流れや使いやすい教材についてお伝えする前に、公務員試験に占める経済学の出題数を確認しましょう。なお、経済学を、公務員試験ではミクロ経済学とマクロ経済学ではっきり分けて出題数を出している試験種もありますので、本記事ではミクロ経済学とマクロ経済学の合計と捉えて下さい。

 ・国家一般職         40問中10問
 ・国家専門職(財務専門官)  40問中14問(経済事情2問含)
 ・国家専門職(国税専門官)  40問中6問(経済事情2問含)
 ・地方上級(全国型)     40問中9問
 ・地方上級(関東型)     50問中15問(経済政策3問含)
 ・地方上級(中部北陸型)   50問中10問(経済政策3問含)
 ・市役所A日程         40問中10問
 ・特別区           40問中10問       

 いかがでしょうか。概ね20%を超える出題数となっています。これに、財政学や経済事情など経済学系統を入れればさらに割合が上昇します。なお、公務員試験の一次試験突破は近年、概ね6~7割と言われていますので、この高い割合を、全問題捨てることは賢明とは言えません。学習をある程度することが求められるといえます。

3.独学の流れ


 では、どのように経済学を独学すると良いでしょう。

 理想的な流れは、(ⅰ)簡単な記述の本から詳しめの記述の本へと読み進めつつ、(ⅱ)演習を並行するというものです。

 (ⅰ)の理由は、いきなり分厚い詳しめの教材を手に取ると、その細かな話の必要性を初学者は理解できず、ただ難解な気がするからです。こうなると挫折しやすくなってしまいます。そのため、多少割り切った記載のものを使い、「なんとなく」理解していきます。ただ、これですと本試験に対応できませんので、少し分かってきたら、試験レベルまで対応した記述の本へ移行します。

 (ⅱ)については、教材だけを読んでいても、経済学の問題を解けるようになることが困難だからです。公務員試験の経済学は計算問題、グラフの読み取り、文章の正誤判定と多様な問題スタイルとなっています。これらに対処するためには、本を読んで「分かる」だけでなく、問題を解いて「できる」必要があります。つまり、問題集を解くことを推奨します。

 なお、②のあとには、経済学だけが収録されているわけではない公務員試験全体の模試などにトライすることが求められます。このとき、模試をやりっぱなしにせず、必ず復習をしましょう。横断的に復習ができ、実力の向上を図ることができます。

4.おすすめ教材


 本項では、「3.独学の流れ」に合わせて、おすすめの教材を複数紹介します。①~③のそれぞれから1冊を選んで学習していくイメージで紹介していきます。

①簡単な記述本としておすすめのもの
(ア)1項目3分でわかる 石川秀樹の経済学入門ゼミ(日本実業出版社)
 現行本はないため、中古で買うしかないのですがかなりの分かりやすさです。それなのに、公務員試験の教養試験レベルにとどまっているわけではありません。きちんと専門科目で扱われる事項―マクロ経済学でいえば乗数効果など―を取り扱っています。まずは、このような本で、経済学の入口に立つことをおすすめします。なお、若干、古い部分があるため、今後の学習で改める必要があります。

(イ)みんなが欲しかった! 公務員 合格へのはじめの一歩 経済科目 第2版(TAC出版)
 (ア)と同一著者で、同様に分かりやすい本です。フルカラーの見やすさもあります。他方で、(ア)の内容とほぼ近いものを(ア)より+70ページ費やしていることが、ややタイパが悪いかなとは思います。とはいえ、現行品で手に入りやすく、(ア)のように古い点を気にする必要がないことは、有益です。書店などで手に取り、自身に合うかどうかを見てみると良いでしょう。

(ウ)公務員試験 最初でつまずかない経済学(実務教育出版)
 ミクロ編、マクロ編に分かれているため購入には2冊必要です。現行本がありますので、新品で手に入れることができます。

 この本の面白いところは、教養試験に問われるレベルと専門試験に問われるレベルに分けて記述をしているところです。したがって、まずミクロ編の教養→マクロ編の教養→ミクロ編の専門→マクロ編の専門と読み進めると、挫折なく学習ができるでしょう。また、事項②の試験レベルの記述本を特段買わずに、専門を読みつつ③の演習本のどれかをやればよくなります。つまり、簡単な記述+試験レベル記述の性格を本書は有しています。

②試験レベルの記述本としておすすめのもの
(ア)公務員試験 ゼロから合格 基本過去問題集(TAC出版)
 ミクロ編、マクロ編があります。この本は「問題集」と銘打っていますが、問題の前にはテキスト並みの記述箇所があります。そのため、本のタイトルが「ゼロから」なのだと思います。
 

 そして、この記述が無駄なく頻出箇所をおさえており、かつ難しく説明もされていない良書なのです。①で挙げた本の後であればスムーズに読めるでしょう。加えて、単元を読み終わればすぐに問題演習ができる点もおすすめです(ただし、ここでの問題レベルは基本なので、③の演習本をこなすことは大切です)。

(イ)島本昌和のミクロ経済学ザ・ベスト プラス(エクシア出版)
 同シリーズとして、『島本昌和のマクロ経済学ザ・ベスト プラス』もあります。つまり2冊構成です。(ア)として紹介したゼロからより、収録問題は少ない一方で、一つ一つの概念説明が丁寧です。

 若干難しい表現もありますが、①を経ているので読み切れると思います。こちらをマスターすれば、③の演習に挑む経済学の体力が十分身につきます。

③演習本
(ア)LECの解きまくりシリーズ
 マクロ経済学ミクロ経済学の2冊です。問題だけでなく若干ポイント集的なものが載っています。ただ、①→②と進んできたのであれば、問題⇔解説の反復に用いれば良いでしょう。問題分析をかなり細かくしており、得点力を上げる配分となっています。

 ちなみに、解答を隠すシートが入っており、親切な設計となっている点は嬉しいポイントといえます。

(イ)東京アカデミーの出たDATA問シリーズ
 経済学としてミクロ・マクロに分かれていない1冊構成という珍しいスタイルです。これは、解きまくり等と異なり、ポイント集などがなく、純粋な問題集だからといえます。

 また本書は、基礎問ミクロ→基礎問マクロ→実践問ミクロ→実践問マクロの順に構成されています。したがって、①の(ウ)や②の(イ)島本シリーズを読んだ後に基礎問の該当範囲をやれば、②の(ア)に解き慣れた状態がプラスされたような効果を生むことが期待できます。

5.おわりに


 今回は、公務員試験で経済学を独学する場合の学習の流れとおすすめの教材を紹介しました。前者は、「とっつきやすい簡単な記述がなされた本を通読し、その上で、試験レベルの記述本を読むことと、併せて問題演習をする」というものでした。後者は、それに合わせた本を段階ごとに数種類挙げていますので、一度手にとってみて検討してみてください。

 皆さんの対策がこの情報で進めば幸いです。

〜執筆者紹介〜


経済学習STUDIO
 公務員試験・経済学検定・各種資格試験・大学編入の経済学系科目の情報発信をします。中の人は、大学や資格予備校で経済学を教えてきたミヤンです。2024年1月に出版した電子書籍はこちら。今後も、様々な学習ツールを整備していこうと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

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