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毎度おなじみの荒唐無稽なアクションに満足 『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』

4月12日(金)公開 全国ロードショー

■あらすじ

 北海道函館を拠点とする斧江財閥に、怪盗キッドからの予告状が届く。狙うのは箱館戦争で旧幕軍を指揮した新選組の副長、土方歳三にまつわる2本の脇差しだ。キッドがらみの事件となれば、現場に呼ばれるのは名探偵の毛利小五郎。

 たまたま函館で行われる剣道大会のため同地を訪れていたコナンと服部平次も周囲を警戒し、予告状の秘密を見破った平次がキッドの侵入を見破った。キッドは脇差し1本だけを奪って逃走。だが同じ頃、港に近い倉庫街では、胸を十字に斬られて斧江財閥の顧問弁護士が殺される。

 事件の裏には、武器商人のブライアン・D・カドクラが関わっている。彼らも何かの秘密を探して、脇差しを作ったのと同じ刀工による刀を集めていた。目的は4本の日本刀と2本の脇差し、そして土方ゆかりの星稜刀が示すお宝だ。

 大戦中、軍に協力した斧江財閥は戦況を逆転させる秘密兵器を開発。戦後はそれを誰にも知られぬよう隠したというのだが……。

■感想・レビュー

 劇場版『名探偵コナン』シリーズの第27作とのこと。謎解きについてはいつにも増して苦しいトリックや解釈が目立つが、それは例によってさほど気にならない。それはこのシリーズがトリックを楽しむ作品ではなく、登場キャラクターの活躍を観て楽しむ作品だからだ。

 何しろ今回の映画で最大のミッションは、怪盗キッドの手から刀を守ることでも、殺人事件の犯人や太平洋戦争中の秘密兵器を捜すことでもない。映画で最もスリリングなミッションは、西の名探偵服部平次が、幼なじみの遠山和葉に告白できる否かという点にあるのだ。

 このミッションを阻止しようとするのは、怪盗キッドでも、弁護士殺害犯でも、海外の武器商人でもなく、平次を「未来の旦那さん」と呼んで追いかける大岡紅葉。彼女と大岡家の執事・伊織無我のコンビが、平次の行方を追って北海道中の観光名所を旅して回るのだが、どうやらこれが今回の作品で「観光映画」部分を受け持っているようだ。

 アニメだからではなく、『名探偵コナン』という作品だから許されるのが、「それは無理だろ!」という荒唐無稽なアクションの数々。

 今回もそれは健在で、箱館山のロープウェイのケーブルをコナンがスケボーで駆け抜けるというのも「それは無理だろ!」と思ったが、これを越えるとんでもないアクションがこの後にあって啞然とさせられた。

 いや、それはどう考えても無理だろう。でもこのぐらい無茶をしてくれないと、劇場版『名探偵コナン』を観た甲斐がないというものかもしれない。もはや絶対にあり得ない荒唐無稽なアクションあってこその、劇場版『コナン』なのだ。啞然とさせられてナンボですわな。

 残念なのは今回のそのアクションに、空間的なスケール感はあっても、物量的なボリューム感が不足していたことかもしれない。ただこのぐらいに納めておかないと、今回の映画最大のクライマックスがぼやけてしまう。このあたりのバランスは難しい。

ユナイテッド・シネマ豊洲(8スクリーン)にて 
配給:東宝 
2024年|1時間51分|日本|カラー 
公式HP:https://www.conan-movie.jp/2024/
IMDb:https://www.imdb.com/title/tt31474158/

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