学習指導の方針「教科書を読める子に育てよう」


1.技術と方針の使い分け


今回は学習指導の方針をお伝えいたします。
技術のようにすぐに実践に移せるものではありませんが、これを念頭に置いて指導や授業を考えて、技術を応用するとより効果的になります。

2.「教科書を読める子どもを育てよう」の方針に至った経緯


このセンテンスにピンと来る方もいるかも知れません。
私がこの事を意識したのは、ある一冊の本との出会いでした。
その本は『AI vs 教科書が読めない子どもたち』新井紀子さん著
この本は
①これからのAIの時代の詳しい解説
②AIが得意な事、苦手な事
③AIが苦手な文章理解が人間の武器
④人間の武器である文章理解を、人間が出来ていない
⑤そのための方策
ざっくりこんな感じで、専門家の方が書いた本なのに、分かりやすく面白いからすぐに読めてしまいます。
この本を読んで、当時の担任しているクラスの子どもたちは文章を読めているのだろうか?文章を理解できているのだろうか?
不安に思い、この方針を掲げて授業の組み立て方や指導の仕方を変えていきました。

3.教科書が読めると良い事尽くし

教科書が読めるようになると、良い事ばかりです。
①文章がスラスラ読める
当たり前ですが、読んでいる途中で詰まったり、何度も読み直したりしなくなります。すると、文章を読む時間が短くなり、読めない事へのストレスも無くなり、学習への自信に繋がります。
②文章の内容を理解できる
文章に書いている文字だけを読む事がなくなり、そこから情報を取得できるようになります。今まで口頭で教えられた知識が、文字情報からも取得できるようになるので、知識の吸収スピードが飛躍的に上昇します。
③文章の内容に対して、自分の意見を持てるようになる
文章を理解できると、始めは自分の経験を基にして、後々自分の知識も加えて、文章に対して意見を持てるようになります。意見を持てれば、表現のトレーニングを積めば、表現できる子を育てられますね。
④初見の文章に対して嫌悪感が減る
自分は読んで文章を理解できると自信を持っていれば、初見の文章でもまずは読んでみようと意欲に繋がります。
⑤テストの点数が上がる
主目的ではない気がしますが、とても大切です。テストの問題は文を読んで、聞かれている事を答える物ですから、正確に理解して答えられるだけで点数の違いが大きく異なります。

4.教科書が読めるようになるために①音読

教科書を音読しましょう。
声に出して読む事はとても大切です。人間は黙読のように目で文章を追うと、読めない漢字や理解できない言葉を読み飛ばしてしまいます。
これは、初見の文章などを読む時には良い効果を発揮します。
センター試験・共通テストの英語で分からない単語が出てきても、読み飛ばして前後の文脈から予想する時などです。
しかし、今回はその前提として読んでいますから、黙読は音読が出来るようになってから頻度を増やしましょう。
漢字の読み方に詰まったり、理解できない言葉が出てきたら、その場で教えてあげても良いでしょう。
たどたどしく読む子には、声に出しながら目では次の行を見ておくように支援してあげると良いでしょう。
声に出す事で、自分自身の耳でも文章を聞いて、文章の理解に二重の効果を発揮します。
ただし、ただ音読するだけだと、飽きが来てしまうので、音読の工夫はしましょう。それは、別の機会に回します。

5.教科書が読めるようになるために②話して確認し合おう

次に、音読をした後、隣の席の子やグループ・班の中で読んだ所は何が書いてあったか、確かめ合う時間を取りましょう。
ここで、自分の文章理解に間違いがなかったか確認できます。
見落としている言葉や理解出来ていなかった所も確かめられますし、何より共有することで安心感が得られます。
こうやって文章理解も楽しく活動しましょう。
慣れてきたら、全体の中で突然聞いてみましょう。
全体で発表できるようになる練習にもなりますし、特に文章理解が出来ないから隣の子の意見を聞いていれば良いやという、悪知恵が(生き抜き方としては賢いですが)働く子に緊張感を持たせて、活動に取り組むように促しましょう。
話し合い活動やフリートークの技術も別の機会で紹介します。

6.教科書が読めるようになるために③読んだ文章の内容をノートに書かせよう

最後に、文章を読んだ後に内容をノートに書かせましょう。
フリーで書かせても良いですが、最初は短く書くように指示したり、書き出しや書き終わりを指定したりして制限をかける方が書きやすかったりします。
頭ではぼんやり理解できていたり、話せば内容を説明できたりしても、文章に表すだけで、一段と難易度が上がります。
しかし、この活動を踏まえておくと、教科書の文章を書き方気にしたり、自分の文章に活かしたりするので、やるだけお得です。
書く指導の技術はまた別の機会に上げますね!

7.まとめ

さて、今回は学習活動の方針「教科書が読める子どもを育てよう」を記事にしてみました。
これが出来るようになれば、どんな教科でも力がモリモリつきます!
細かい技術などは割愛したので、実際の指導の仕方はこれからの記事に期待してください!
しかし、この方針を頭に入れておくだけで、明日からの授業や指導の時の新しい観点に出来るのではないでしょうか?
私の記事には賛成反対・賛同批判のコメントを随時募集しております!
では、また次の記事でお会いしましょう!


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