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君が僕を知ってる

国語の授業(特に古典)で
生徒と話していると、

折に触れ
「愛」について語り合うことがあります。

大真面目に語る感じではなく、
フランクに、ざっくばらんに
ケラケラ笑いながら、

僕はこう思うよ、
みんなは?・・みたいな雰囲気です。

『源氏物語』や
『百人一首』をはじめ、
日本文化は
「色恋沙汰」が好きですからね(笑)

そんな雑談風の教室を
イメージしながら
読んでいただけると嬉しいです。


今までしてきた悪いことだけで
僕が明日有名になっても
どうってことないぜ
まるで気にしない
君が僕を知ってる

「君が僕を知ってる」

僕に
「愛」のなんたるかを教えてくれた一人は、
キング・オブ・ロック 
忌野清志郎(いまわの きよしろう)です。

古くてごめんなさい(苦笑)。

知らない人もいると思うので、
ざっくり説明しておくと
80年代、ロックバンドブームの
中心的な存在で
「RCサクセション」という
バンドのボーカルでした。

ソロ活動でも活躍しており、
先日お亡くなりになった坂本龍一さんと
楽曲制作したこともあります。

清志郎の魅力は
個性的なボーカル、
力強いサウンドも
さることながら

国語教師の目線的には、
やっぱり
歌詞です。

清志郎の
「言葉」は本当に素晴らしい。

なかでもお気に入りは
上記に引用した
『君が僕を知ってる』という曲の
歌詞で、

清志郎ファンなら誰もが知る
名曲中の名曲ですが、

今の若い子は、まず知らないと思うので
定期的に布教活動をしている次第です。

今までしてきた悪いことだけで
僕が明日有名になっても

この冒頭が好きなんですよね。

僕も
40年近く生きてきて、

今までしてきた
悪事「だけ」を切り抜かれて
ワイドショーにさらされたら

たちまち
教師なんてやめちまえ!!
と非難を浴びることでしょう。

いや、
そんな犯罪をしたことなんてないですけどね、
あんまり褒められたもんじゃないことも
多々犯していますから、

それを一面記事から順に
あげつらわれたら、
生きた心地がしないでしょう。

どうです?

みなさんは、
すべての悪事「だけ」が切り抜かれて
白日の下にさらされて
耐えられる自信がありますか??

ここで清志郎は続けるのです。

どうってことないぜ
まるで気にしない
君が僕を知ってる

そう、
清志郎は気にしない。
なぜなら、

君が僕を知っているから

なんですね。

この全幅の信頼感が
「愛」なんだよなあ、と
思うのです。

よく高校生に話します。

「I love you」は陳腐だ。
そんなのは、気分でコロコロ変わる、
ドーパミンがもたらす錯覚だ!
と。

ひどいもんです(苦笑)。

そうじゃなくて、
「You understand me」が愛なんだ。

僕がどんな悪事ばっかり
犯してたって、
99%の人間が敵になったって、

いいとこあるよ、
信じているよ、
と君が言ってくれるなら、
それで大丈夫!!

この感覚が
僕は最も幸福感の高い「愛」だ
と感じています。

この愛って加点法なんですよね。

その逆は、減点法の愛でしょうか?

減点法の愛っていうのは、
つまるところ「条件付き」なんです。

〇〇ができたら・・
□□なので・・・・

という条件があるから愛される。

でも、それは

〇〇ができなくなったら・・
□□じゃないと・・・・・・

愛されなくなる、
という恐れ・不安が潜んでいます。

なんというか隣にいても
100%安心できなくなってしまう。

そういう子は
「欠乏」をひどく恐れます。
「ない」自分を嫌悪します。

だって、「ない」と愛されないから。

でも、清志郎の言葉は
「欠乏」「ないこと」が大前提。

今までしてきた悪いこと「だけ」の
自分ですよ!?

そんなの愛せます?
普通、自分でも愛せなくなりますよ。
自己嫌悪に陥るはず。

そんな自分なのに
わかってくれているんだ
と思える他者がいることは、

どれだけ
その人の救いになるかわかりません。

周りが信じてくれてないからこそ、

信じてくれる「あなた」が
際立つんですよね。

減点法だと
99点でも
(100点じゃないから)
足りません。

でも、加点法の愛なら
1点でも
(0点じゃないから)
足りちゃうんです!!

この方が良くないですか?

この「愛」は男女に限りません。

親子でも兄弟でも
親友でも
会社の同僚でも、
なんなら赤の他人でも構わない。

この世界に
たった一人だけでも
僕のことをわかってくれている存在がいる!!

それは信じるに足ることだと
僕は常々信じることにしています。

今はいなくてもね。


実は清志郎という人は
売れない不遇の時代が長かった人です。

売れないときに作った曲も
また素晴らしい歌詞なので紹介しますね。

この歌の良さが
いつかきっと君にも
わかってもらえるさ
いつか そんな日になる
ぼくら何もまちがってない
もうすぐなんだ

「わかってもらえるさ」

この歌詞の通り、
少なくとも僕は
清志郎の歌の良さをわかっていますよ


天国にいる清志郎に
伝えたいのです。

熱くなりすぎですね(苦笑)
こんな日はたいてい
生徒が引いているので、
今日はこのあたりで。

最後までお読みいただき
本当にありがとうございます。
この記事を読んでくださったあなたの
少しでも参考になれば嬉しいです。

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