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私人逮捕系ユーチューバーの法的問題について

「私人逮捕系ユーチューバー」とは、一般市民が犯罪者を捕まえる「私人逮捕」を行う様子をYouTubeで配信する人々のことを指します。最近ユーチューバーが名誉棄損などで逮捕されるニュースが増えてきました。
そこで法的問題についてまとめてみました。


✅私人逮捕の法的基準

日本の刑事訴訟法第213条によると、私人逮捕は罪の現行犯者を逮捕する場合に限定されています。これには以下のような具体的な要件が含まれます:

1 現行犯の明確性

逮捕は犯罪が行われている最中か、直ちにその後に行われるべきです。これは、犯罪が進行中であることを一般市民が明確に認識できる状況を意味します。

2 逮捕の必要性

:逮捕は警察による逮捕が間に合わない場合にのみ正当化されます。これは、犯罪者が逃走し、かつ直ちに警察に通報することが不可能な場合に当てはまります。

3 適切な手段の使用

逮捕の際には必要最小限の力の行使が要求されます。過度な暴力や不必要な制約は、法律に違反する可能性があります。

✅法律的問題点の拡大解釈

1 適法性の判断の難しさ

一般市民が「現行犯」を判断することは困難です。誤った判断をすると、無実の人を不当に逮捕するリスクがあり、これは暴行や不法拘束に当たる可能性があります。

2 力の行使とその過剰性

一般市民は警察官のような訓練を受けていないため、逮捕時に適切な力の行使を見極めることが困難です。過剰な力の行使は、逮捕者自身が暴行罪などの犯罪を犯す原因となる可能性があります。

3 逮捕される者の権利

逮捕される者は、無実を証明する機会や適切な法的手続きを受ける権利を有しています。私人逮捕により、これらの権利が無視される可能性があります。

4 プライバシーと名誉の侵害

YouTubeでの配信は、逮捕された者の顔や個人情報を公開することになり、プライバシーの侵害や名誉毀損につながる可能性があります。

5 エンターテイメントとしての逮捕

YouTubeでの配信は、しばしばエンターテイメントの要素を含みます。これは、逮捕という重要な法的行為を軽視し、見世物として扱う危険性をはらんでいます。

私人逮捕系ユーチューバーの行動は、多くの法的な問題とリスクを伴います。法律に基づく正しい逮捕手続きの理解と適用が欠如している場合、これらの行為は犯罪行為につながる可能性があります。そのため、一般市民による私人逮捕は非常に慎重に、かつ法的な枠組み内で行う必要があります。エンターテイメントとしてのYouTubeでの配信は、法的および倫理的な側面から多くの問題を引き起こす可能性があるため、特に注意が必要です。

✅逮捕されたユーチューバーが受ける罰について

逮捕されたユーチューバーが受ける可能性のある罰は、その行為の性質や日本の法律に基づいて決定されます。具体的な罪状として考えられるものは以下の通りです:

1 暴行罪

もしユーチューバーが私人逮捕中に不必要な暴力を使用した場合、暴行罪に問われる可能性があります。暴行罪は、日本の刑法第208条に定められており、通常は3年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。

2 不法拘束罪

私人逮捕が法的な基準に合致しない場合、不法拘束罪に問われる可能性があります。これは、刑法第220条に定められており、10年以下の懲役に処せられる可能性があります。

3 名誉毀損罪またはプライバシー侵害

ユーチューバーが逮捕された人の名誉を傷つける情報を公開した場合、名誉毀損罪に問われる可能性があります。また、無断で個人の映像を公開することはプライバシー侵害にあたり、民事訴訟の対象となることもあります。

4 迷惑防止条例違反

特定の行為が公共の場で行われ、迷惑防止条例に違反する場合、この条例に基づく罰則が適用される可能性もあります。

5 結論

逮捕されたユーチューバーがどのような罰を受けるかは、その行為の具体的な内容と法律に基づいて判断されます。刑事訴訟の結果、懲役刑や罰金刑に処される可能性がありますが、具体的な判決は裁判所の判断によります。また、民事訴訟による賠償責任を負う可能性もあります。

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