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売りたいものは商品じゃない(商品に込められたメッセージ)

「買っているのは商品じゃない」という記事を先日投稿した。興味のある方はリンクを貼っているのでご覧いただきたい。ざっくりまとめると我々が買っているのは商品じゃなくて時間や、安心という商品を買うことで実現できる世界を買っているのではないかという内容だ。

一方で売っている側もただ商品をむやみに開発するのではなく、お客様にどういう生活を実現してほしいかというメッセージを込めて世の中に商品を出していく必要がある。

車の広告の変化

一昔前の車のCMや広告は「車」そのもののスペックや性能などにフォーカスしたものだった。おしゃれでかっこいい角度からの写真や、分かる人には分かる細かな数値の提示、または軽快な走りを思わせる映像を前面に押し出していた。しかしあるときその流れに一石を投じる広告が登場した。ホンダステップワゴンだ。

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こどもといっしょにどこいこう

「こどもといっしょにどこいこう」というキャッチフレーズを聞いたことがある方も多いだろう。この画像を見ても車を売る広告なのに、主役の車がこんなに小さい。

この広告は移動手段に過ぎなかった自動車を家族のコミュニケーションツールに昇華させたのだ。ただたくさん人が乗れる車ではない。

プロダクトに目的を持たせたと同時に「この車でこどもと色々な場所へ行って、色々な経験をさせてあげてください」というメッセージが込められているのだ。

手動のコーヒーミルが私たちに提案しているもの

コーヒーミルは焙煎したコーヒー豆を挽く機械のことだが、便利に簡単にを突き詰めれば電動のコーヒーミルでいいし、もっと言えば店で既に挽いている豆を買えばいい。

なのに今でも手動のコーヒーミルが巷で売っている

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このコーヒーミルという商品が今でも作られ売られているということは「売れている」ということでもあるのだろう。私はこのコーヒーミルにはやはりメッセージが込められているのだと思う。

コーヒーミルは「コーヒーに向き合う時間」を提案しているのではないか。コーヒーミルを回す行為はそれに集中できる。手に伝わる感触と豆を挽く音に集中する。

そして美味しいコーヒーが出来上がり、ゆっくりした時間を過ごす。コーヒーが好きな人が日常の雑多なことから一旦離れてコーヒーを楽しむ。「ちょっとゆっくりしていきませんか」というメッセージではないだろうか。忙しい毎日の中に「ひと時の休息」を与えてくれるのだ。

もっと便利にもっと簡単には本当に正しいのか

何か商品を開発したり改良する場合にもっと便利にしようとか、もっと簡単にしようと考えがちだ。しかし世の中のプロダクトを見渡してみると決して便利に、簡単にという方向のものばかりではない。先ほどのコーヒーミルの例はほんの一例だが、同じようなものはあるはずだ。

もっと便利なものがあるのになぜか残っているものを考えるヒントになるのはそこに込められたメッセージを考えることなのだと思う。

どうやってメッセージを伝えるか

プロダクトを作る際には目的とメッセージと実現持してほしい生活や世界をあらかじめ想定して作るわけだが、難しいのはそのメッセージをいかに「嫌味なく」「さわやかに」「さりげなく」伝えるかなのだ。

商品のメッセージや商品そのものがまとう雰囲気は様々な要素が複合的に重なって出来上がるものだ。売り手が想定しているものもあれば、想定外のものもある。

売り手が考えた通りに買い手が受け取ってくれればいいが、買い手が気づかない、勘違いをして捉える場合もある。

買い手に気づいてもらう

買い手がその商品やサービスを利用するうちにメッセージに気付いてもらうのが一つの方法だ。

使っていて気づいたら「安心していた」「休めていた」「課題が解決していた」などの気づきを得てもらう。

そのためには販売時の接客や情報提供が重要な役割を果たす。

この商品に込められたメッセージを伝えてほしい、伝えたいという気持ちも重要なのだ。

作り手のメッセージに気付くため

私たちも日常買い物をするときに意識しておくと面白い。

先述した「現代なのになぜこれが売っているのだ」という商品には必ず理由があるはずだ。

それを単なる疑問で終わらせるのではなく、考えてみよう。

モノを売る立場であるなら、この商品によってこんな生活が実現できます、こんな夢がかなえられます、こんな世界がやってきます、と明るい未来を提示してみよう。

そのメッセージに共感してもらえないなら縁がなかったということなのだと思う。

でもメッセージを伝えなかったがためにそのお客さんがそのまま不便な生活や、夢のない生活を続けてしまうのは少し残念な気持ちもする。

売り手はそのメッセージ発信(伝達)の努力をやめてはいけないのだと思う。


※最後までお読みいただきありがとうございます。頑張りすぎず、頑張らなさ過ぎずやっていきましょう。精進いたします。

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