【メイ・ザ・エテル・ビー・ウィズ・ユー】

「ミヤザキ=サーン!お茶運んでー!」
「ハイヨロコンデー!ンァー!?」UNIXケーブルに躓き転倒!抜けるケーブル!「アイエエ!?」部長のUNIX画面ブラックアウト!宙を舞う湯呑!「アイエエ!?」ニュービー男性社員の股間に命中!ポイント倍点!

「アイエエ!クボ=サン、大変失礼しました!」ミヤザキはオボンを放り出してクボに駆け寄る!宙を舞うオボン!「グワーッ!?」居眠り中の社員に命中!ポイント3倍点!インガオホー!

「アイエエ!やめてください!コンプライアンスに反します!」かがみこんで股間を拭こうとするミヤザキにクボはロウバイ!そのバストは豊満であった!「アイエエ!自分でやります!」クボは男子トイレへと退散!

ミヤザキはしょんぼりとデスクに戻った。オフィス各所で冷めたヒソヒソ声。「全く騒々しい」「品がない」「そろそろケジメ」「過剰役得」「もう奢らねえ」「今殴ったのどいつだ」「アバーッ!データアバーッ!」「落ち着いて!画面だけです!」キャリアウーマンに憧れるミヤザキの仕事はうまくいかない

…………………………

その日の夕刻、ミヤザキは休憩室で一人考え込んでいた。彼女がこのカイシャに入社したのは1年前。規模はお世辞にもメガコーポとはいえないが、社員皆が家族のように暖かなカイシャ。だからこそ貢献したいのに…それなのに…。

「どうしたんだ新人!こんなところで一人で。また一人で悩んでたのか」「部長!?」ヒゲメガネロマンスグレーの部長はミヤザキに缶コーヒーを放って寄越そうとしたが、……すぐに思い直し、普通に手渡した。

「私もニュビーの頃はしょっちゅう怒られてたもんさ。ちょっと失敗したぐらいで下向いてんじゃないよ!そらこのコーヒーやるから頑張りな!」「…グスッ、ハイ!頑張ります!」
コーヒーを飲み干したミヤザキは部長に一礼して休憩室を飛び出した。

「「アイエエエエ!?」」5秒後、ミヤザキは台車で書類を運んでいたクボに激突し廊下に押し倒していた。部長は下を向いた。

…………………………

「安い、安い、実際安い」暗黒メガコーポのマグロツェペリンが広告文言を発しながら夜空を飛び去ってゆく。その下には「あなたは借りられる!ふわふわローン」「電話王子様」「馬の如く」「やめません」等無数の退廃ネオン看板が通りを照らす。ここはネオサイタマ、悪徳の街。

電子戦争以前からの日本のカルチャーとして「カミマチ・ガールズ」というものがある。「カミサマ」と称される支援者の元を渡り歩く家出少女達だ。

彼女たち個人個人のカミマチ・ガールとしての活動期間はさほど長くはない。親と和解して家に戻るか、警察に保護されるか、あるいは……。「アイエエ!ニンジャナンデ!?」あるいは都市の闇に呑まれて消えるかだ。

「君、だいぶカワイイだよね、前後したことある?」「おじさん達が良いところに連れて行ってあげるからネェ……ヒェッヒェッヒェッ……」下卑た笑いを浮かべながら小柄なセーラー服少女を無人駐車場の奥に追い詰めている男たちは、よく見れば二人ともニンジャ装束を着ている。ナムアミダブツ!なんたるマッポーめいた光景か!しかし悪徳の街、ネオサイタマではチャメシ・インシデントなのだ!

しかしその時!「そこまでです!」
三者の視線の先にはスーツ姿のオーエル。そのバストは豊満だった。「えっ邪魔すんの?」「君も大分カワイイだよね、前後だ!」「アイエエ……タスケテ……」三者を剣呑な目で見つめたオーエルは突如回転ジャンプ!着地した時そこにはスリムフィットニンジャ装束に身を包んだ女ニンジャが立っていた。そのバストは豊満だった。

彼女の装束の色はオレンジ色にも見え、藍色にも見え、漆黒にも見える、黄昏時の空めいた曖昧な色だった。

女ニンジャは凛とした声でアイサツする。「ドーモ、皆さんはじめまして。メイ・ミヤザキです」
そのバストは豊満だった。

【メイ・ザ・エテル・ビー・ウィズ・ユー】#1終わり #2に続く

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