見出し画像

私は私と私の作品を安売りしたくない

YouTubeやニコ動に、音楽作品をアップするのをやめました。
サブスク、ダウンロード販売(以下、「配信サービス」とします)のみでしばらくやっていこうと思います。

【理由1】再生回数や高評価が邪魔

YouTubeやニコ動、TikTok等では再生回数と高評価や「いいね」の数が表示されます。
これは「どれだけ多くの人に評価されたか」であって、「リスナー全てに当てはまるものではない」はずです
芸術家なら誰しも、自分の作品について、受け手であるその人だけの価値を見出してほしくはないですか?
しかし、総合動画サイトユーザーとしてのリスナーは、聞く前に再生回数と高評価で価値評価してしまう癖が無意識にあると思っています。私も見ますし。
このことから、Youtubeやニコ動は音楽を発表するプラットフォームとしてふさわしくないと考えました。

【理由2】ターゲットに届かない

昔はそうでもなかったのですが、YouTubeやニコ動にただ UPしても誰も聞いてくれないようになりました。
そりゃそうです。日夜山のようにコンテンツが増えて、受け手に届くわけがありません。
なので宣伝が必要となります。すると再生回数は稼げます。
でも、宣伝を実際にやってみて、「届けたい層に届いていない」という印象でした。
なぜなら、YouTubeやニコ動は、総合プラットフォームだから、音楽を聞きたい人は少数派です。
つまりこれってプラットフォームに一方的に搾取されているだけなのでは?と思ったのです。
もちろん広告設定で「音楽好き」みたいなターゲッティングはできるのですが、ざっくりしすぎなのだと思います。

配信サービスは再生数がミュージシャンに還元されるので、YouTube等よりはwin-win関係に近いかな、と思いました。

【理由3】ニコ動はボカロ専門

これまでも書いてきましたが、ニコ動は特殊なところです。基本、ボカロだけしかウケません
なので自分もバーチャルシンガーを使った楽曲はアップしてきましたが、ボカロはすでに文化として確立していて、それに寄り添った作品しかウケません
なのでそこへアップする意味はもうないかな、と思いました。

【理由4】大ヒット作しか価値がない

寡占的動画プラットフォームを利用する以上、プラットフォームの利益に繋がる大ヒットする作品しかリコメンデッド等の支援は受けられない、というのが現実です。
私はそれはできないし、やりたくない、と思うわけです。
「こんな曲じゃなくてK-POPみたいな曲を作れ」と何人かからアドバイスされました。
しかし、私の作品はどう考えても大ヒットを狙える作風ではないし、それは他の人がやればいいことで私がやるべきこととは思えませんでした。
なので大ヒットを狙える曲を作っている人なら、ニコ動でもYoutubeでも良いと思います。
しかし、そんな世界でも、私は私の作品を、自分を安売りしたくないのです。

【理由5】動画(視覚)の比重が大きすぎる

音楽よりもイラストが大事なリスナーの例

ニコ動もYouTubeも動画サイトであって、音楽のみのアップは許可していません。
つまり動画ありきです。
結果、視覚情報のクオリティの方が価値としての比重が高くなっているのでは?と思うことがあります。
動画も含めた複合芸術なんだ、という人はそれで良いでしょうし、実際、音楽よりも動画の方で評価された作品もあると思います。
でも、自分はこれ以上動画作成にコスト(経済的だけでなく時間的なものも)を払いたくありませんでした。

【理由6】音楽好きの評価なら納得できる

サブスク等の配信サービス利用者は、「音楽にお金を払っている人」です。
そして、「視覚情報に左右される心配がない人」でもあります。つまり音楽好きです。
そこで勝負してダメなら納得できる、と思いました。
総合動画プラットフォームで勝負しても、納得できる勝ちも負けも得られないと感じました。

総合動画プラットフォームを使う意味のある人

・ボーカル、バンド、SSW等でビジュアルも「売り」の人
・視覚優先の複合芸術でやっていきたい人
・ニコ動のボカロ文化のような「狭い世界の横つながり」に価値を置く人
・音楽作品周辺(評論とか)をやりたい人
などには向いているのではないかな、と思います。
それらを否定するつもりはありません。
私が「ビジュアルも作品のうち」ではないというだけで、「ビジュアル関係ない音楽世界があってもいいんじゃない。そもそも音楽なんだし」と思うだけです。
まあぶっちゃけ私が美形だったらビジュアルを利用したと思いますが(笑)

大ヒット作しか価値のない世界から脱却したい

前にも書きましたが、SNSネイティブの子にとっては、SNSや動画プラットフォームでの総合評価が、その子にとっての価値の全てではないかと考えています。
なので総合動画プラットフォームでの作品発表をやめることは、そこからの脱却につながるのでは?と思いました
確かに大多数には届かないです。でも、「価値のあるリスナー」に届けばいいと考えました。
視覚情報のないイヤホンから流れてくる音楽だけで、その価値を決めてほしい、と思うわけです。
再生回数や高評価の数ではなく、その人の感性で聞いてほしいのです。


以上、「君も音楽家なら総合動画プラットフォームから離れてみないかい?」というお話でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?