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しなやかさと力強さの両立(力は発散させず、内に内に使う)

先のボストンマラソンでは、残念ながら6位となってしまったエリウド・キプチョゲ選手。しかし、その実力は、現時点でも、間違いなく世界ナンバーワンであると思います。

そのキプチョゲ選手の代名詞は、流れるようで、綺麗なランニングフォームにあります。

以前、私は、キプチョゲ選手のランニングフォームについて「綺麗だけど、力強さに欠けるな〜」と思っていましたが、最近、彼のフォームを改めてしっかりと見てみると、タイトルにした『しなやかさと力強さ』が両立されていることに気づきました。

しかし、その力強さは、激しさや大きさを伴う動きから生み出されるのではなく、力を溜めていく動き、換言すれば、『力を発散させるのではなく、内に内に使う』と表現出来る、身体の動きであると考えています。

以下の動画を観て頂くとよく分かるのですが、キプチョゲ選手の身体の動かし方は、他の選手に比べ、動きのばらつきが少なく、力が逃げていない感じです。

※動画は、今から20年前に開催された世界陸上パリ大会男子5000m決勝の映像で、18歳にして金メダルを獲得したキプチョゲ選手の勇姿を見ることが出来ます。当時から、無駄のない、しなやかで、力強いランニングフォームで走っていたことが分かります。

一般的に、美しい動き、所作は、力を内向きに使っています。モデルさんの歩き方や、立位姿勢、ダンス等、力を内に内に使うことで、綺麗なだけでなく、素早く、キレがあり、且つ、力を加えやすい状態を形作っています。

キプチョゲ選手のランニングフォームも、腕振りや脚のスイングで、この内向きの力を利用して、走っているのです。

恐らく、生まれつきフォームが綺麗であったとは思いますが、ケニアの不整地を効率的に走る為に考えた、彼の工夫の成果であると言えるのではないかと考えています。

速く走るにはつい、「身体の動きを速く、大きくしなければいけない」と考えがちですが、それよりも、接地時にもらった地面反力を如何に効率的に使い続けることが出来るのか、という点にフォーカスすべきであると思います。

今よりも、力を出すことなく、効率的に走って、且つ速くなりたいと考えている方には、是非、キプチョゲ選手の内向きに力を使うランニングフォームを参考にして頂ければと思う次第です。


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