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【雑記】「エクスアストリス」ネタバレなしクリア感想:アリンド調査のすゝめ

おはこんばんにちは、しぐれ子です。
この一週間弱、仕事と予定の合間はずっとエクスアストリスと向き合ってきて、昨日ようやくEDを見られましたので感想を記しておきます。

タイトル通りストーリーのネタバレは無しです。序盤やPVからわかる程度の内容で紹介します。
単にサブ任務など回収しきっていないというのもありますが、もし購入を迷っている方や、買ったけどこのゲームをどう楽しんでいいかわからない方などおられましたら、参考になればと思って筆を執りました。
「アリンド調査のすゝめ」は一応そういう意味です。攻略情報とか考察、解説といったものではなく、私はこういう姿勢で楽しみました、という意図。

なお、クリア時間は(おそらく)30時間程度です。あくまで体感ですが、謎解きで手こずった部分もあり、探索などの寄り道も結構していました。
それではシステム面、ストーリー面にカテゴリを分けて書いていきます。

※ストーリーの核心に迫るネタバレはありませんが、いくつかゲーム内スクリーンショットを載せているためご注意ください。

システム面

バトル

エクスアストリスと言えばこれ、発売前から各ゲームメディアにも推されていたバトルシステム。

本作は「セミリアルタイム」ターン制バトルRPGと称されていますが、その意味は味方ターン(攻撃)と敵ターン(防御・回避)に分かれ、それぞれのターンはリアルタイム操作を行う、という意味です。
……ちょっと言葉面だとわかりにくいでしょうか。実際どんな動きになるのか想像がつかない方は、公式のPVを見て頂ければと思います。

私は多くの対戦ゲームや高難易度アクションゲームが苦手であまりやらないのですが、本作をプレイしてその理由が理解できました。
上記のジャンルはリアルタイムに攻撃や防御・回避の戦術を実行する必要があり、不測の事態にも瞬時に反応しなければならず、その駆け引きを楽しめなかったのだと。
その点、本作は攻撃と防御・回避がシステム的にターン分けされた上で、リアルタイム操作でしか味わえない「コンボによる大ダメージ」や「ジャストガード」「パリィ」の気持ち良さを味わうことができます。

また、アクションゲームのボス戦なんかでは長時間気を張っていないといけない……という状況もありますが、本作はターン制なので、味方・敵それぞれのターンが終われば一旦そこで小休止できます。
そうした自身でペースの調整が効くというのも、ターン制やシミュレーション系ゲームの良いところだと再確認しました。

一つ不満というかあまり楽しめなかったところで言うと、コンボの組み立てが分かりづらい……
戦闘中にワンタッチで味方キャラのスキルセットを切り替えられるのは良いのですが、頭では分かっていても瞬時に今のセットはこっち、このスキルがこれ、と認識するのが難しい。なのでコンボはそれぞれの初発スキルだけ覚えてかなり適当にやっていました。
それでも楽しいですけどね。

UI

他の方の感想でも書かれていますが、UIはアークナイツと同じく「とにかく触って理解しよう」系のゲームだと思われます。
バトルや基本的なキャラ育成のチュートリアルはありますが、クエスト内容やロアの確認の仕方、細かくなるとライラキーの設置時に回転する方法など、色々触って画面のテキストを確認しないとわからない操作もあります。

ただ、個人的にはそこまでわかりにくいという認識はなく、私はエクスアストリスをインディーゲームと同じような感覚でプレイしたので、「こういうのよくあるよね~」という感想でした。
チュートリアルで延々説明されるのもそれはそれで萎えますし……。

アークナイツもそうなのですが、UIのわかりやすさよりも世界観に合うかどうかやデザイン性を重視しているところが見られ、そこで好みが分かれるかなと思います。私は世界観重視の人なので、NOUS WAVEのインターフェースとかすごく好みでした。
触って不利益を被ることはない(はず)ので、とりあえず何でもボタンっぽいものは触ってみよう。

情報端末を模していると思しき、クエスト確認のインターフェース。雁視点のあらすじも読める

フィールド周り

本作は原神などのオープンワールド方式ではなく、エリアごとにフィールドが分けられており、例えば崖登りなどは無く上下移動は基本的に制限されています。ジャンプも無いので、慣れないと結構それはストレスかも。
段差を上がる際は壁に梯子や蔦などがあればそこに近づき、「使用する」のコマンドを押下することで登ることができます。
移動周りは最近のオープンワールドRPGに慣れていると煩わしいかもしれません。

移動自体はよくある仮想スティックで、スワイプの距離を長くすればダッシュ、短くすれば歩きという形で使い分けることができます。
崖から落ちるとゲームオーバーになるものの、大概は崖際で立ち止まってくれるので、基本的にダッシュで問題ありません。

いくつかのダンジョンでは謎解き(パズル)要素があり、難易度は決して高くないですが、それなりに考えないといけないものになっていると思います。
また、詰まったと感じた理由の9割は探索不足だったので、とにかく謎解きに詰まったらフィールドをめいっぱい探索するのをおすすめします。
RPGのフィールドにある小物を見るのが好きな方とか、特におすすめです。

全体的な触り心地(ロード時間など)

ムービーシーン切り替えなど、3D物ではありがちなゲーム中のロード時間はほとんどありません。おそらくそうしたロード待ちを避けるために、ゲーム操作画面とムービー画面のグラフィックを同程度にしているのかと思います。
ちなみにグラフィックについてはストーリー面の方に書きます。(画面演出はストーリー方面の話だと思うので)

唯一ロードといえるロードは、「ヴィークル」内で「ナビゲーション」(他ゲームにおけるマップを使用したファストトラベルを想像してもらえれば)を使用した際に行われます。
この「ヴィークル」はその名の通り乗り物ですが、ゲーム的には拠点のような物であり、「休憩」(ステータス回復)や「調理」(バフ獲得)等も同時に行えるようになっているので、ロード待ちに他のことができる、という仕様になっています。
そのため実質待ち時間は無いに等しく、プレイとしても小休止になるし、これはありがたいなと思いました。
物語的にも、移動を乗り物に任せているうちにキャラクターたちは睡眠や食事を取る、というワンシーンになりますしね。

ロードに関しては上記の通りで、後は各々プレイ端末の機種問題になるかなと思います(スマホはこれが大変ですよね)。
私は基本家でプレイするときであればiPad mini(第6世代)、外ではiPhone13 miniだったのですが、前者は最高パフォーマンスでも快適に遊べた反面、後者だとややカクついてしまったので低パフォーマンスに落としました。
前述の通りバトルは各ターンリアルタイムに動くので、特に敵ターンでカクついてしまうとまあまあストレスになります。と言ってもタイミングを見極める方法があるため、慣れればそこまででもないですが。

これはGRYPHLINEさんが実施しているアンケートにも記載したのですが、ラスボス戦で初めて登場する演出ギミックがあり、それが映像のためもあるのか非常に重く……というか端末が発熱してしまってうまく動かず、時々操作が儘ならない部分があって、色々と苦心しました。
演出は素晴らしかったので、動きだけ改善されればなあと思っています。


以上がシステム面においての感想になります。
すでに3000字に差し掛かろうとしていますが、とにかくストーリーの話をしたいので、もうしばらくお付き合いください。


ストーリー面

メインストーリー

まず一つお伝えしたい点として、この作品で冒険をする目的は「地球人として、異星アリンドを調査すること」です。
決して王道の冒険ファンタジー物語ではなく、雁とVi³のガールミーツガール物でもありません。いや、ある意味ガールミーツガールではあるのですが、それは普通の少女同士が出会い、絆を育む物語ではなく、二人の間には「地球人」と「アリンド人」としての境界が存在しており、その差は例えば日本人と欧米人のような程度のものではありません。

本作はSFファンタジーであり、Vi³を始めとしたアリンド人は地球の人類と似た外見をしていますが、生物としてはかなり違った点があります。それはゲーム内のストーリーやサブテキスト上で少しずつ明らかになっていき、ゲーム世界に没入するよりは、一歩引いたところに視点を持てると楽しめるのかなと思います。
逆に、それこそ往年のJRPGのような王道ファンタジーを期待すると肩透かしを食らう印象です。
※……ただ、昔のRPGとかそんなに単純明快だったかな? という気もしますが。

公式X(Twitter)においても、プレイヤーは「調査員」として呼びかけられ、アリンドの調査を求められます。
言うなればプレイヤーはもう一人の調査員として、雁がアリンドで様々な物に出会い、時には彼らと交流する様子を地球から観察しているような、そんなイメージでプレイしていました。

仲間も増える

雁のアリンド調査という名の冒険には、乗っていた列車が突如奇妙な自然災害に遭ったり、何かの目的で旅をしている少女に出会ったり、地球には存在しない生き物と戦ったり、様々なことがあります。
それを見て何を感じるか、何を見てどう考えるかは、プレイヤーの自由です。彼らの言動や行動を理解できない、共感できないと一蹴するのも、周囲に散らばっている資料を読んであれこれ背景に想いを巡らせ、勝手に想像するのも、すべてが正解でも間違いでもないと思います。
異星の調査なのですから、目の前に見えているものがただ一つの答えであり、正しいものです。

というお話を念頭に置いていただいた上で……私は大いに楽しみました。
最初は奔流のように山ほど出てくる専門用語に溺れかけ、ただ戦闘が楽しいことをモチベにゲームを続けて、NOUS WAVEに追加されていく資料を少しずつ読み解き、ああこれはアークナイツで個々人のプロファイルから各国の情報なんかを拾っていく作業に似ている……と思いながら、気づけばその世界観にどっぷり嵌りこみ、この旅がどんな結末を迎えるのか気になってここ数日ろくに眠れませんでした。
間違いなくアークナイツを作った会社です。アークナイツ沼に嵌った時とまったく同じ流れでした。

EDを見たときに初めて「このゲームが何を言いたかったのか」理解することができたような気がして、とても腑に落ちました。
そしてそのまま2周目に入り、序盤からすでに「ああ、これはこういうことだったのか……」「なるほど、この人が……」などと呟きスクリーンショットを撮りながら、また雁とVi³と一緒に旅をしています。

要望を言うと名ありキャラのボス戦演出がどれも良くて、敵キャラのモーションとかがいちいち格好いいので、再戦機能とか欲しかったなと思います。
あと台詞のバックログはどのゲームにも実装してほしいんですが……3Dゲームだと難しいですよね。フィールドでもムービーでも喋るし……。

テキストの日本語訳について

本作はアークナイツと違ってYostar翻訳ではないので、そのあたりが気になっている方もいるかなと思います。
個人的には心配していたほど悪くは無かったですが、どうしても助詞がおかしかったり、一部日本語としては理解に苦しむ単語があったり、そういった細かなストレスはありました。
ただ意味の通らない文法とかはそこまで無いですし、脳内補完できるレベルで、それこそアークナイツと似た雰囲気です。いわゆる鷹語であり、しばしば読みにくいと言われているのは翻訳のせいではなく原語からであるということがよくわかる……かもしれません。

また、これは流石にどうにかならなかったのか? という点で、いくつかボイスが途切れてしまうものがありました。テキストとしては表示されているのですが、他のキャラクターの台詞や別の台詞が割り込んでしまったり。
中国語と日本語の尺が全然違うせいなのでしょうが、どうしても没入感が削がれてしまうのでなんとか改善して頂きたいなと思い、アンケートにも書きました。

他ゲームの話をしてすみませんが、原神のムービーシーンなんかは全体的に早口にすることで尺に収めていて、それが苦手に感じていたので、本作では台詞の間なんかをしっかり取ろうとしていたのは良かったなと思います。
まあ、早口シーンもしばしばあるんですけどね……。このあたりは個々人で飲み込めるかどうかかと。

世界観・ロア

見た目だけだとよくわからないかもですが、世界観はファンタジーよりはがっつりSFだと思います。舞台は異星で、その星には独自のルールがあり、地球とはまったく異なる文化が形成されています。
アリンド人やアリンド生命体の母体である「ライラ」の存在、「リセット」の現象など、ある意味ファンタジーとも言えますが、ゲーム内文章の分析としては科学寄りになっています。

個人的な話をすると、(元々は「孤星」の影響なのですが)「ソラリス」(スタニスワフ・レム/沼野充義訳)を直前に読んでいたので、「ライラ」はソラリスの海のようなものなのかな、と漠然と考えていました。
何かそういったSF的なイメージを持っていると、自分の解釈が進みやすいのかなと思います。
私は科学だの物理だのにはまったく詳しくない生粋の文系なので、ただただ概念だけで深く理解はしていませんが。

本作にはメインストーリー以外にサブクエスト(サブ任務)や、フィールドの探索要素があります。なにぶんプレイヤーはアリンドのことを何も知らないので、NPCとの会話や登場するオブジェクトのすべてがアリンドに関する情報源になり得ます。
前述したとおり、それぞれのクエストや情報を経て何を感じるのも自由ですが、世界を楽しみたいならとりあえず歩き回ってみるのが良いかなと。

例えば、アリンド人の生活はどのようなものなのか。どんな家に暮らし、どんな物を食べているのか……そういった些細なことに始まり、歴史的な要素も存在します。
雁は初めてアリンドに降り立った地球人ではなく、本編以前にも地球人の調査チームが複数訪れていて、その資料が残っている場所も登場します。地球人は本編より19年前、突如として全員アリンドから引き揚げてしまっており、彼らに一体何があったのか? 彼らはどのような交流をしていたのか? その話はメインストーリーには関わってきませんが、一部キャラクターの深掘りになる話でもあります。

ある調査員に関する記録

これもまたアークナイツと同じなのですが、核心まで迫ることができない話も中には存在します。時には、これは結局どうなったんだ……とモヤモヤすることもあるでしょう。だがそれがいい。それがいいのです。常に物事のすべてを知ることができるとは限らないのですから。
……逆に言うと、それがいいという人向けでもあります。

背景、グラフィックなど

アニメ調3DRPGとして見るとどうしてもキャラモデルの微妙さが目に付いてしまうのですが、その分背景グラフィックが素晴らしいと思います。
精細に描写しているというわけではなく、ある種省略すべき部分は省略した上で、全体としての雰囲気作りがとてもうまいなと。
キャラモデルにしてもそうです。アップになると少々キツいものがあるものの、引きのシーンや角度によっては背景に良く馴染んでおり、綺麗に見えます。
その辺のカメラワークは、やはりアークナイツのイベントPVなどで映像も作ってきたHYPERGRYPHさんの腕の見せ所といえるでしょう。

ロケーションについて、アリンドには「ドラン」と「シャダラ」の二つの国が存在します。
アリンドは地球のように球体の星として存在していますが、「ジングゼン」という暴風域が球体の中心を赤道のように走っており、それにより隔てられた「昼半球」がドラン、「夜半球」がシャダラ、という風に分かれています。
加えて、アリンドは地球のように自転しているわけではないので、ドランは日が沈まない白夜の国、シャダラは日の当たらない極夜の国という設定になっていて、ロケーションもまったく異なります。

こうした設定がしっかりしていて、テキストとしても少しずつプレイヤーに公開されていくので、次のエリアはどんな感じだろう、早く行ってみたい……と興味が惹かれますし、実際に行って細かく探索するのも楽しくなります。
小物を見るのが楽しいです。好きな人は色々探してみるのをおすすめしますし、「それがそこにある意味」を考えてみるのも楽しいと思います。

アリンドではある理由で気候が安定しており、雨が降ることはないそうです。


総括

結論から申し上げますと、1500円とは思えないほどバトルもストーリーも楽しんだのでかなりの価格崩壊です。課金させてください。ダウンロードコンテンツ予定してるって話をどこかのインタビューで見たので、もう衣装変えだけでもなんでもいいので出してください……。

作品全体としては、新しくも懐かしい、懐かしくも新しい。ゲーム性としては往年のJRPGを踏襲しつつ、世界観やストーリーはHYPERGRYPHらしい独自のものになっていたかなと。
すべてが完璧というわけではなく、もちろん足りない部分はありますが、そういった点がないゲームは無いので。というか私は多少欠点がある方が好きです。その分開発チームの熱意とか拘りが見られれば。

残念に思いつつ面白く感じたのは、中国資本があっても「序盤の力の入りように対して後半が雑に感じてしまう」現象は阻止できないのだなと。これをネタバレに感じた人には申し訳ないですが、特にRPGには本当よくある現象ですよね。
ただ、私としてはちゃんと遊んで楽しめる完成度で世に出ただけでありがたいと思っています。せっかく素敵なコンセプトの作品でもバグだらけでまともに遊べなかったり、そもそも世に出ないとかになると悲しいので。

私はこのエクスアストリス、めちゃくちゃ楽しみにしていた人間なのですが、その期待にしっかりと応えてくれた印象でした。
粗削りではあるものの、HYPERGRYPH/GRYPHLINEの今後に期待できる良いゲームだと思っています。
なのでDLCをくれ!!あとグッズを出してください!!!ぜひメイン二人以外のグッズも!!!!お金を払わせてくれ。
この世界観を一作で終わらせてしまうのはすごく勿体ないと思いますし、知りたいこともまだまだあるので、何か追加コンテンツがあるといいなあと夢想しています。よろしくお願いします。
サウンドトラックだけでも配信してほしい。


長くなりましたが、このあたりで筆を置かせて頂きます。創作コンテストに出せそうな話でも考えるか……

しぐれ子でした。ではまた!

TGS2023で配布されていたグッズ。もらっといてよかった〜!

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