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壮大なSF叙事詩のクライマックス 『デューン 砂の惑星 PART2』

3月15日(金)公開 全国ロードショー

■あらすじ

 恒星間宇宙飛行に不可欠なスパイス、メランジ。その唯一の採掘地である惑星アラキスに、新たな採掘管理者として赴任したレト・アトレイデス公爵は、長年対立しているハルコンネン男爵の軍団によって殺害された。

 アトレイデス家の一族郎党もすべて皆殺しとなったが、公爵の息子ポールと、その母で公爵の愛妾レディ・ジェシカは間一髪で危機を逃れる。二人は砂漠に逃れ、原住民フレメンに保護された。

 フレメンの部族長スティルガーは、ポールが神話に登場する救世主ではないかと考える。ポールはそれを否定するが、レディ・ジェシカはハルコンネンに復讐するためフレメンを味方に付けようと考え、この神話を利用しようとする。彼女はフレメンたちが崇拝する教母の後継者となり、ポールこそが救世主だとフレメンたちを扇動する。

 戦いの中でフレメンの戦士に成長したポールは、救世主になることを頑なに拒否。だが敵の大攻勢を前に、とうとう決意を固める。

■感想・レビュー

 フランク・ハバートの長編SF小説「デューン」を、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が実写映画化した『DUNE / デューン 砂の惑星』(2021)の続編。主人公のポール・アトレイデスが、父を殺したハルコンネン男爵やその一族、父殺しの黒幕である皇帝に復讐する物語だ。

 同じ原作は1984年にデイヴィッド・リンチが映画化しているが、とりあえず今回の『PART2』で、リンチが映画化したところまでは追いついたことになる。

 最近のネットニュースによれば、ヴィルヌーヴ版の『デューン』はPART3が作られることが決定したらしい。これで小説の続編「デューン砂漠の救世主」までは映画化されることが確定して、ポール・アトレイデスの物語が完結するところまでは見届けることができそうだ。

 さて本作だが、前作が屋内シーンの多い政治党争と陰謀の物語だったのに比べて、今回は追放された主人公が仇敵を倒す復讐譚、名門一族の血を引く主人公が、戦いと冒険の果てに権力の座に復権する貴種流離譚になっている。細かな道具立てはややこしいが、筋立て自体は古典的で力強いものなのだ。

 この映画の魅力は、物語よりも圧倒的なビジュアルと音響にあると思う。そんなわけで本当ならIMAXで観たかったのだが、日本ではこの映画があまり受けてないようで、上映劇場も回数もあっと言う間に激減。うっかりしていると上映自体が終わってしまいそうなので、観られるときに映画館で観ておこうと、最寄のシネコンに飛び込んだ次第。

 今回観たスクリーンはシネコンの中でも小さなスクリーンだったが、それでもこれは映画館で観られて良かった。圧倒的なビジュアル、音響、音楽など、これはすべてが映画館サイズにできている。この臨場感と迫力は、配信を家のテレビやパソコンで見いていたのでは決して味わえないと思う。今後いつまで上映しているかわからないが、これは今映画館で観ないと後で後悔すると思う。

(原題:Dune: Part Two)

ユナイテッド・シネマ豊洲(12スクリーン)にて 
配給:ワーナー・ブラザース映画 
2024年|2時間46分|アメリカ|カラー 
公式HP:https://wwws.warnerbros.co.jp/dune-movie/
IMDb:https://www.imdb.com/title/tt15239678/

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